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Point
■外出するネコは、ずっと室内で飼われているネコよりも、寄生虫や病原菌に感染する確率が3倍も高い
■赤道から離れている地域ほどネコの感染率は高い
■ネコに感染する病原体のほとんどは、人間にも害を与えるものなので注意が必要

猫様とだったら「死なばもろとも」…?

犬はともかく、ネコを飼うなら「家の中」というイメージがある。ところがアラバマ州・オーバーン大学の研究によると、外出をするネコは、ずっと屋内にいるネコよりも病原菌や寄生虫に感染する確率が約3倍も高いことが判明した。脱走癖のある猫たちにすれば、かなり困ったニュースだ。

詳しい報告は、4月17日付けで「Biology Letters」に掲載されている。

Who let the cats out? A global meta-analysis on risk of parasitic infection in indoor versus outdoor domestic cats (Felis catus)
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsbl.2018.0840

赤道から遠いほど感染率アップ!?

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主任研究員のKayleigh Chalkowski氏によれば「感染はネコだけの問題ではなく、ネコを媒介にして飼い主にも伝染する危険性がある」とのこと。

しかも研究のデータを見ると、「赤道から離れている地域に住むネコほど、寄生虫やウイルスに感染しやすくなる」という事実が発見された。

緯度が1度(約111km)上がるにしたがって、ネコの感染率も4%上昇する。ふつう、赤道付近の熱帯地方の方が害虫も豊富で寄生虫に感染しやすそうだが、実はまったく逆だったようだ。

またネコへの感染ルートは、土や他の猫との接触、また捕食対象とするネズミや小鳥への接触など、数え上げるとキリがない。ただし、一度外を覚えた猫を中に押し込めるのは容易ではないだろう。

室内で飼う派vs外に出す派

結局、ネコは「室内で飼う派」と「外に出す派」でどちらが得策なのだろうか。

研究チームは、スペインカナダオーストラリア、ブラジル、オランダを含む十数ヶ国から集めた、ネコに感染する病原体19種を詳しく調査した。

すると、ネコに寄生する害虫のほとんどが人間にも悪影響を及ぼすものであることが判明。とくに「猫回虫」は「トキソプラズマ症」を引き起こす原因でもあり、かなり危険視されている。

「トキソプラズマ症」は、悪化すると脳炎や神経系障害を起こす。さらに妊婦が感染すると、胎児が先天性トキソプラズマ症を発症してしまう恐れがあるのだ。

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最近では世界中でネコの散歩も流行っているみたいだし、ネコが外出する機会もますます増えるだろう。

う〜ん、やっぱり屋内で飼った方が良さそうな雰囲気。

 

reference: phys.org / written & text by くらのすけ
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