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 死者が眠る墓場や火葬場には、独特の怖さがある。それは世界共通の認識である。墓場から死者が蘇るとか、ゾンビになって人々を襲うといった話は、いつの時代にも存在する都市伝説であり、例え作り話とわかっていても恐ろしいものだ。

 海外で、墓地を管理人やや火葬場に携わっている職員が経験した怖い話が海外掲示板に集められていた。

 奇妙な光景や不気味なものを見た、説明のつかない出来事を体験したなど、現場で働く人ならではのゾクっとする恐怖体験をしているようだ。


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1. 火葬炉の中で大暴れする死んだはずの男

 私は家族で火葬場を営んでいるが不思議な体験はたくさんある。2012年、体重が170キロはありそうな、とても大きな男を火葬することになった。

 私は火葬炉を予熱しておき、妻は火葬している間に観る映画を準備した。機械で彼を炉の中へ運び入れ、扉を閉めて腰を下ろした。

 扉を閉めて5分ほどしてから、ドスンという音を聞いたような気がした。私も妻もそれほど気にしなかったが、その後もまた何度か音がした。

 遺体の体内にまだペースメーカーが残っていたのではないかと思って、私は立ち上がった。だが、そんなはずはない。

 確か彼の内臓は取り除かれていたはずだ。ドシン、バタンという音はますます激しくなり、私たちは炉の正面の窓から中をのぞいてみた。そこで信じられないような光景を見た。

 なんど炉の中の男が、地獄の苦しみにのたうちまわるように炎の中で手足を振り回していたのだ。

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photo by istock

 火葬の間に手足が動くことがあるのは珍しいことではない。筋肉や腱が収縮して切れ、手足が脱落することはよくある。

 だが、この場合は明らかにそうしたケースとはまるでちがっていた。男は握りしめた拳で窓を激しく叩き、足を勢いよく蹴り出して、必死で炉から脱出しようとしているように見えた。口を大きく開け、最初はうめき声だったのが、叫び声になった。

 彼がまだ生きていた可能性など、絶対にあるはずがなかった。でも、私たちが炉を見に行ってから約20秒の間、彼は火葬炉の中で叫び、狂ったように手足を振り回していたのだ。

2. 積み重ねられた棺

 私の家族は5世代近く墓地を所有してきた。私も12歳のときから、墓地で働いている。敷地内の管理棟から30メートルほど後方に住居があった。

 子どもだった頃のある夜、祖父と叔父が遅くまで起きていて、午前4時に叔父がたまたま窓の外を見ると、木々の後ろを誰かが歩いているのが見えたという。

 街灯が道路の向こう側にあるいくつかの墓石を照らしていたが、そのときはなにも異常はなかった。

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 しかし、翌朝、7時に目覚めると警察が来ていた。午前4時にはなんでもなかった墓が、7つも掘り返され、墓石が意図的に積み上げられ、その後ろに棺が交互に奇妙な形に積み重ねられていた。

 機械を使えば、短時間でできるかもしれないが、当時は1950年代のこと。3時間もかからずにどうやってこんなことができたのだろうか。しかも、そばにある家の住人が誰も物音ひとつ聞いていないのだ。

3. 髪を撫でる手

 当時のガールフレンドで、現在は私の妻になった女性が、墓地に残って仕事をしていた私に夕食を届けるため、午後8時頃、立ち寄ってくれた。

 彼女が帰るとき、私は一緒に歩いて車まで送ったが、そのとき彼女が自分のポニーテールに触れて、振り向いた。

 どうしたのかと訊くと、「なんでもないわ。ポニーテールが木の枝にでもひっかかったのね、なにかが触れたような感じがしたの」と彼女は言った。

 一番近い木でも6メートルは離れているから、それはありえないと指摘すると、彼女は真っ青になった。

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photo by pixabay

 彼女は、確かに誰かに髪を触られて、ポニーテールを引っ張られたと言い張った。ふたりともすっかり恐ろしくなってしまった。その後、彼女は二度と墓地に私の夕食を持って来ることはなかった。

4. 繰り返される歴史

 デイヴはこの墓地のスタッフの最古参だ。もうずいぶん長いことここにいる。彼はスタッフに、ここで経験した不気味な出来事について語っていた。

80年代のことだった。俺(デイヴ)はここで老フランクと一緒に働き始めた。ある午後、子供の葬儀があった。エッグレトンという苗字が変わっていて、妙に頭に残った。

順調に棺を穴の中に下ろし、遺族もいなくなって、俺たちスタッフ8人だけになった。遺族が購入したボールトカバー(棺の保護容器)を下ろしていたとき、俺の握っていたロープが突然切れて、俺が支えていた側が大きな音をたてて落ちてしまった。

