今回はにっくるさんのブログ『rambling talk』からご寄稿いただきました。

無断転載じゃないワロスbotを作ってみた

●忙しい人へのまとめ
ワロスbot(@wwwww_BOT*1)は人気のツイート無断転載して、フォロワー数を増やしています。
そして、ときどき広告を入れて広告費を稼いでいます。それを企業としてやっています*2。
他にも、同様のbotは多数あります。

*1:「ワロスwwwBOT」 『Twitter』
https://twitter.com/wwwww_BOT
*2:「コピペツイートで人気獲得(?)の「ワロスwwwBOT」 企業による広告利用が判明し炎上」 2013年01月23日ねとらぼ
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1301/23/news089.html

無断転載されると…

・感じ悪い
・公式リツイートじゃないので、原作者にたどり着くのが難しい
ツイートが気に入っても原作者をフォローしにくい
ツイートの反響が、本来受け取るべき原作者に届かない
・原作者がツイートを削除したくなっても、削除できない

また、Twitterの利用規約*3に、「繰り返し他のユーザーのツイートを自分のものとして投稿した場合」は利用規約違反になると明記されています。

*3:「Twitterルール」 『Twitter』
https://support.twitter.com/groups/33-report-abuse-or-policy-violations/topics/121-guidelines-best-practices/articles/253501#

そこで、原作ツイートを自動で検索し、公式リツイートするbotを作りました。

このbotをフォローすれば、無断転載ではなく、原作のツイートを読むことができます。

・「1000ふぁぼツイート 公式RT版 @1000favs_RT」 『Twitter』
https://twitter.com/1000favs_RT
・「1000RTツイート 公式RT版 @1000Retweets_RT」 『Twitter』
https://twitter.com/1000Retweets_RT

詳しく知りたい人は最後まで読んでみてください。

コピペツイート
最近Twitterで、ツイートコピペ行為を見かけます。
これは公式RT(公式リツイート。ソースを明示して、自分のフォロワーにツイートを広める仕組み)をせずに、他人のツイートコピペして自分のツイートとして発信することです。

コピペ行為には、様々な問題点があります。

単純にパクリ

パクられた側はいい気はしないでしょう。よく練り込んだ渾身のツイートならなおさらです。

原作者にたどり着きにくい

公式RTされたツイートには、原作者のホームへリンクが張られています。

原作者に興味を持ったら、過去のツイートを読んだりフォローしたりすることが自然にできます。

コピペツイートの場合、原作者を探すことが難しくなります。

ツイート内に原作者のアカウント名が書かれていることもありますが、それでも検索したりする手間がかかります。

原作者が受け取るべき反響を奪う

Twitterでは、価値のあるツイートにはリプライ・Fav(お気に入り)・RT(リツイート)などで反響が寄せられます。

思わぬ反響に驚くこともありますし、反響を狙って練り込んだツイートをする人もいます。

コピペツイートでは、コピペしたアカウントを発信者としてツイートが広がるため、原作者が受け取るべき反響を、コピペしたアカウントが奪うことになります。

反響が原作者に伝わりにくいだけでなく、原作者の知名度が上がる機会なども自分のものにしていることになります。

原作者がツイートを削除できない

公式RTの場合、原作者がツイートを削除すると、公式RTで拡散したツイートも消滅する仕組みになっています。

ツイート内容に誤りがあった場合など、これ以上の拡散を望まないときに、原作者の判断でRTを止めることができます。

コピペツイートは原作者の意思で削除ができないため、意図に反して広がり続けてしまいます。

コピペbot
最近、ワロスbotを筆頭に、コピペツイートばかりを自動的に行うbotが多数存在しています。
これらのアカウントは、主に人気のツイートを対象としてコピペを繰り返しています。

ここで言う人気のツイートとは、FavやRTを多く集めたツイートのことです。

Favstar、ふぁぼったーなど、人気のツイートを集めたサイトがあるため、これらのサイトをクロールすれば、機械的に大量に手に入れることができます。

コピペbotはフォロワー数が多いものが多く、これらのbotがコピペをすると大きな影響があります。

10000フォロワー程度のものは多数あり、中には300000~500000フォロワーのものも存在します。

なぜそんなに成長するのでしょうか?

