■2015年にアメリカで起きた、実の娘による母親の殺害事件がHuluオリジナルでドラマ化される
■事件の衝撃の内容に、SNS上でも大きな反響を呼んでいる
■実は、母親は実の娘を、生まれた時から「病気だ」と信じこませ、不自由な生活を送らせてきた
「悲劇のヒロイン」になりたかった女性の、衝撃の実話です。
2015年6月、アメリカ・ミズーリ州の自宅にて、当時48歳のクローディーヌ・ディーディー・ブランチャードがナイフで殺害されるという事件が起きました。犯行を計画したのがなんと実の娘ジプシーだったこともあり、アメリカで大きな話題となりました。
しかし事件の裏には、それ以上に驚くべき真相が隠されていたのです。なんとジプシーは、実の母親であるディーディーに「自分が病気だ」と信じ込まされて育ってきたのです。
アメリカでは、事件を描いたHuluオリジナルのノンフィクションドラマが3月20日から配信スタート。日本ではまだ未公開ですが、その衝撃的な内容にツイッター上では「これが実話なんて…」と多数の反響を呼んでいます。
ドラマの予告編はこちら。
「あなたは病気」と洗脳されていた
ジプシーは1991年7月27日、ルイジアナ州ゴールデン・メドーに生まれました。両親はジプシーが生まれる前に離婚しており、親権が渡ったのは母親のディーディーでした。
そしてジプシーの生後まもなく、ディーディーの様子が変化します。「娘が病気だ」だと周りに言い始めたのです。
ディーディーは、娘が白血病や筋ジストロフィーを患っていると主張し、医学的治療や薬物の投与を行ったり、車イス生活を強制したりしていました。さらには娘の毛髪も全て刈り上げ、「固形物は食べられない」としてチューブで流動食を与えていました。
2005年、ハリケーン・カトリーナがルイジアナを襲撃。ブランチャード母娘も地元の避難所に避難していました。その時にディーディーの悲劇を聞きつけた地元メディアは、ついに「病気を患う悲劇の娘」として公に報道され、アメリカ中で知られるようになりました。
それから何年もの間、ディーディーは娘だけでなく、友人や医者、メディアなどを騙し続け、慈善団体からは寄付金を巻き上げていたのです。
生年月日が違う…つのる母への不信感
しかし2010年頃、ジプシーはついに母親に疑問を持ち始めます。自身の国民健康保険カードを見つけると、母から言われていた「1995年生まれ」ではなく「1991年生まれ」と記載されていたのです。
それまで15歳だと思っていたのが、実は19歳だと判明した瞬間でした。
さらにディーディーは時々ジプシーに対して肉体的な虐待も行っており、ベッドに縛りつけたり、ハンガーで殴ったりしていたそうです。次第にジプシーは母親に対し、愛情ではなく恐怖を抱くようになりました。
では、娘にそのような「悲劇」を演じさせた母ディーディーは、何が目的だったのでしょうか?
彼女もまた、「代理ミュンヒハウゼン症候群」という精神疾患を患っていたのです。「ミュンヒハウゼン症候群」は周囲の注目や関心を惹くために自分が病気のふりをしますが、「代理ミュンヒハウゼン症候群」は、自分の代わりに「身の回りの誰か」を病気と思い込ませるものです。
出産前に離婚を経験し1人になった彼女は、誰かに愛されたかったのかもしれません。そしてこうした要因も重なり、さらなる悲劇的へと発展していきます。
ボーイフレンドと殺害を決行
ジプシーは2013年、ネットのキリスト教系デートサイトにて、当時24歳だったニコラス・ゴドジョンという青年と知り合い、交際をスタートさせました。彼は自閉症を患っており、ほとんどジプシーの言いなりだったそうです。
その後、ジプシーはニコラスに母の殺害を頼み込み、ミズーリの自宅にある母親の部屋で計画を実行しました。事件後の調査では、ナイフで17度も刺されていたことがわかっています。そのときジプシーは、隣のバスルームにいて、隣室から聞こえてくる叫び声を聞くまいと耳をふさいでいたそうです。
警察がディーディーの遺体を見つけたのは、事件から4日後のことでした。
そしてその翌日、ニコラスの家に隠れていた2人は逮捕。ニコラスに対しては、現在第1級殺人の容疑で裁判が開始されているようです。
ジプシーは自らの罪を認め、10年の禁固刑に処されています。刑務所内でインタビューを受けた際、ジプシーは「母と暮らしていた時よりも今の方が自由を感じる」と話していました。母の身勝手な欲望で、自分の人生を生きられなかったジプシー。今後罪を償い、少しずつ自分を取り戻すことはできるのでしょうか。
恐らく程度の差はあれど、私たちの身の回りにも同じような症状を持つ人はたくさんいるでしょう。今回のドラマが、「注目されたい」という欲求で他の人を傷つけることにならないよう、注意喚起になるといいですね。
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