2018年平昌五輪金メダルを獲得した2人の女性スケーターが今季も世界トップレベルの実力を示した。小平奈緒選手(相沢病院)と高木美帆選手(日体大助手)である。

 小平選手は2月23、24日に行われたスピードスケートの世界スプリント選手権で2年ぶり2度目の総合優勝を果たした。世界スプリントは500メートル1000メートルを2回ずつ滑り、短距離世界一を競うもので、小平選手は17年に日本女子で初の頂点に立った。2連覇を狙った昨年の大会は最後の1000メートルを棄権した。平昌五輪からの連戦で、その体がいうことを聞かなかったのだ。それだけに王座奪回にかける意気込みは高く、しかも会場が2年間のオランダ留学の拠点となったヘーレンフェインの室内リンクとあってモチベーションはさらにアップした。

 室内リンクティアルフ」は約1万人の満員の観衆で埋まった。得意の500メートルで2回とも1位となり、1000メートルも4位と3位にまとめて快勝した。オランダのプロチームに所属したことがある小平選手は人気も高く、地元選手のような大声援に後押しされ、気持ちよく力を出し切った。国際スケート連盟(ISU)のホームページによれば「夢がかなった。ティアルフで世界チャンピオンになるのは素晴らしいこと」と喜びを語り、「私の一部分はオランダ人だと感じる。私のハートはちょっぴりオレンジ色です」と続けた。オランダナショナルカラーオレンジに染まったスタンドを見て、小平選手は実に心地よさそうだったという。

 オランダではスケートは国民的スポーツ。短距離から長距離までの4種目総合を争うオールラウンド世界選手権の昨年大会は、アムステルダムの五輪スタジアムにリンクが特設され、約2万5000人の大観衆が詰め掛けた。オランダスピードスケート選手は人気だけでなく、収入面でも恵まれており、長年にわたり男子で世界をリードするスベン・クラマー選手の年収は130ユーロ(約1億7000万円)ともいわれている。小平選手もアイドル並みの扱いを受けたようだ。

 そのアムステルダム特設リンクで、日本選手で初めてオールラウンドの世界チャンピオンとなったのが高木美帆選手。今回の世界選手権(3月2、3日)は、最終5000メートルで逆転されて惜しくも2連覇を逸したが、1週間前の世界スプリント選手権の総合2位に続き、総合2位となった。同一シーズンダブル表彰台は女子では12年にクリスティン・ネスビット選手(カナダ)が世界スプリント2位、オールラウンド3位に入って以来の快挙。世界スプリントでは小平選手を脅かす銀メダルファンをあっと言わせ、中5日でオランダからカナダへ転戦して計8レースをこなした。その奮闘をたたえたい。高木選手も世界のスピードスケートシーンには欠かせない存在感を示した。

【筆者略歴】

後藤英文(ごとう・ひでふみ) スポーツジャーナリスト共同通信では初代スポーツ専門特派員としてニューヨークで勤務。MLBワールドシリーズやW杯サッカーNFLスーパーボウルのほか夏冬の五輪などを取材。元びわこ成蹊スポーツ大学教授。

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