中国発のショート動画アプリ「TikTok(ティックトック)」は、2016年のサービス開始以来、日本でも若者を中心にユーザー数が爆発的に増えている。全世界での累計ダウンロード数は10億回を超え、今やインスタグラムやフェイスブックと肩を並べるほどの人気ぶりだ。運営しているのは、中国のスタートアップ企業、バイトダンス(北京字節跳動科技)。同社はニュースアプリ大手の「今日頭条(Toutiao)」も展開している。

 本国の中国でも若者の人気は高い。中国インターネット情報センター(CNNIC)の最新リポートによると、中国の未成年者のインターネット普及率は93・7%に達し、うちTikTok(中国では「抖音(ドゥイン)」)を中心とするショート動画アプリの利用率は40・5%に上る。日本では、MMD研究所の「TikTokに関する調査」結果によると、2018年7月時点で、TikTokの10代の利用率は13・6%だった。

 こうした風潮を踏まえ、中国当局は未成年者のショート動画アプリへの「中毒」防止のための措置を本格化している。中央ネットワーク安全情報化領導小組は3月28日に「青少年中毒防止システム」の試行版をリリース。6月までに中国の主要なショート動画アプリにこのシステムを組み入れ、青少年の利用時間などを制限する方針を打ち出した。

 青少年が睡眠時間を削ってまでショート動画を延々と見続けるのを防ぐ狙いがある。保護者が「制限モード」に切り替えれば、夜の10時から翌朝6時まで、強制的にアプリを使用することができなくなる。その他の機能も保護者の判断で使用不可にすることが可能だという。

 これに先立ち、中国当局は昨年8月、オンラインゲームの総量規制にも乗り出している。これを受け、ゲーム大手のテンセント未成年者プレー時間を制限するシステムを導入した。プレーヤーの実名登録制を厳格化し、公安データベースと照合して身元情報を確認、未成年者だった場合は年齢に応じて時間を制限するという仕組みだ。

 世界保健機構(WHO)は昨年、ゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を疾病と認定した。中国では青少年の心身の健全な発達を促すため、国を挙げてSNSやゲームの過度の利用を規制しようとしている。一方、日本では保護者がその役割を担っているが、徹底しているとは言い難い。保護者の目の届く範囲は限界がある。中国のようにシステムで強制的に制限するやり方が最も効果的なのかもしれない。(編集担当:仙道計子)(イメージ写真提供:123RF)

中国発ショート動画アプリ「TikTok」、中国当局が青少年の「中毒」を防止へ 日本は大丈夫?