U-23アジア選手権予選3試合で21ゴール 1トップでは前田と上田が抜け出す

 東京五輪世代となるU-22日本代表は、3月22日から26日にかけて酷暑のミャンマー東京五輪1次予選(日本は開催国のため免除)を兼ねたU-23アジア選手権の予選を戦った。過酷な環境に苦しみはしたものの、結果的には3戦3勝で見事に本大会の出場権を獲得。また、各ポジションのサバイバルが本格化するなか、3試合で21得点を奪った攻撃陣は多くの選手が結果を残し、メンバー入りへ猛アピールを見せた。

 U-22日本代表は3-4-2-1を基本布陣としており、1トップ2シャドーのポジションには多彩なタレントが揃う。すでにA代表に選出されている堂安律フローニンゲン)を筆頭に、海外組では伊藤達哉(ハンブルガーSV)、国内組では三好康児(横浜F・マリノス)や“飛び級”招集されている久保建英FC東京)らがおり、いまだ未招集の選手の中には安部裕葵(鹿島アントラーズ)といった選手たちも控えている。

 現実的に言えば、18人という東京五輪の本大会登録メンバー枠を考えると、このポジションに割り当てられるのは5~6人。かなり厳しいポジション争いが待っていると言っていいだろう。そのなかで、今大会を終えた段階での序列を考えてみたい。

 2~3枠が予想される1トップのポジション争いで抜け出しているのは、U-23アジア選手権予選で活躍した前田大然松本山雅FC)と上田綺世(法政大/21年の鹿島入団内定)だ。

 前田はスピードという他の選手にないスペシャリティーを持っており、前線からの守備を献身的に行えるところはチームコンセプトにも合致。今大会では5得点を記録し、献身性だけでなくゴールという結果を示せたことはプラスだ。

 また、ゴール前で決定的な仕事ができるストライカーとして評価を上げる上田は、今大会でも4得点を記録。シュートまでの形をいくつも持っており、森保一監督体制になってからは最多のゴール数を誇る。ジョーカー的な役割でもしっかり結果を残せることを考えても、貴重な存在と言えるだろう。

最激戦区の2シャドー 堂安、三好、久保のレフティー3人がハイレベルな争い

 この2人に続くのが田川亨介(FC東京)と小川航基(ジュビロ磐田)となる。1999年生まれと一つ下の世代となる田川は、試合によってムラがあるものの、自身の特徴であるスピードを生かした攻撃は迫力満点。今季から加入しているFC東京で成長を続ければ、序列を逆転する可能性もあると見る。

 一方、世代屈指のストライカーとして期待されている小川は、クラブで出場機会が減少。代表でも結果を残すことができておらず、難しい立場にいる。2017年のU-20ワールドカップや、これまでの年代別代表で力があることを示しているだけに、クラブで出番を増やしていくことが東京五輪出場へのカギとなるのは間違いない。

 このポジションには、オーバーエイジ枠(24歳以上の3選手を本大会で登録可能)を使う可能性もあり、今後も熾烈な争いが繰り広げられそうだ。

 そして、東京五輪に向けて最も厳しいポジション争いになりそうなのが2シャドーだ。3~4枠が予想されるポジションで、最有力はすでにA代表で実績を残している堂安。A代表とは違い2シャドーの一角というのはネックになるが、力は申し分ない。森保監督も「スケジュール上難しいが、招集はどこかのタイミングでしたい」と話しており、そこでA代表で見せているパフォーマンスを披露すればメンバー入りの可能性は高いだろう。

 堂安に続くのが、U-23アジア選手権予選で活躍した選手たち。堂安と同じ左利きで言えば、三好と久保が挙げられる。前線で攻撃のリズムを生み出すタイプの三好は、今大会で7アシストを記録。決定力という面では不安が残ったが、組み立てに関わることでチームの攻撃を循環させた。年代別代表に常に呼ばれ続けた男への信頼は高いと見ていい。

 三好とは異なったタイプとして、どんどん評価を上げているのが久保だ。今大会では直接FKや、技術力の高さを見せるボレーで得点を奪取。またドリブルで局面を打開する能力で、他の選手とは違いを見せており、FC東京で培った守備面でも向上の跡が見える。この世代でも十分にやっていける力を見せており、先輩レフティー二人を追い抜いていく可能性もあるだろう。

未招集組ではJリーグで活躍する鹿島の安部、名古屋の相馬に注目

 左のシャドーは、さらに混戦模様だ。現状は今大会で2ゴールを奪った岩崎悠人(北海道コンサドーレ札幌)が最有力となるが、その後には海外組の伊藤や大学組の三笘薫(筑波大/20年の川崎入団内定)や旗手怜央(順天堂大/20年の川崎入団内定)といった選手たちが控える。

 また、いまだ招集はされていないものの、Jリーグで活躍する安部と相馬勇紀(名古屋グランパス)も候補の一人。招集されてもおかしくないほどの力を示しており、今後も所属クラブで調子を維持し続けていくことが、代表入りへのポイントになる。

 東京五輪まで、残り500日を切っている。遠いようで近い、その舞台に立つ選手は誰になるのか。若き侍たちのサバイバルは、さらに激しさを増していくはずだ。(林 遼平 / Ryohei Hayashi

U-22日本代表のアタッカーたちには、厳しいポジション争いが待っている【写真:荒川祐史&Getty Images&ⒸAFC】