発見された銀河DF2 / Credit: NASA, ESA, and P. van Dokkum/Yale University
Point
■以前、暗黒物質を含まないとされる銀河が発見され、逆に暗黒物質の存在の信憑性が高まる
■同じ銀河集団内に、2つ目の暗黒物質を含まないとされる銀河が発見される
■以前発見された銀河についても、より強力な観測装置によって、結果の一貫性が確認される

やっぱり暗黒物質はあったんだ!

暗黒物質を含まない銀河については、以前も当サイトで紹介しました。その存在そのものが、他の銀河における暗黒物質の実在を強く支持するとして注目された研究です。

やっぱり暗黒物質を含んでいるんじゃないかというクレームも入っていたものの、今回、また別の暗黒物質を含まない銀河が見つかっています。この発見により、暗黒物質が存在する可能性がさらに高まったといえるでしょう。発見は、「The Astrophysical Journal Letters」で発表されています。

発見された銀河は6300万光年先にあるNGC 1052-DF4(DF4)です。以前見つかったものが、同じ領域にあるNGC 1052-DF2(DF2)ですから、いずれもNGC 1052銀河と関わりのある銀河ですね。

銀河の形成と暗黒物質には、切っても切れない関連性があると考えられています。なぜなら銀河の縁の回転速度は、目に見える通常物質から計算されるものよりもずっと早いため、何らかの目に見えない質量を持つ物質を仮定しないと説明がつかないからです。

また銀河の形成にあたっても暗黒物質の重力が重要な役割を果たすと考えられています。なので、最初のDF2の発見には懐疑の目を向ける研究者もいて、批判にさらされることもありました。

でも、2つ目の暗黒物質を含む銀河が見つかったのです。これにより、暗黒物質を含まない銀河が、もっと普遍的である可能性が出てきました。これには暗黒物質肯定派もニッコリです。

強力な観測装置で計算を確認

Keck Cosmic Web Imager / Credit: Caltech

DF4は、DF2同様に極めてぼんやりとした銀河ですが、大きく広がっており天の川銀河ほどありますが、含まれる星の数は100分の1から1000分の1しかありません。そのため観察するのも大変です。

観測にはケック天文台の低解像度画像分光計(LRIS)が使われました。この装置で周っている7つの球状星団の動きを追跡した結果、その動きが目に見えている通常物質から、計算される速度と一致しました。つまり、暗黒物質を含んでいないと考えられるのです。

さらに以前のDF2の発見を確かなものにするために、10の星団についての動きをより強力な装置“Keck Cosmic Web Imager(KCWI)”で観測し、一貫性があることも確かめています。

もし暗黒物質など存在せず物理法則に修正を入れることで銀河の謎を解決するとすれば、今現在の物理法則に従っているこれらの銀河を説明できなくなります。

しかしなぜこれらの銀河は暗黒物質を含まないのでしょうか?その答えは科学者たちもわかりません。どのようにしてこれらの銀河が形成されたのかも謎のままです。もしかしたら銀河の形成過程そのものが、現在考えられている暗黒物質に頼ったものではない可能性もあるでしょう。

見つかった2つの銀河は同じ領域に存在するため、こういった銀河が普遍的であると言うためには、他の領域でも同様の銀河を発見する必要があるでしょう。科学者たちは、さらに暗黒物質を含まない証拠を積み上げることで、宇宙における最大の謎である暗黒物質の正体に迫りたいと考えています。

暗黒物質がない銀河を発見、逆に暗黒物質の存在を証明へ

reference: Science Alert / written by SENPAI
暗黒物質を含まない2つ目の銀河が発見される