そうめんの相場を神前で占う神事について、奈良県三輪素麺工業協同組合に取材した。

毎年2月5日にそうめんの相場を占う

奈良県桜井市を中心とした地域で生産される「三輪素麺(みわそうめん)」のメーカー各社は、毎年2月5日にその年のそうめん相場をご神前で占う神事「卜定祭(ぼくじょうさい)」が行っている。

日本最古といわれる桜井市三輪の大神神社で、神職が三ツ鳥居前の大床で卜定の儀式を行い、新しい年の卸値がご神意によって決められるのだ。

その結果は今でも初取引の参考にされており、今年は4年ぶりの「高値」が選ばれた。

提供:奈良県三輪素麺工業協同組合

提供:奈良県三輪素麺工業協同組合平成26年の卜定祭)

出典元:奈良県三輪素麺工業協同組合

出典元:奈良県三輪素麺工業協同組合

穀物相場を占う伝統行事がはじまり

奈良県三輪素麺工業協同組合の池側義嗣理事長に、詳しい話を聞いた。

—–「卜定祭」は、いつ頃・どのような経緯で始まったのですか?

卜定祭の始まりは定かではございません。

昔の穀物相場を占う伝統行事であったのが、今も続いているのが卜定祭と思います。

この神事は日本最古の市場とも言われる海石榴市に起因しており、古来より三輪では1月6日(旧暦)に初市として盛大な市が立てられておりました。

—–占いはどのように行われているのですか?

神社の拝殿で生産者、販売業者、その他素麺に関わる全国の関係者が集まり、あらかじめ生産者と販売業者で取り決めた「高値」、「中値」、「安値」と書かれた紙約20枚ほどを丸めて、神職が筒状の麻を近づけ、付着した紙玉を神意とするものです。

その後、正式参拝、お祓いを受け、境内では素麺踊り、素麺掛け歌も奉納され、その後、商売繁盛の神様である三輪の恵比寿神社にその結果を奉告し、一連の神事が終わります。

夏の終わりにも同神社の境内で、1年の実りを感謝して来年の発展を祈願する感謝祭が行われる。1年の営みを無事に過ごすことができた喜びを「そうめん踊り」に表し、神前に奉納する。

提供:奈良県三輪素麺工業協同組合

提供:奈良県三輪素麺工業協同組合

提供:奈良県三輪素麺工業協同組合

提供:奈良県三輪素麺工業協同組合

1200余年昔に神の啓示でそうめんが誕生

組合の公式サイトによると、三輪(奈良県桜井市)は日本の手延そうめん発祥の地という。

1200余年をさかのぼる昔、大神神社の神主だった大神朝臣狭井久佐の次男・穀主(たねぬし)が飢饉と疫病に苦しむ民の救済を祈願したところ、神の啓示を賜り、保存食として現在のそうめんに似たものを作ったことが始まりといわれているそう。

そうして誕生した三輪そうめんはお伊勢参りの途中に訪れた人々を魅了し、兵庫県の播州、小豆島、島原へと手延べそうめんの製法が伝わり、日本を代表する伝統食となったという。

提供:奈良県三輪素麺工業協同組合

提供:奈良県三輪素麺工業協同組合

歴史・伝統を守りつつ磨きをかける

組合では伝統の技法と品質を確保、継承し続けると共に、さらに磨きをかけて品質向上を追求している。

農水省の「手延べそうめん」の品質基準よりもさらに厳密な自主基準を設定。これにのっとって組合員が製造したそうめんのみ、品質保証の証として鳥居印の帯紙で結束し、パッケージに鳥居マークラベルを貼って三輪素麺として出荷している。

提供:奈良県三輪素麺工業協同組合

提供:奈良県三輪素麺工業協同組合

—–どのような自主基準を設けているのですか?

「製麺、貯蔵熟成、保管のための施設の基準」「製造工程の基準」「安全と衛生管理」「三輪素麺の品質特性」「製品の基準」です。

専門の検査員が月に数回、組合員の製造施設を訪問してサンプル検査を実施。小麦粉や綿実油等原材料は、組合が検査して厳選したこだわりの素材を使用し、一括購入することで品質を保っているという。

—–厳密な基準を定めている理由は?

製品を統一し、模造品や粗悪品を排除して、消費者に安全・安心な商品を提供するためです。

提供:奈良県三輪素麺工業協同組合

提供:奈良県三輪素麺工業協同組合

提供:奈良県三輪素麺工業協同組合

提供:奈良県三輪素麺工業協同組合

—–最後にそうめん作りに込める思いを教えてください。

素麺の発祥の地として1200余年の歴史と伝統を守り、消費者の皆様に安全・安心な商品を提供いたします。

日本のそうめん発祥の地では、今でもそうめんの卸値を占いで決めている