シュナイダーエレクトリックは、グローバルで自社工場のスマートファクトリー化を推進している。3月15日にはフィリピンにある二つの工場に同社のスマートファクトリーソリューションを導入。フィリピンで初のスマートファクトリーとして立ち上げた。

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 同社は、カビテ州にあるフィリピン経済特区(PEZA)に無停電電源装置UPS)などの生産工場を複数構えている。ここで製造したUPSは、日本を含む世界に向けて出荷している。そのうちの中小企業向けのUPSなどを製造するCAV2と、コンシューマー向けを含む小型UPSなどを製造するCAV3に、同社のプラットフォーム「EcoStruxure」を導入した。

 EcoStruxureは、OTソリューションを最新のITテクノロジーに接続するためのプラットフォームで、(1)電気メーター、配電盤、UPSなどのコネクテッドプロダクト、(2)データをモニターし可視化するエッジコントロール、(3)収集したデータを分析するアプリケーション・サービスの3層で構成する。対象分野は、ビルディング、データセンター、工場、空港や道路などのインフラストラクチャー。それぞれの分野に合わせて機器やアプリケーション、ソフトウェアを提供する。

 工場向けアプリケーションとして提供するのは、2017年に買収した英産業用ソフトウェアベンダー、アヴィバのソフト。OT機器の消費電力量の監視、バッテリーの交換時期の予測などを行うことができる。シュナイダーエレクトリックフィリピンアレクサンドル・ヴェルモット・カントリープレジデントはEcoStruxureを導入することで、「エネルギー効率を高め、コストを抑えることができる」と強調。フィリピンの二つの工場では、年間で13%の省エネと14%の成長が期待できるという。

 同社は今後も自社工場のスマートファクトリー化を進め、メキシコや米国の工場をスマートファクトリー化する計画だ。それに加え、EcoStruxureソリューションを顧客向けに提供している。その際、フィリピン工場は、スマートファクトリーのショールームとしても活用していくという。

 EcoStruxureソリューションは、OT機器にセンサーを搭載したり、IoTボックスに接続することでデータを引き出すことができるので、OT機器を買い替えることなく、コストを抑えて導入できるのが特徴。また古い設備でもスマートファクトリー化が可能だという。シュナイダーエレクトリックのマイケル・クロザット・グローバルオペレーションサプライチェーン担当副社長は「工場の規模を問わず、イノベーションを起こすことができる。導入コストは、工場の規模、顧客のニーズで変わるので一概には言えないが、導入から2年ぐらいで投資を回収できるだろう」と話す。(山下彰子)

シュナイダーエレクトリックフィリピン アレクサンドル・ヴェルモット カントリープレジデント