春になると新社会人らしき人々の姿を町の中で見かけるようになる。みんなビシッとしたスーツに身を包み、どこか初々しさを感じさせる。その表情には新しい環境に対するワクワク感と緊張感が溢れ、見ていると自分が社会人になったばかりのことを思い出す。

毎年不思議に思うのだが、4月のうちは一目で新社会人とわかるような雰囲気を感じさせていた人々が、5月の連休を過ぎた頃には見分けがつかない。きっと1ヶ月を過ぎた頃にはみんな新しい環境に慣れ、立派な社会人としてのふるまいを身につけるのだろうと思う。一目で新社会人だとわかるほどの初々しさが溢れるのは短い一時期なのかもしれない。

さて、自分のことを思い返してみても、新社会人として未知の環境に踏み出していく時は知らないことだらけで色々と困ったものだ。社会に出るにあたって知っておいた方がいいことについて「教えて!gooウォッチ」で探してみたところ、以下の3つが発見されたので紹介しよう。

■定期代の範囲よりも手前の駅を利用して節約するのはOK?

毎日通勤するにあたって、会社から定期代が支給されるという方がほとんどだと思う。例えばの話なのだが、自宅の最寄り駅から会社の最寄り駅までの定期代を会社からもらっておきつつ、実際には一駅手前までの定期を買って差額をふところに入れる、なんていうことをしたら法律的に問題があるのだろうか。

弁護士の鬼沢健士さんはこう語る。

「会社が定める交通費の基準によります。例えば『通勤に要する実費を支給する』という規定である場合、支給されている額と実際に払っている額の差額を返還しなければいけません。その一方で、『通勤方法を問わず、自宅から会社の最寄り駅までの公共交通機関を利用した場合の額を支給する』という規定であれば、会社は通勤することに対してお金を払っていることになるので、差額をもらっても問題はないでしょう」(教えて!gooウォッチ「定期代を支給されているのにひと駅手前を利用。これって法的に問題ある?」より)。

会社の規定をきっちり把握しておかないと後々になって痛い目をみることになりそうだ。ちなみに自宅から会社までの通勤ルートが何パターンかある場合、どれを選んでもいいものだろうか。

「会社が支給するべき交通費について定めた法律はありません。交通費として、どのような基準で支給するのかは会社次第です。一般的に通勤ルートまで指定されていることは少ないと思います」(鬼沢さん)

とはいえ、こちらについても会社の規定によるのが大前提だ。慎重を期すに越したことはない。しっかり確認しておこう。

■会社は社員に健康診断を強制できる?

入社すると定期的に受けることになるのが健康診断だ。かなり時間がとられる上、忙しい時期に受診日が重なったりして面倒に感じることもあるかもしれない。筆者にとっては、前日の夜から食事やお酒を控えなくてはならないというのがすごく辛かった……。

会社から受診するように言われた健康診断を拒否することってできるのだろうか。また、その場合、ペナルティを受ける可能性はあるのだろうか。

法律事務所アルシエン共同代表パートナーの清水陽平弁護士によると、まず、事業者が労働者に医師による健康診断を行わなければならないということが労働安全衛生法という法律で定められているという(教えて!gooウォッチ「健康診断を拒否した従業員に会社はペナルティを科すことが出来る?」より)。

では事業者にとっては義務である健康診断を労働者側が拒否した場合はどうだろうか。

「会社は、従業員に対して、業務命令として健康診断の受診を命じることができると考えられます。従業員が命令に反して健康診断を受けなければ、会社は懲戒処分を科すことも可能です(中略)会社は、従業員の安全に配慮しなければならない義務があり、従業員も業務にあたり自分の健康を保持する義務があります」(清水さん)

そう言われてみると、健康を維持し、仕事に支障をきたさぬように配慮することは労働者の義務でもある。もちろん自分の体のためにも、面倒くさがらずに健康診断を受けるようにしよう。

■社員旅行ってなんのために存在するの?

前述の健康診断よりも人によってはもっともっと面倒に感じるのが社員旅行ではないだろうか。貴重な週末を潰して社員旅行に出かけ、行った先では上司におべっかを使って疲れ果て……と、なかなか気が重いものだ。

そもそもなぜ社員旅行というものが存在するのだろうか。元国税庁調査官で税理士の松嶋洋氏によると、会社側に社員旅行を開催することによるメリットがあるのだという(教えて!gooウォッチ「会社が社員旅行や社員研修をやりたがる隠された理由とは…?」より)。

「福利厚生としての社員旅行は法人の節税の王道の一つです。社員旅行については、以下の要件を満たす限り、福利厚生費として法人の経費になります。

(1)旅行の期間が4泊5日以内であること(海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること)

(2)旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること(工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の50%以上が参加すること)」(松嶋さん)

つまり、社員旅行は会社にとって節税のチャンスだというのだ。ただ、例えば「参加した人数が全体の人数の50%以上であること」という条件を満たせなかった場合は福利厚生費として経費に計上できず、参加者各自の給与に旅行費が上乗せされ、結果的に所得税の源泉徴収額が増えるという悲劇にもつながってしまうことも。

少し気が進まなくても、写真旅行は会社の人たちと親睦を深めるチャンスと考え、できる限り参加した方がよさそうである。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)

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