上川隆也扮(ふん)するパーフェクトな執事・西園寺一(さいおんじ・はじめ)が、忠誠を誓う“奥さま”のために名推理でさまざまな事件を解決していく人気ドラマの第2弾「金曜8時のドラマ『執事 西園寺の名推理2』」(毎週金曜夜8:00-8:54、テレビ東京系ほか)が、4月19日(金)よりスタート。
前作でハウスキーピングや格闘技などのスキルを披露した西園寺は、今作でもイリュージョン、スケートなど、驚くべき才能を発揮しながら奥さまの願いをかなえるべく奮闘する。
今回は、西園寺役の上川と、西園寺を疎ましく思いながらも共に事件解決に奔走する刑事・丸山を演じる佐藤二朗のスペシャル対談が実現。
劇中ではあり得ない(!?)息の合ったやりとりで、作品への思いや同じ誕生日同士という不思議な縁で結ばれている互いの印象などを語る。
執事にお願いしたいことという質問では、2人のプライベートが垣間見えるとっておきのエピソードも!
――いよいよ「シーズン2」が始まりますね。
上川:去年の撮影において、われわれが想定していた以上に物語の骨子がしっかりと固まったという実感があったんです。同様にお客様からのご支持も頂けたという手応えもあったので、それを礎にして今回は撮影に臨んでいます。題名に「2」と付きましたけれど、前回からずっと続いているような感覚です。
夏から冬にかけて起こったのであろう伊集院家の周辺での物語があって、そしてこの春の出来事を、また皆さまにご覧いただけるというような。だからこそ、妙に力んだ姿勢で臨まないよう、1年前にご覧頂いた風景はそのままにお届けしたいと思っています。
佐藤:本当にそうですね。上川さんが仰ったことをそのままパクるわけではありませんけど(笑)、「2」だから特別に何かをするということではなくて。
個人的なことで言うならば、前作の最終話まで演じて何となくできた丸山というキャラクターの続きを、また楽しんでやりたいなと思っています。
――相容れない感じの西園寺と丸山の関係にも変化が?
上川:前作の最終話での共闘やエンドロールの中で見せたほほ笑みなどをもちろん踏まえた上ではありますけど、決して馴れ合うべき2人ではないと思っています。
それをくぐり抜けた2人としてのある種“犬猿の仲”のような関係は生かしていきたいと。でもそれは作品の中にも反映されているので、西園寺と丸山の距離感が変わっていることは確かです。微妙ではありますが、確実な変化を感じていただけるように、そこは意識しながら演じるようにしています。
佐藤:前作の丸山は西園寺に対して「何だコイツ」っていう感じだったと思うんです。でも、西園寺はただ奥さまを守りたいだけ、ちょっと超人的な能力を持っている人物だということを分かった上で接しているので、ブツクサ言いながらもコイツの言うことを聞いておけば事件は解決するだろうと思って相手にしているのかなと。
直接的に描かれてはいませんけど、丸山も非常に熱いものを持った刑事なので。西園寺と丸山の微妙な距離感のようなものは残しておきたいですね。
――丸山から西園寺に歩み寄っている感じ?
佐藤:それはどうか分かりませんけど、煙たがりながらもコイツを少し信用してもいいのかなって感じているのかもしれませんね。
――いつの間にか、メールアドレスを知られていますしね。
佐藤:そうなんです。この間そのシーンを撮りましたけど、西園寺からの返信が早い(笑)。絵文字も入っていたりして。とにかく、奥さまを守りたいという思いが極端に強いので、変わっている人だということは明らかだと思います。
上川:変わっています(笑)。
佐藤:いろんなことが優秀だから変わっているということではなくて、こんなこと言っていいのかどうか分からないですけど、人間的にも欠落しているというか奥さまのことになると周りが見えなくなっちゃうんですよ。
そういう意味では、ほころびだらけの人。完璧なヒーローには感情移入しにくいけど、その不完全なところにかわいらしさや愛着を感じるのかもしれませんね。まぁ、一つ言えるのは、丸山の方が確実に西園寺より大人だということですね(笑)。
上川:はい(笑)。
佐藤:ちょっと見守ってやるかぐらいの気持ちがあるんじゃないかなと思いながら演じています。
■ 上川「柔軟性の欠如でもある」
――佐藤さんの言葉に深く頷いていましたが…。
上川:欠落として捉えるかどうかは別にして、西園寺の思いのかたくなさっていうのは逆に申し上げるならば、柔軟性の欠如でもあるわけです。それは例えば、欠落と捉えてもらうことも不可能ではない受け止め方でしょう。
西園寺の行動が共演している二朗さんにもくみ取り切れないという思いは演じている僕も感じています。
でも、「西園寺はこういう人間です」というような決まりきったPROFILEを押し付ける必要すらないんじゃないかと思っています。その余白は演者としては面白味でもあるんです。
佐藤:今、上川さんのお話を伺っていて、西園寺という人は柔軟性が欠如していて、常軌を逸しているようなところが愛されているんだろうなって感じた場面があったことを思い出したんですよ。でも、どの回だったか忘れてしまいました。第1話だったかな?
上川:今回の1話?
佐藤:あ、違います。シーズン1のどこかだと思います。完璧じゃないから愛されるんですよねといった話を上川さんとした記憶があるんですよね。
上川:どの回でしょうか? 前作の1話はお菓子のコンテストの話でした。
佐藤:じゃあ、違います。う~ん、思い出せない(笑)。
――誰がゲスト出演した回ですか?
