今季開幕から18チーム中10チームがトライしている3バックシステム

 J1リーグも全試合の約5分の1となる6試合を消化し、今季の上位争い、下位争いの構図が徐々に浮かび上がっている。現在サンフレッチェ広島FC東京の2チームが無敗を維持し、昇格組の大分トリニータが躍進を遂げ台風の目となっているのに対し、波に乗り切れないのが王者川崎フロンターレだ。

 1勝4分1敗で勝ち点7の10位にとどまっている川崎は、いまだホームでの勝ち星がない。新戦力の適応を含めて課題は様々だが、リーグ連覇を達成し、国内で一時代を確立したことで、川崎が最も研究すべき対象となっていることも確かだ。

 一方、今季は3バックシステムを導入しているチームが目立っている。今季からシステム変更を施した広島を含め、コンサドーレ札幌ベガルタ仙台湘南ベルマーレ松本山雅セレッソ大阪大分トリニータが3バックベースにしている。さらに、浦和レッズは開幕から第4節まで、清水エスパルスは第2節までを3バックで臨んでいる。ジュビロ磐田は守備の要であるDF大井健太郎を負傷で欠いていることもあり、最適解を模索している状況だが、これで18チーム中10チームが3バックにトライしていたこととなる。

川崎の選手たちが実感する3バックでの“5枚の守備網”

 3バックを導入するチームの増加を含め、今季のJ1の傾向や兆候を川崎の面々はどのように捉えているのだろうか。例年に比べ、全体的により守備に重点を置いている傾向が強まっていると感じているのは、ディフェンスリーダーを務めるDF谷口彰悟だ。

「今季はどのチームもしっかり構える、やらせない、失点をしないというところにかなりこだわっている印象が、見ていても、やっていても感じるところがある。そういったなかでブロックを組んでのカウンターという形が多いと思うが、特にこのチームはそういうやり方を受けやすい。その構図がだいぶはっきり出てきている」

 また、DF車屋紳太郎は「川崎に関して言えば、対策されていたり、カウンターを狙ってくるチームも増えてきているのは感じる。5バック気味になってきていて、スペースを消してきている」と、川崎の観点で見た場合、対戦相手が対策として、システムを駆使してスペースを消しにきている感覚を抱いているという。

 主将のFW小林悠は今季のJ1について「大分も強いし、見ていて面白いサッカーをするなという印象。最後までどうなるか分からないリーグになるんだろうなという気がしている」と語ったうえで、「(3バックチームが増えていて)守る時は5バックになるチームが多いと思うので、その代わり良い形で取れたらその分サイドスペースがぽっかり空くことも出てくる。相手によってショートカウンターを使ったり、チャンスを逃さないのが鍵になる」と、川崎にとって3バックシステムは超えるべき壁であることを主張していた。

中村が語った“3バック打開策”のヒント 「ポジショニングが大事」

 3バックシステムは、守備時にウイングバックが最終ラインに入り込み、5バックを形成することでスペースを与えない守備網を敷く。パスワークを真髄にする川崎にとって難題とも言えるが、MF中村憲剛は打開策のヒントとして、ポジショニングの重要性を力説している。

「3バックの場合、全部に食いつくんじゃなくて、ポジショニングを意識することが大事。松本戦の1点目じゃないけど、ラルフ(鈴木)が中途半端なところに立てば、相手のウイングバックを引っ張って、アキ(家長)が空く。そこで1対1で勝って、点につながる。それを意図的にやればもっと良くなる。5枚だからスペースがないんじゃない。5枚でもスペースを作る動きをすれば点は入る。そのためには後ろでパスを回す安定度は必要だし、それはもっと高めていく必要がある」

 中村が例に挙げたのは、今季リーグ戦初勝利を挙げた第5節の松本山雅戦(2-0)の先制点の場面だ。右サイドバックのMF鈴木雄斗がワイドに張ったポジションを取り、松本山雅の左ウイングバックに入っていたDF高橋諒を引きつけたことで前線のMF家長昭博の周囲にスペースが生まれ、DF奈良竜樹のロングフィードに抜け出した家長が1対1の局面を打開すると、そこからクロスを供給。結果的にその流れからFW知念慶の先制点が生まれた。

 中村が語るように、3バックシステムウイングバックの存在が鍵となる。そのポイントを逆手に取れば、松本戦のように、そこから得点を奪う攻略法を確立することも可能だ。今季のJ1において、ある種のトレンドとなっている3バックシステムを打開した時、川崎のリーグ3連覇は一層現実味を帯びてくるに違いない。(Football ZONE web編集部・城福達也 / Tatsuya Jofuku)

(左から)DF谷口彰悟、FW小林悠、MF中村憲剛、DF車屋紳太郎【写真:荒川祐史】