入学シーズンを迎え、中学校では、在校生による部活動の勧誘が盛んになっています。中には、部活動への加入、参加を事実上強制している学校もあるようで、放課後や休日を自由に過ごしたい生徒にとっては頭が痛い問題です。こうした、部活動への強制加入に法的問題はないのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

不利益を課せば問題にも

Q.中学校で、部活への加入を校則で義務付けたり、校則がなくとも事実上強制したりすることに、法的問題はないのでしょうか。

牧野さん「部活への加入が、校則上もしくは事実上義務付けられており、違反者に対して学校長の権限で退学勧告などの実質的な不利益を課す場合、法的な問題が出てくるでしょう。つまり、加入を拒否したことにより、罰則や制裁があり、退学勧告などの不利益な処分をされた場合は、慰謝料や賠償請求などを求めることができる可能性があります」

Q.そもそも、校則にはどの程度拘束力があるのでしょうか。

牧野さん「『校則は単なる心得であって校則に従う法的義務がそもそもない』と解釈すれば、部活加入を拒否することができると解釈できるでしょう。身だしなみに関することですが、『丸刈り校則』については、不利益処分が実際に行われていなかったケースで『単なる心得』とした判例があります」

Q.「帰宅部だから減点」などと、部活動に所属しているか否かで内申点に差をつけることは問題になりますか。

牧野さん「内申点に差をつけられ、希望校へ入学できなかったことにより損害(慰謝料、公立校と私立校の授業料の差額など)が発生し、因果関係と損害の証明ができれば、不法行為による損害賠償請求ができる可能性があります」

Q.部活動の強制加入に関する過去の判例・事例はありますか。

牧野さん「部活動の強制加入に直接関係する過去の判例は特に見当たりませんが、校則による身だしなみの自由への制限に対する裁判例はあります。

兵庫県小野市の中学校に進学予定の小学生男児および代理人が市を相手に、丸刈り校則の無効確認請求を行った『小野市中学校丸刈り・制服強制校則の無効確認最高裁事件』で、大阪高裁は判決で『丸刈り校則は単なる心得であって守る法的義務はない』との判断を示しました。

ただし、提訴時点で校則違反への具体的な不利益処分がなされておらず、抽象的に校則の無効確認が求められていた、つまり、男児側に具体的な不利益がなかったため請求は退けられました。その後、1997年2月には最高裁も大阪高裁の判決を支持し、判決が確定しました。

一方、『千葉女子中学生制服代金請求事件』では、公立中学校の制服強制により余分な出費を強いられたとして、生徒の両親が制服代金の損害賠償請求を行いましたが、制服の強制は学校長の裁量範囲を逸脱するものではないとして請求を退けています」

オトナンサー編集部

部活動への強制加入、法的問題は?