人気のツイートは注目を集めた実績から分かるように、コンテンツとしての価値が高いです。つまり、RTされやすいのです。

それをコピペすることで、そのツイートコピペbotを発信者としてどんどんRTされていきます。

するとコピペbotに注目が集まり、フォロワー数が増えていきます。

フォロワー数が多くなれば、より多くRTされるようになり、さらにフォロワー数が増えやすくなるという循環が起きます。

実際悲しいことに、RTするよりコピペしたほうがフォロワー数が増えるという現実があります。

コピペbotの中には、アフィリエイトのリンクが入ったツイートを混ぜるものもいます。

パクリ行為で注目を集めた上に、金銭的な利益まで得ているのです。

●動機と経緯
こうしてコピペbotは幅をきかせていて、私のTLにもときどきコピペツイートのRTが流れてきます。
私がフォローしている人の中にも、コピペbotを毛嫌いしている人がいました。

この状況を見ていて、やはり原作者にはフィードバックがあるべきだと考えるようになりました。

自分自身ときどきFavやRTをもらうことがあり、反響があるのは楽しいと感じています。

また、Fav、RTの数を競うことに強いこだわりがある人もいるようです。

彼らにとっては、コピペbotは目の敵でしょう。

少し抽象的な話ですが、1人の技術屋として、Twitterに限らずコピペは嫌いです。

情報のコピペは様々なデメリットがあり、極力行わないように普段から気をつけています。

コピペをせず、ソースを明示できる公式RTという手段があるのに、それを使わずわざわざコピペする行動に苛立ちを感じていました。

原作者へ飛ぶのが面倒など、1ユーザーとしてリアルに不便も感じていました。

そこで私はささやかな抵抗として、コピペbotのツイート内容が気にいったときは、本文で検索してオリジナルのツイートをFav、RTするようにしました。

当然、面倒です。でもこれは意義のあることだと思います。

たまに面倒でそのままFavすることもありますが、少なくともRTはしないようにしています。

コピペbotの利益にさせたくはありません。

何度かこれを行っているうちに、自動化するのは技術的に可能そうで、面白そうだと思うようになりました。

本文で検索してオリジナルのツイートを見つけることができたり、

コピペ回数のランキングを作ってコピペbotをさらし者にするようなサイトの企画を考え始めました。

そう思っていたとき、ぱくったー*4が公開されました。

考えていたサービスとほぼ同じで、しかもサイトの文面が切れ味抜群。タイトルからしてキャッチーです。

*4:『ぱくったー / Pakutter - うさだBlog / ls@usada's Workshop』
http://lovelove.rabi-en-rose.net/pakutter.php (現在閲覧不可)

出遅れた悔しさも加わって、テンションが上がってきました。

そこで、他のアイデアのひとつを急いでリリースすることにしました。

●アンチコピペbot
コピペbotがコピペツイートをするたびに、そのオリジナルを自動で探して公式RTするbotを作りました。
一言で言えば、コピペbotの公式RT版です。「アンチコピペbot」と呼ぶことにしましょう。

詳しく説明すると、以下のように動作します。

コピペbotの新規ツイートを監視する
・新しいツイートが来たら、その本文をGoogleで検索し、オリジナルのツイートを見つける
・オリジナルを公式RTする

コピペbot(@1000favs)とアンチコピペbot(@1000favs_RT)を並べてみてください。

同じ内容のツイートが並びます。

しかし、かたやコピペで同じアイコンが並び、原作者にたどり着きにくい。

かたや公式RTで色とりどりのアイコンが並び、原作者のホームにすぐ移動できます。

この2つを見た人は、当然アンチコピペbotを選ぶでしょう。

●おわりに
アンチコピペbotの裏話、いかがだったでしょうか?
既にご存じの方は今後とも、初めて知った方はこれをきっかけに、コピペ問題に関心を持っていただければと思います。

敢えてコピペbotを肯定的にとらえると、面白いツイートのまとめとしての価値があります。

コピペの問題を意識しない人にとっては、単純に「面白いツイートがどんどん流れてくる、便利なアカウント」です。

また、公式RTをするスタイルでは、おそらくここまで広まることはなかったでしょう。

Twitter社には結構な数のスパム報告が届いていると思うのですが、コピペbotがなかなか凍結されないのは、こういった側面が理由になっているのかもしれません。

とはいえ私自身は反対の立場に変わりありません。

今後も、ほかのコピペbotの公式RT版を作っていく予定です。

また、他のアプローチでコピペ対策ができないか、アイデアを練っています。

みなさんも面白いアイデアがありましたら、ぜひお寄せください。共にコピペ行為と戦いましょう。

執筆: この記事はにっくるさんのブログ『rambling talk』からご寄稿いただきました。