shutterstock_113645965

日本のマスコミは、尖閣諸島周辺での中国公船の領海侵犯などを声高に報道し、中国の海洋進出の動きを強調する傾向にあるようですが、東シナ海での中国の行動はむしろ国内向けの意味合いが強いと指摘するのは、メルマガ『NEWSを疑え!』の著者で軍事アナリストの小川和久さんです。小川さんは、日米台の強固で巧みな連携により、中国のメンツを保ちつつ抑制し続けることの必要性を訴え、台湾ではそういった理解が日本よりも浸透していることを伝えています。

台湾で講演してきました

台北で開かれた『海内外台湾国是会議(グローバル・タイワン・ナショナル・アフェアーズ・シンポジウム)』という会合に行ってきました。

世界台湾人大会、台湾国家連盟、台湾安保協会の共同主催で、テーマは「世界新形勢防中堵中」。急遽オセアニアに出張した蔡英文総統に代わり、陳建仁副総統と卓榮泰民進党主席が冒頭の挨拶に登壇しました。

文字面を見ると中国を刺激しそうなテーマですが、意味するところは「中国の好ましくない対外行動に対抗し、中国の選択肢を制限することによって、好ましい世界秩序を構成する」。これくらいのことはいつも掲げているそうで、その点については気にしていない様子でした。

私は基調講演と午後のパネルディスカッションに参加しました。私にとっては、台湾での安全保障問題の会合で講演するのは3回目ですが、昨年の基調講演者は香田洋二さん(元海上自衛隊自衛艦隊司令官)でした。

テーマテーマということもあり、おなじみ西恭之さん(静岡県立大学特任助教)に中国の「問題行動」をリストアップしてもらい、どこから取り組めばよいのか絞り込んでレジュメ(パワーポイント)を作りました。題して「東シナ海モデルによる展開 なぜ中国は抑制的なのか」。

ひと言で表現するなら、マスコミ報道とは逆に東シナ海での中国の行動は極めて抑制的で、それは日米同盟によるところが大きい。日米同盟の強化と、そこに豪州、ベトナムインドなどが加わってくることにより、その東シナ海での抑制的な姿勢が南シナ海にも及んでいる。

そして、ついには李克強首相に「たとえ防衛用の設備や施設があったとしても、それは航行の自由を維持するためのものだ」「航行の自由や南シナ海の安定がなければ、中国が真っ先に危険にさらされる」「南シナ海の軍事化に携わる意図は一切ない」(2017年3月24日)と言わしめるまでに至った。

あとは、中国を追い詰めるのではなく、習近平体制のメンツも保てるような力加減で軍事的膨張を規制すべきだ。その「規制線」こそ、中国側のいう第一列島線を形成している日本と台湾であり、日本と台湾、そして米国などとの政治的、経済的、軍事的関係の強化によって、中国をよい方向に規制していけるのだろう。それを他の諸問題の解決にも拡げていく意味で、「東シナ海モデルによる一点突破全面展開」を提案したい。