TOKYO MX地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。3月28日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、「東洋経済オンライン」編集長の武政秀明さんが、民間企業の平均給与の調査結果から、日本の給与事情について解説しました。

1990年から「7万円しか上がっていない」

国税庁が実施した2017年分「民間給与実態統計調査」によると、民間企業の給与所得者の平均給与は432万2,000円。平均給与は5年連続で増加しており、前年分との比較では、10万6,000円上回る結果に。2008年に起きたリーマン・ショック前の水準までほぼ回復した数値となっています。

一見、好景気に見える数値ですが、武政さんは、1990年分調査の平均給与、約425万円からは「7万円しか上がっていない」と指摘。また、日本の平均給与のピークは「1997年分調査の約467万円」と話します。


続いて、スウェーデンフランスイギリスドイツアメリカといった諸外国との、実質賃金指数の比較表を提示。これは、1997年の実質賃金指数を100とした場合、2016年までの19年間で、どのように推移したかを表します。


他国は上昇しているものの、日本の実質賃金だけが下落しているという結果に。武政さんは「1997~2016年の間にはさまざまな時代があったが、今は人手不足が顕著な時代。にもかかわらず、賃金は上がっていない」と話します。MCの堀潤は、「(諸外国が)うらやましくなる。日本はどこで間違えたのか」と心情を吐露するシーンも。

◆“給料がほとんど上がらない”裏側

これらを踏まえ、「東洋経済オンライン」に寄稿しているジャーナリスト・岩崎博充さんの見解を参考に、日本人の給料がほとんど上がらない5つの理由”を挙げます。


①非正規雇用者の増加

労働者派遣法の改正などによって、「企業が、賃金の低い労働者を雇いやすくなった」と話す武政さん。人件費削減という企業側のメリットはあるものの、それが「グローバル展開を遅らせた」との補足も。

②規制緩和の遅れによる賃金低迷

通信や交通エネルギーなどの公共料金分野では、規制緩和が遅れ、現在も新規参入を阻害しているため、価格の抑制や引き下げが遅れています。しかし、宅配便や外食産業といった業種では、製品やサービスの価格が低く抑えられてきました。そのような業種では「結局もうけが出ないので、従業員の賃金がいつまでたっても上がらない」と言います。

内部留保を貯め込んで賃金を上げない経営者

企業が事業から得た利益のうち、配当や設備投資に回さず、手元に残している利益を指す「内部留保」。財務省が発表した2017年度「法人企業統計調査結果」によると、日本の全産業の内部留保は507兆4,454億円。これは、日本のGDP(国内総生産)の1年分に匹敵する額。それだけの額を「企業が貯め込んでいる。これでは会社の成長にもつながらないし、賃金も上がらない」と指摘します。

④少子高齢化の影響

人口減少への対応として、企業は、女性、外国人労働者、シニア世代などを非正規雇用として受け入れています。そのため「低賃金での雇用につながっている」とのこと。

労働組合の弱体化

1990年代以降の景気低迷に対し、「雇用を維持しながら賃金で調整する」という方法をとってきた日本。労働組合も、「クビにされるよりも給料を下げることに同意」し、その結果、会社側の要望を聞き入れる体質になってしまったことが挙げられます。

◆給与UPには「最低賃金の引き上げ」

メインMCの堀潤は、「非正規雇用者増加の背景には人的分野の規制緩和もあった。つまり、規制緩和のやり方を誤ったのでは」と指摘。それに対しては、「確かに、そこは規制を緩和しすぎたという面もあると思う」と武政さん。

現状を打破するには「最低賃金を強制的に上げてしまうのも1つの策」と提言。日本人には「条件をつけると、それに沿って工夫・努力する国民性がある」とし、最低賃金の引き上げが効果的なのではと話します。

堀は、「(武政さんが挙げた)5つの理由について、国会でしっかりと議論してほしい」と訴えました。


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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイトhttp://s.mxtv.jp/morning_cross/

給料が上がらない5つの理由 経済メディア編集長が解説