連続テレビ小説なつぞら
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

第2週「なつよ、夢の扉を開け」 演出:木村隆文 第7回(4月8日・月)視聴記録
闇市がステージに!  
第2週の冒頭は、第1週冒頭と同じく、成長したなつ(広瀬すず)からはじまった。
幼少期には興味のない視聴者もなかにはいるので、その人達のために、成長したなつの場面を用意する心遣い。だが「なつぞら」に関しては、その気遣いは無用だったかもしれない。幼少期のなつ(粟野咲莉)がいたいけで一挙一動に目が離せないから。

戦災孤児のなつは北海道の柴田家に引き取られた。親切にされながらもやっぱり兄と妹が恋しくてこっそり東京に帰ろうとするが警察に保護されてしまう。
柴田家の人々は消えたなつを探しに家族そろって帯広へ向かう。

帯広の闇市の様子が東京と似ていて、なつは戦後、上野で子どもたちだけで暮らしていたことを思い出す。
佐々岡信哉(三谷麟太郎)、咲太郎(渡邉蒼)、千遥(田中乃愛)、そしてなつ。
上野の不忍池であろうか、蓮の葉が生えている池で、ザリガニやら魚やらを獲って食べて生きるたくましいなつたち。なつと千遥は靴磨き、咲太郎は進駐軍から物資を安く仕入れてそれを売っている。
前にも書いたが渡邉蒼(「西郷どん」の吉之助の幼少期を演じた)のタップが流麗。
まずドラム缶の上に乗って音を立てて注意をひき、それからベニヤ板のうえでタップダンス。市場においてあるものを楽器代わりに。それからアコーディオン奏者も現れてセッション……という小さなショータイム。
脚本の大森寿美男ははじめて手がけた朝ドラてるてる家族」(03年 石原さとみ主演)をミュージカル仕立てで書いた。原作者のなかにし礼が数々のヒット曲の作詞を手がけていることや主人公の姉が歌手になることもあって、ほぼ毎回、戦後の流行歌が出てきて登場人物が歌い踊る楽しい、非常に凝ったつくりのエンターテイメントで、最終回はミュージカルのグランドフィナーレのようだった。斬新過ぎたのか本放送では視聴率がふるわなかったが、再放送で評判になった。
拙著「みんなの朝ドラ」で行った大森へのインタビューでは当初はそれほど独立したショーのようなものが挿入される脚本を書いていたわけではなく、あくまで生活のなかで登場人物が歌っているような場面を書いていたが、スタッフが乗ってきて、だんだんショーアップしていったと語っている。
なつぞら」7回の咲太郎のシーンは、日常生活と歌や踊りが自然に混ざりあった見事なシーンになったといえるだろう。「アナと雪の女王」や「ラ・ラ・ランド」のヒットによって03年のころよりミュージカル一般化しているので、いまなら「てるてる家族」みたいなミュージカルドラマでもすんなり受け入れられそうな気がするし、7回のような自然な流れで歌や踊りが入ってくる場面ならなにも申し分ない。これからもときどき歌や踊りを盛り込んでほしい気がするが、今回は酪農とアニメが中心なので歌や踊りに割く時間があるかどうか。

4月9日(水)放送 第9回のあらすじ 
家を飛び出し帯広までやってきたなつ(粟野咲莉)は、川のほとり魚釣りをする天陽(荒井雄斗)を見つける。ひとりで来ていたなつを天陽は心配し声をかける。なつは家族を待っていると強がるが、やがて天陽も家路に着き、ひとり河原に残されてしまう。なつは父の形見の手紙を取り出し、読む。涙があふれだすなつ。すると…

第2週「なつよ、夢の扉を開け」ここに注目したい
◯なつと天陽くんが河原で偶然出会う!
◯河原にひとりぼっちになったなつはどうなる!

第2週「なつよ、夢の扉を開け」(演出:木村隆文) あらすじ
東京の兄に会いたいと、家出したなつを富士子や剛男は、懸命に探す。一方、帯広にたどり着いたなつは警察に保護されたが、そこからも逃げだし、行き場を失っていた。ようやくなつを見つけた柴田家のみんなは、なつを抱きしめ、ずっとそばにいると誓う。柴田家の子として再び暮らし始めたなつは、泰樹の夢であるバターづくりを教えられる。そしてさらに将来につながる、大きな「夢」と出会うことになる。

登場人物とキャスト 登場順
奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。
佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。妻を「ふじこちゃん」と呼ぶときがある。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。搾乳をさせてもらえない代わりに薪割りを頑張っている。
柴田夕見子 幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。勉強が好き。牛乳嫌い。同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。
柴田明美 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。頑固者で幼いなつにも容赦なく厳しく接するが、意地悪ではなく、彼の人生哲学に基づいたもの。他人に頼らず己の力で人生を切り拓くことを心情としている。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。タップダンスが得意で、米兵にかわいがられていた。孤児院にいる。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。親戚に引き取られている。

2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じているのは朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。

4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。

5回
山田天陽 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。絵が上手。馬が好き。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…郵便配達。


脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト:広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子」
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美  舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一 
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション

制作統括:磯智明 福岡利武
(木俣冬)