棺の蓋がはずれて、右側の底が見えた。そこには横たわった子どもの足が見えた。黒いズボンに白い靴だった。

その後、ほかの者がカバーを直している間に、俺は少し離れたベンチで座って待っていた。すると肩に手が置かれるのを感じた。顔を上げると、全身ブルーのスーツを着た若い男がじょうろを持っているのが見えた。

ほかの墓に供えられた花に水をやろうとしているような感じだった。その男はくすくす笑いながら言った。「誰でもやってしまうことだよね。心配しなくていいよ。僕らは最後はみんな埋められるんだから」

俺も一緒に笑い、男がカエデの木の下にある別の墓のほうへ歩いていってまた花に水をやるのを見ていた。俺は仲間たちのほうへ戻って、訊いてみた。幽霊の存在を信じていたからだ。「なあ、フランク、あの男は本当にあそこにいる?」

老フランクは答えた。「べつにおかしなことはない。もちろん、彼はあそこにいるよ」俺は笑って、もう一度、その方向を見てみたが、今度は男の姿はもうなかった。

老フランクがあんなにぎょっとするのを見たことがなかった。彼は言う。「あの墓はひとつで、まだ掘られてもいない。墓石があるはずがない」

そして、老フランクは俺を脇に連れて行って、ふたりだけの秘密だと言った。俺は墓地のほうへ10歩ほど歩いて驚いた。

そこには何もなかったのだ。墓石も何も。


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photo by pixabay

 数年が過ぎ、デイヴは死んだ。
 現在はほとんど使われていない古い区画に彼は埋葬された。

 私たちは彼の棺を穴に下ろしたが、不慣れなパートタイムの若造が、重さに耐えられずにボールトカバーを落としてしまった。なんとかうまく片付けた後で、私はその若造に、心配するな、誰でもやっちまうことだからと言った。

 私はデイヴのために手向けられた花に水をやるために桶を持ってきて、ベンチに座っている若造の肩に手をかけて、桶に水を入れながらジョークを言った。そして、高台へとのぼっていきながら、ひとつの墓に気づいた。そこには、忘れもしない"エッグレトン"という名が刻まれていた。

 デイヴの墓をまっすぐ見据えて、墓があるカエデの木へと向かった。自分の体を見ると、濃紺のスーツを着ていて驚いた。すぐに記録を調べて、デイヴがいつこの墓を買ったのかしらみつぶしに調べた。

 デイヴも彼の家族も墓など買っていなかった。あの墓を買った者は誰もいなかったのだ。

5. 歩き回る体のない脚

 私は21歳のとき、副業として墓地で働いた。一時間ごとに墓地を車でパトロールする仕事だ。この墓地は巨大で、3つの区域に分かれていた。一番新しいエリア、歴史あるエリア、有名人が埋葬されている有名エリアだ。

 その日は真っ暗な夜だった。車で長いカーブのある道にさしかかったとき、ヘッドライトがとんでもないものをとらえた。膝までの二本の足だけが道路を横断していたのだ。誓って胴体も頭もなかった。

 思わず車を停めて、前方3メートルほどのところを歩いている脚をただひたすら見つめた。そして、車をUターンさせ、一目散で駐車場へ戻った。

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photo by pixabay

6. 家族の元を繰り返し訊ねる幽霊


 ある午後、ぼくと同僚はゴミ拾いをしながら道を歩いていた。墓地のとある霊廟のそばの道を曲がったとき、年の頃は60代後半から70代前半くらいの老紳士が霊廟の壁にもたれて、そばの墓を眺めているのが見えた。

 男の服装は奇妙だった。コーデュロイのジャケットに、新聞の売り子がかぶるような帽子、長いパンツ、きっちりボタンをとめたシャツといった少し時代遅れのいでたちだったが、高齢者にはありがちなことと思い、気にも留めなかった。

 もうひとつ妙だったのは、男がテルモスや蓋つきのスタイロフォームのカップではなく、陶器のマグでコーヒーを飲んでいたことだ。

 ぼくたちはそのまま通り過ぎ、同僚の女性が、"ちょっとヘンだわ"と言ったので、振り返ったが、もうその老紳士はいなかった。ぼくたちは戻って、あたりを探してみたが、男の姿はまったくなかった。

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photo by istock

 数日後、仕事に行ったとき、古株の同僚に東のセクションで例の老紳士を見かけたことを話した。すると、彼は笑って言った。「その人はコーヒーマグを持っていなかったかい? 彼はね、幽霊なんだよ。実際はあそこにいたわけではないんだ」

