中国の習近平国家主席は3月21日からイタリアを訪問し、中国が提唱する「一帯一路」の覚書をイタリアと締結し、両国はインフラ整備などで協力関係を強化することになった。

 アジアから欧州までを結ぶ一帯一路の海路「海のシルクロード」の終点となるイタリアの北東部にある自由港トリエステは、中国が熱視線を送るアドリア海の港町だ。欧州全体への流通網の拠点となることに加え、トリエステは欧州以外への中継貿易港としても活用できるなど中国企業にとって利点が大きい。

 しかし主要7カ国(G7)の一員でもあるイタリアが一帯一路に協力することに、EUや米国は警戒感を隠さない。駐中国の欧州諸国の大使たちは昨年、中国のプロジェクト参加には警戒するようにという趣旨の共同声明を出したほどだ。

 その一方、ブルガリアクロアチアチェコスロバキアギリシャマルタポルトガルポーランドハンガリースロバキア、そしてバルト3国の計13カ国は中国との「一帯一路」協定に署名済み、ないしは参加意思を表明済みだ。

 中でもギリシャは中国の「トロイの木馬」と化している。同国最大のピレウス港には、中国海運最大手、中国遠洋運輸集団(コスコ・シッピング・グループ)の子会社ピレウス・コンテナ・ターミナル(PCT)が運営するコンテナ埠頭がある。

 中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)だけでなく、米国のHP(ヒューレット・パッカード)や日本のソニーも欧州の玄関港としてピレウス港を選んだ。

 「習主席は27日にイタリア以外にモナコフランスへの歴訪を終えて帰国しました。EUの屋台骨である独仏は中国への警戒感を解いていません。一帯一路の事業は債務超過に陥る発展途上国が相次ぎ、その投資効果に懐疑的な見方も強まっているからです」(中国ウオッチャー)

 キリスト教など普遍的価値観や安全保障に基づいた米欧関係とは異なり、中欧関係は中国による投資の明確な効果が短期間で表れなければ容易に後退するだろう。