中国を経て東南アジアにたどり着いた脱北者6人のうち、3人が逮捕されて中国に追放されたと、韓国の聯合ニュースが外交筋の話として報じた。

脱北者6人は今月1日、中国から東南アジアのある国に到着したが、3人が現地公安当局に逮捕され、3日までに中国へ追放された。中国の公安当局には身柄を引き渡されていないもようだが、もしそうなれば北朝鮮へ強制送還され、重罰に処せられる可能性が高い。

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韓国の朝鮮日報は、この東南アジアの国がベトナムであったと明らかにした上で、今回の脱北を主導した北朝鮮人権団体の関係者の話として、韓国外務省に救助要請を行ったが迅速な対処を行わなかったことで、追放を防げなかったと報じている。

北朝鮮から中国を経てベトナムに向かう脱北ルートは近年多用されているが、事故も多発している。今年1月には、メコン川で船が転覆し脱北女性が死亡した。彼女はベトナムで逮捕、追放され、再脱北を試みた末のことだった。別の団体の関係者は、この女性に関しても韓国外務省に救助を要請したが、受け入れられなかったと明らかにした。

脱北者は韓国憲法の規定上、韓国国民とみなされ、政府の保護を受けることになっているが、文在寅政権は北朝鮮との関係を考慮してか、脱北者の救助に関して消極的な姿勢が目立つとの批判を浴びている。前述の人権団体関係者は、2017年12月にも脱北者3人がベトナムで逮捕され、中国を経て北朝鮮に強制送還された事例があると述べている。

それ以前の保守政権でも、脱北者に対する差別的な扱いが問題になっていた。

東亜日報は李明博政権時代の2012年6月、タイ駐在の韓国大使館の女性職員らが、現地入管に収監されている脱北者に対して「韓国はお前のようなゴミを受け入れるところではない」、「一生閉じ込められておけ」と言った暴言を吐くなどの人権侵害を繰り返していたことを報じている。韓国政府の調査で事実と判明し、大使は更迭されている。

北朝鮮の国境警備隊(中朝国境)