 説明を求めると、彼もあの場所で、コーヒーマグを持って、家族の墓を見つめている老紳士をいつも見かけるのだそうだ。

 そこには彼の妻とふたりの娘、そして老紳士自身の墓があるという。彼自身は70年代始めに亡くなっているが、妻と娘たちはそれよりも数十年早く、同じ病で亡くなったらしい。生前も彼は妻と娘の墓によく詣でていたのだろう。彼が見えるのはほんの数秒で、すぐに消えてしまうのだという。

7. 妻の墓を訪れる謎めいた男

 ある日、霊廟でひとりの老人とおしゃべりをした。彼は妻のことを長々と語り、彼女の大理石でできた墓がいかにすばらしいかを話して、妻の隣のくぼみに自分の手を置いていた。

 老人と別れた後で、彼が手をおいていた場所を見ると、死亡日が刻んであった。普通、死亡日は埋葬されてから刻まれるはずのものだ。不気味だった。

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8. 空の棺


 家族が所有していたおよそ100年前の墓地を市が開発しようとしたので、一部を売って墓地の仕事は続けることにした。

 開発にあたって、遺族全員にご遺体を新しいエリアに移すことを告知しなくてはならなかった。当時は、ブルドーザーや穴を掘る大型重機がまだ一般的でなかったため、移動は手作業で行われた。

 地面が掘られて棺が引き出され、墓石と一緒に新しい区画へ移動させた。当時、一般的に棺は木製で、装飾のついた布が上にかけられていた。

 棺の重量は、遺体が入っているときと同じか、それよりも軽いはずだった。多くの場合、遺体が中にあれば重さで見分けられる。

 市に売ったもっとも北の端のエリアに取り掛かったとき、出てきた棺はやけに軽かった。中の遺体が滑って片側に寄り、側面に当たる音がしていたが、その音もだんだんかすかになり、残りの20ほどの棺にはなにも入っていない様子だった。

 遺族の許可を得て、棺を開けてみると、果たして中は空で、そこには最初からなにも入っていなかったようだった。

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9. ひとりでに着火する火葬炉


 火葬炉には普通、排気装置がある。ある夜、寝ていると妻に揺り起こされた。起き上がって窓の外を見ると、まるで火葬を行っているときのように、排気口からもくもくと煙が上がっていた。

 だが、火葬炉を動かせるのは私たちだけで、今時分、あそこには誰もいないはずだった。火葬炉に点火するなど、ありえないことだった。

 妻に警察へ連絡させて、私は現場に向かった。炉の中では高熱の火が燃え盛っているようで、どうにかしてすぐに火を消さなくてはならない。

 いつものように、ライトはすべて消えていて、ドアもロックしてあった。中に入ると、炉の中は炎で真っ赤になっていたが、中には燃えるものはなにもない。

 いつも、炉は使い終わったら隅々まできれいにする。炎だけで煙が発生することもあるが、私たちが窓から見た濃い灰色と黒の煙は、実際になにかが燃えて出た煙だった。

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 私は火を消し、窓や裏のドアを調べたが、すべて施錠されていて、異常はなかった。天井の出口へ続く梯子はあるが、そこも内側から鍵がかかっていた。

 警察が来て調べたが、外部からの侵入者の痕跡はなかった。誰かが炉の火をつけっぱなしにして、出て行ったせいではと言われたが、私たち夫婦は互いにそんなことをするはずはないことはわかっていた。一生忘れられない事件だった。

10. 完全に消えてしまった女性

 私は、午後4時から午前0時までのシフトで働いていた。火葬場はたいてい午後6時に閉まるので、5時半にはメインのゲートを施錠する。それから、墓地じゅうを車で巡回して、訪問者にもうすぐ閉園である旨を伝えて回る。

 その日、最後の見回りの途中だった。ひとりの老婦人が霊廟の脇の歩道をゆっくりと歩いていた。その霊廟はとても大きなものだったが、中に入り込むことはできない。歩道はまっすぐ霊廟に沿って続いている。

 私は、その老婦人の後ろに車を停めて、閉園時間だと伝えようと、車を降りてドアを閉めた。そのほんのわずかな瞬間、彼女から目を離し、もう一度、目を上げたとき、その老婦人の姿はもうなかった。完全に消えてしまったのだ。

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 最初は、超常現象的なことはなにも頭に浮かばなかった。単純に彼女の姿を見失っただけだと思った。だが、歩道や道には誰もいない。霊廟の裏も探したがいない。

 霊廟の向かいは広い墓地になっていて、すべての墓石の列に目を凝らしたが、人らしきものはなにも見えない。私は見回りを終わらせ、車の中で考えた。

 あれは確かに人だった。間違いなく見たのだ。光の悪戯などでもないし、幻覚でもない。それは断言できる。

References:Working at a cemetery is a unique experience. / ranker/ written by konohazuku / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52273150.html
 

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