今年5月からの新たな元号が「令和」に決まり、街中では祝賀ムードが広がっています。発表当日にさっそく、「令和」の名前を冠した商品を発売したり、「令和セール」と題した販促活動を行う事業者が続出したりするなど「元号ビジネス」も活発化。政治の世界でも、「れいわ」を付けた政治団体が発足しました。

 しかし、そもそも商品やサービス、団体名などに元号を使用することは法的に問題ないのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

原則として問題はないが…

Q.「令和」の名前を使った商品が発売されたり、「令和セール」と名付けた販促活動が実施されたりしています。しかし、商品名や販促活動に元号を使うことは法的に問題ないのでしょうか。

牧野さん「原則として問題ありませんが、商標登録をしていなくても、元号を使ったある商品が有名になり、顧客誘引力が出て、法律的に『著名表示』や『周知表示』となった場合、その後、同一・類似の商品名を使用することは不正競争行為に該当し、不正競争防止法違反となる可能性があります。その場合、民事責任(損害賠償責任・差し止め請求を受ける可能性)、刑事責任(5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金)を負う可能性があります」

Q.「令和」のように施行前のものも含め、元号を使った商品は商標登録できるのでしょうか。

牧野さん「特許庁のホームページには、『元号(現元号であるか否かを問わない)として認識されるにすぎない商標は、自他の商品の識別力がないため、商標登録を受けることはできません』と明記されています。仮に『令和○○』『明治○○』など他の単語と組み合わせたとしても、識別力のない文字など(例えば、商品または役務の普通名称)との組み合わせ、例えば『令和まんじゅう』では、識別力がなく、商標登録を受けることはできません。

ただし、識別力のある(独自性のある)文字や単語と組み合わせたり、その商品名が広く知られるようになって識別力を持ったりすれば、商標登録できる可能性はあります。また、中国などの外国では、元号単体でも登録できる可能性はあるでしょう。商標の制度や審査基準は、国ごとに異なるからです」

Q.明治ホールディングスや大正製薬、帝京平成大学のように、名称の一部が元号と同じ企業や学校があります。元号と同じ社名や学校名を新たに登記できるのでしょうか。

牧野さん「元号を使った社名や学校名の法人登記は可能です。従来は類似商号規制というものがあり、『同一の市町村内で、同一の営業目的で、他の会社と同一もしくは類似する商号』は登記できませんでしたが、現在では、その規制は廃止されています。

しかし、どのような商号でも登記できるわけではありません。不正競争防止法により、他人が使用している商号と同一・類似の表示を使用すると、商号の不正使用による差し止め請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。例えば、有名なブランド名を商号に使用することは、当然できません」

Q.山本太郎参院議員が政治団体れいわ新選組」を立ち上げました。政治団体名や政党名に元号を使うのも自由なのでしょうか。

牧野さん「他の著名な政治団体名や政党名と混同しなければ、使用することは基本的に問題ないでしょう。ただし、商標登録は自他識別力が弱いので難しいかと思いますが、今後使用が反復・継続されることによって自他識別力が出てくれば、商標登録の可能性があるかもしれません」

Q.なぜ、元号を使ったビジネスが盛んになるのでしょうか。

牧野さん「時流に乗って商売をしようとするからです。早いもの勝ちですので、先に登録して有名にすれば不正競争防止法リスクはなくなるでしょう」

オトナンサー編集部

元号を使ったビジネス、法的に問題ない?