「地平かにして天成る」の意味で名づけられたという「平成」が、来たる4月30日(火)で31年の歴史に幕を閉じる。新元号発表直前で、平成も残り1カ月となった今、時代と共に歩んできた『東京ウォーカー』の特集や記事とともに“平成はどんな時代だったのか”を振り返る。平成元年である1989年ジブリ映画魔女の宅急便』が公開されたり、バンドのX(現在はX JAPAN)がメジャーデビューし、任天堂ゲームボーイ」が発売された年。「アッシー君」「ティラミス」といった“バブル”を象徴する物事が盛り上がった時代だった。

【写真を見る】ロボコップや高校生の宮沢りえも登場、当時の東京ウォーカー表紙

平成元年・著名人の急逝のほか、ヒットコンテンツが登場する時代の“変化”の年

平成元年1989年)には、マツダの「ロードスター」やスバルの「レガシィ」、任天堂の携帯ゲーム機ゲームボーイ」、ソニーハンディカムが発売されヒット。流行語には「オバタリアン」「セクシャルハラスメント」などが挙がった。バンドのX(現在はX JAPAN)がメジャーデビューしたのも1989年横浜アリーナが開業し、横浜ベイブリッジが開通したのもこの年だ。

また、歌手の美空ひばりさん、漫画界の神様・手塚治虫さんら、昭和を彩った著名人が相次いで他界(美空ひばりさんは女性として初の国民栄誉賞を受賞)。また伝説的バラエティ番組『オレたちひょうきん族』が終わるなど、バブル景気で、活気に満ちていたにもかかわらず、平成は波乱の幕開けでもあった。そして翌1990年(平成2年)。若者のトレンドを発信すべく、東京ウォーカー(創刊当時は「週刊トウキョー・ウォーカー・ジパング」)が創刊する。

トム・クルーズマイケル・J・フォックスなどハリウッド俳優をはじめ、宮沢りえや森高千里など旬なタレントが表紙を飾ったほか、ヒット映画の『ロボコップ』が登場したことも。音楽番組「三宅裕司のいかすバンド天国」で、イカ天キングとなった「たま」のメジャーデビューシングル『さよなら人類』が大ヒット、「たま現象」と言われるほど話題になり、本誌でも大々的に特集をした。

平成2年・バブル期の女性は“プリンセス”扱い、男性は「アッシー君」「メッシ―君」

経済界では、バブル景気は終盤を迎えていたとの認識であったが、まだまだ世の中は、かなりの浮かれモード。若者たちは、恋に遊びに夢中。流行語にもなった「アッシーくん」「メッシーくん」が、その象徴だ。女性の“足”となり、車で送り迎えしたり、ご飯をおごったり。高級外車を持って、おいしいお店を知っていることが、男性のモテ要素とされていた。

そんな男性の味方になるべく、本誌は「スーパーカーレンタル大作戦」の特集を組み、高級外車をレンタルしたり、女性の喜びそうな、粋なお店を特集。この時代、男性たちに熱心に口説かれた女性たちは、まさにプリンセス気分を味わったのである。

街では、汐留に大人の遊園地「東京ルーフ」が期間限定オープン。子供にも大人にも大人気の「サンリオピューロランド」や、デートスポットの定番となった「よこはまコスモワールド」がオープンした年でもある。そして冬のデートスポットといえば、スキー場。1987年公開の原田知世主演映画『私をスキーに連れてって』のヒット以降、スキーブームが依然続いていた。

1990年のトレンド解説、バブルを象徴するデザートティラミス」、流行語は「ファジィ」、「ちびまる子ちゃん」が大ヒット

1990年のブームや流行語を振り返ってみよう。

ティラミス】北イタリア生まれのデザートで、チーズケーキの仲間。ティラミス目当ての女子大生と、その女子大生目当ての男性が、イタリア料理店におしよせた。

スーパーファミコン発売開始】任天堂が発売した家庭用ゲーム機。「スーパーマリオ」シリーズや「ストリートファイターII」などが大ヒット。日本国内では1500万台以上、全世界ではおよそ5000万台を出荷したとされている。

【アニメ「ちびまる子ちゃん」が大人気】1月にアニメが放映開始直後から、人気がうなぎのぼり。初代エンディングテーマ『おどるポンポコリン』(B.B.クィーンズ)は、同年末の第32回日本レコード大賞を受賞。

オヤジギャル】立ち喰いそばや牛丼を平気で1人食い、疲れたら栄養ドリンクを一気飲み、競馬場やパチンコ屋に出没したり…と“おっさん丸出しの女性”のこと。中尊寺ゆつこの漫画「オヤジギャル」に由来する。

【ファジィ】 “あいまいな”という意味の英語で、カリフォルニア大学のザデー教授が開発した「ファジィ工学」で一躍有名に。「経験」や「勘」といった “あいまいな”ものをプログラミングする理論で、日本でこの理論を、最初に家電製品に応用・実用化したのは、松下電器の洗濯機。以来、各メーカー、盛大なファジィマーケットができあがった。

【アッシーくん&メッシーくん】恋人にもなれないのに、女性の“足”となり、車で送り迎えしてくれる男性が、「足」=「アッシーくん」。そして、いつでも豪華な食事をおごってくれる男性が、「飯」=「メッシーくん」。他にも、本命がいなくなった時のための予備男性「キープくん」や、ただ高価な品物をプレゼントさせるための男性「ミツグくん」も存在した。

■ この年オープンした施設

「東京芸術劇場」「東京体育館」「東京都写真美術館」「東京ベイ舞浜ホテル クラブリゾート」「ホテルラフォーレ東京(現・東京マリオットホテル)」「よこはまコスモワールド

「ワタリウム美術館」など。

次回は平成3年1991年)のブームを振り返る。(東京ウォーカー(全国版)・綱島深雪)

創刊号の特集は「the BODY」と題したプール特集だった