■月の大気の観測やインパクターの衝突から月に水があることは分かっていたが、出処ははっきりしなかった
■NASAのLADEEによる大気の観測で、流星群の衝突のたびに水が検出される
■流星の質量ではカバーできないほどの水が検出されていることから、水の発生源は土壌であると考えられる
あの乾いた月の表面直下に豊かな水が?
月は乾いていて、埃っぽい場所だと考えられていたが、ここ数年で北極や南極、日の当たらないクレーターの影などにまとまった水が見つかっている。
しかし、もっとたくさんの水が隠れていたようだ。それも大量に。
新たな研究で、月の表面から数センチの土壌に豊かな水が存在する可能性が浮上した。その研究は「Nature Geoscience」に掲載されている。
https://www.nature.com/articles/s41561-019-0345-3
流星群の衝突のたびに検出される大量の水
これまでにも、そうした水の存在は示されていた。
しかし、その水がどこから現れたのかは分かっておらず、太陽風や流星によってもたらされたものだろうと考えられていた。
今回の新たな研究で、ほぼ確実に月の表面直下に水が存在することが判明した。
2013年から2014年に、NASAがLADEE(月大気・ダスト環境探査機)を使って月の大気を調べていたところ、736回も水を検出したのだ。
33回は通常よりも量が多く、そのうちの29回は大量の小さな衝突を起こす例年の流星群に一致していた。つまり、流星の衝突で水が出現するということのようだ。
この現象は流星に水が含まれているために起きるのだろうか?
流星の質量ではカバーできないほどの水、月の表面直下のものか
大気の水を観測した結果、流星の質量の5.4から12.8倍もの水が放出された。この水量は衝突した流星の水とは考えられない。
つまり、月そのものの土壌に吸収されている水が放出されたものである可能性が高いのだ。
月の表面から8cm程度までは非常に乾燥しているが、そこから地中約3メートルには密度0.05%ほどの水がまんべんなく分布している。
月の表面直下は完全に乾燥しているわけではないのだ。
そして流星の衝突によって毎年どのぐらい水が放出するのかを計算したところ、200トンほどにもなることがわかった。ちょうど風呂1000杯分くらいだ。
この事実から予測すると、水が月にもたらされたのはかなり昔で、月が形成された当時にはすでに存在していたと考えられる。
この発見は、月面での有人ミッションにとっては良いニュースだ。月面の水の起源を知り、どのように失われていったのかを理解する新たな手がかりになるだろう。
遠い昔には、月にも水たまりができるほどの水があったのだろうか。月にも生命がいたかもしれないという説もあるが、あれもあながち間違いとは言い切れないかもしれない。
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