佐藤:それも出てこない(笑)。奥さまを守るために一直線な動きをした西園寺の姿に「おぉっ!」ってなったんですよ。
――何かヒントがあればいいんですけど…。
佐藤:あっ、思い出した!
上川:何ですか?
佐藤:奥さまと、ゲストの田中美奈子さんが演じた外科医が縄で縛られて人質に取られているシーンです。西園寺が助けに来たんですけど、奥さまの縄だけほどいて外科医はそのまま。
それをOAで見て思わず笑っちゃったんですよ。普通の人間だったら、もう一人の縄もほどくじゃないですか(笑)。
上川:はい(笑)。
佐藤:ただ奥さまを守りたいというそのかたくなさはすごいなと。人としてどこか欠落しているんだけど、そこが西園寺の魅力なんでしょうねっていう話を上川さんにしたんですよ。あ~、良かったぁ、思い出して(笑)。
――(笑)。お二人は誕生日が一緒ということで、2018年に撮影現場でお祝いされたとき、上川さんが「二朗さんにはシンパシーを感じます」とコメントしていたんですが、どの辺に近しいものを感じていますか?
上川:シンパシーと憧れの両方の目で見ています。そもそも同じ誕生日の方と仕事をご一緒する機会はとても少ないので、その1点において、すでにシンパシーを感じています。
一方で今、ずっとお話を伺っていて思ったのは、よく周りをご覧になっていて、ほんの小さな出来事を笑いに昇華していける。そうした目端の情報の捉え方や調理の仕方に感心させられます。僕にはできないことなんです。そういう感性に対しては純粋に憧れます。
佐藤:恐れ入ります…(笑)。
上川:僕はエピソードの調理ができないんです。そのままお伝えするだけで、何の面白味も加味できないということが歯がゆいばかり。そういうところは、本当に尊敬しています。
佐藤:お芝居をする上で、割と“合う、合わない”ってあったりするんですよ。
劇中では犬猿の仲のような関係ですけど、上川さんは非常に信頼できる共演者なんです。そこが一番大きいですね。安心感があります。
■ 佐藤「たまには外で飲んでみたい」
――もし、執事がそばにいたらどんなことを頼んでみたいですか?
上川:ネットショッピングを楽しみたいです。僕は本名なので、やっぱりそこに抵抗があるんです。大変便利であるということは分かっているんですけど、自分の名前で申し込むことに憚りを感じてしまって手を出せずにいるんです。もし、執事の方がいらっしゃったら少し生活がしやすくなるのではないでしょうか。
佐藤:なかなか現実的ですね。
上川:自分の事は自分でやれば良いんでしょうけれど(笑)。
上川:どういう意味ですか?(笑)
佐藤:僕も本名ですけど、佐藤二朗はたくさんいますから。
佐藤:こんな名前、そこらじゅうにいますよ(笑)。
上川:でも、日本で“サトウジロウ”って言ったら、最初に名前が挙がるのは“佐藤二朗”です。朗らかな「朗」の二朗さんです(笑)。
佐藤:(笑)。僕はお酒が好きで毎日晩酌をするんですけど、たまには外で飲んでみたいなぁという気持ちがあるんです。これは、酒飲みなら分かってくれるんですけど、嫁には理解してもらえなくて。
だから、嫁の名前を借りて「○○ちゃん」って。居酒屋みたいな感じで「○○ちゃん、次は砂肝を!」なんて言いながら家で晩酌したことがあるんです。その日に出てくるメニューは知っているけど、ちょっと外の飲み屋で酒を飲んでいる雰囲気を味わいたくて。
上川:居酒屋プレイですか?(笑)。
佐藤:ええ。プレイと呼んでいただいて何の差し支えもないですけど(笑)、それを2日間だけ楽しみました。嫁が付き合ってくれたのはその時だけ。だから、それを執事にお願いしたいですね。外飲みの雰囲気を味わいたいです。
上川:執事に店主を演じていただくということですか。
佐藤:それだけで十分です。
上川:じゃあ、料理人でいいんじゃないですか?(笑)
佐藤:いやいや、料理は嫁が一番!…ということにしておきましょう(笑)。
■ 得意な家事を明かす
――西園寺は家事も完璧にこなしますけど、お二人が得意な家事は?
上川:どこまでが家事なのか難しいところですけど、逆にこれですって申し上げられるようなことをしていないかもしれません。我が家ではこれといった決め事がありませんし、家事の分担もしていないんです。気が付いたらやる。掃除機もかけますし、お皿も洗います。お風呂掃除もやっています。
佐藤:それは、すごいことですよ。
上川:でも、お互いさまなので。僕だけがやっているわけではないんです。
佐藤:手が空いている方がやるってことですよね。
上川:そういうことになります。
佐藤:それは理想の形ですよ。
上川:これが「上川家」の業務形態です(笑)。
佐藤:もう「上川家」の話を聞いたら「佐藤家」の業務形態は話せません(笑)。
掃除、皿洗いは正直あまりやらないなぁ。風呂洗いとかはやるけど。これは、世のザテレビジョンさんの女性読者に怒られてしまいますね(笑)。
――料理はどうですか?
佐藤:僕が唯一作る料理は「砂肝の塩胡椒にんにく炒め」。酒のつまみです。
上川:おいしそうです。
佐藤:砂肝の筋を切ったり、にんにくを細かく刻むのは嫁。
上川:下準備は、全部奥さまが?
――佐藤さんは何をするんですか?
佐藤:僕は炒めるだけ(笑)。料理の「ジャーッ」っていう音が好きなんですよ。あの音を聞くと食欲が湧いてきますね。(ザテレビジョン・取材・文=月山武桜)
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