連続テレビ小説なつぞら
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

第3週「なつよ、これが青春だ」 16話(4月18日・木 放送 演出・木村隆文)視聴記録
食べながら歩く
18日放送の「ごごナマ」でゲストの一路真輝と司会の船越英一郎と美保純が何がやりながらしゃべる芝居の難しさについて語っていた。ほんに何もやらずにしゃべるだけの場面は不自然になりがち。「なつぞら」16話では、そのただしゃべるだけになりそうな危険を回避するかのように、歩きながらしゃべるという場面があった。
なつと雪次郎は、ものを食べながら歩きながらしゃべる。お行儀が悪いようにも思うが、3つの動作をすることで、画面が単調ではなくなる。なんといっても手元がだらーんとならないから俳優としては助かると思う。
タバコもそういうときに役に立つのだが、最近の世の中は喫煙に厳しいので使えなくなってきて俳優としては苦しいことであろう。
演劇部顧問の倉田先生(柄本佑)はタバコを吸おうとして、雪月のトヨに高校生と間違えられ、それを機会に禁煙を決意。この時代にタバコを吸う人がぜんぜんいない不自然さに理由をつけつつ、ついタバコを吸いたくなってしまう動作を入れて、芝居を膨らませていく。脚本、演出、俳優の三位一体コンビネーションのよさを以前もこの連載で評価したが、16回も良かった。

発情問題
重ねるといえば、牛の発情と人間の発情も重ねて描かれた。
農協と酪農家たちとの問題になつが悩んでいると、演劇部の顧問・倉田先生が助言。でもますますなつは混乱してしまう。それを天陽くんがうまいこと説明してくれて、なつは感動する。
なつと天陽の背後に大きな葉っぱがたくさん生えていてファンタジックだなあとほっこりしていると、天陽くんの牛が発情して、現実に立ち返らされる。
牛の面倒を見てなつが帰宅すると、泰樹が「人間が発情したらどうするんだ」「世間からふしだらと思われるようなことするな」と言い出し、なつは憤慨。
そのあとの泰樹の返しが傑作だ。
「そう言われないほうが男として見くびられとる!」
男の本能、男のプライド、なつに対する心配、このセリフのなかにいろんな感情が渦巻いている。

場面変わって、翌日の高校。授業で、乳牛のメスは21日ごとに発情を繰り返すと、先生が説明している。
どうしようもない生き物の本能が説明されているのだが、なつは受け入れられない。
怒りが収まらないなつを、牛を追い込むようにおいかける雪次郎の動きもいい。なつのちょっとしたむっとした顔などもうまいし、山田裕貴もいい動きをしている。
お菓子屋のあとを継ぐために農業高校に通っているという雪次郎は、授業中もお菓子作業の手付きをしている。

人間の育ってきた環境がその言動に表れる(貫通行動)、それを表現するよう提唱している書が、雪次郎がなつに渡したスタニスラフスキイの「俳優修業」である。
この小道具を出してくるだけあって、このドラマではちゃんとスタニスラフスキイシステムを念頭にして演技が行われているように見える。

なつ、演劇をすすめられる
演劇を熱心にやっている倉田先生演じる柄本佑は、演劇論を熱心に勉強している人物として役を演じている印象だ。そして日常の問題を演劇で解決することをなつに提案する。
いまだに強い影響を誇るロシアの演劇人・スタニスラフスキイの「演劇修業」は1955年10月に未来社から出版された。正確には、1943年に道統社から出て、1951年には創元社から再刊、そのあと、未来社版となる。アメリカではじめて翻訳されたのは1936年(「俳優修業」あとがきより)。演劇への勉強熱心な者たちは夢中で読んだことだろうし、影響も大きかったと思う。その時代の空気が、なつたち登場人物たちを動かしていく。

なつがわからないと思いながら本を読んでいるとき、風車がゆるゆると動いて、やがて激しくカラカラと回っていく。この画が思春期のなつを表しているようで心をざわつかせる。
この奥行きの深いドラマが高視聴率をとっていることが喜ばしい。

第3週「なつよ、これが青春だ」(4月13日・月〜)あらすじ
昭和30 年初夏、なつは牧場を手伝いつつ、農業高校に通っていた。ある朝、母牛が産気づき、泰樹は出産の準備をするが、生まれた仔牛は息絶えようとしていた。動揺する泰樹たちの前で、なつは思わぬ行動で仔牛の命を救う。一方、柴田家では酪農の経営をめぐり、泰樹と剛男がぶつかっていた。家族の仲違いに悩むなつは同級生の雪次郎(山田裕貴)に相談すると、演劇部顧問・倉田先生(柄本佑)を紹介される。倉田のアドバイスは意外なものだった!

第18回(4月20日・土 放送)あらすじ
乳業メーカーをめぐる富士子(松嶋菜々子)と剛男(藤木直人)の対応に、泰樹(草刈正雄)は心を閉ざしてしまう。その夜、なつ(広瀬すず)は、泰樹と気が合わない剛男となぜ結婚したのか、富士子に尋ねる。すると富士子は、剛男が抱えていた境遇や結婚に至った経緯を静かに語りだした。そしてなつは、演劇部の練習室を訪問。泰樹のために、自分にできることはあるか、顧問の倉田に尋ねる。

18話、ここが気になる。
◯富士子と剛男のなれそめ。
◯なつは演劇をやるのか???
◯かたくなに心を閉ざしていく泰樹はどうなる?

登場人物とキャスト 登場順
奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。生きるために感情を押し殺してきたが、柴田家、とりわけ泰樹と触れ合うことで、素直に感情を出せるようになっていく。これからは酪農の時代だと考え、十勝農業高校で学んでいる。
佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。妻を「ふじこちゃん」と呼ぶときがある。1955年時点では音問別農協組合で働いている。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 清原翔(13 回から) 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。搾乳をさせてもらえない代わりに薪割りを頑張っていたが、なつが来たことを機にようやく搾乳させてもらえた。
柴田夕見子 福地桃子(13回から)幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。勉強が好き。牛乳嫌い。同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。
柴田明美 平尾菜々花(13回から) 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。頑固者で幼いなつにも容赦なく厳しく接するが、意地悪ではなく、彼の人生哲学に基づいたもの。他人に頼らず己の力で人生を切り拓くことを心情としている。甘いものが好き。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。タップダンスが得意で、米兵にかわいがられていた。孤児院にいる。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。親戚に引き取られている。

2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じている北林は朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。

4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 山田裕貴(13回から登場) 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。十勝農業高校に通っている。

5回
山田天陽 吉沢亮 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。絵が上手。馬が好き。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…天陽の父。東京から北海道にやって来たが土地が悪く、農業ができず、郵便局で働いている。泰樹の協力を得て、土地を蘇らせる。

8回
山田陽平 市村涼風…天陽の兄。絵がうまい。

9回
なつの父 内村光良日本橋で料理人をしていた。絵が上手。家族のことを思いながら戦死した。

10回
花村和子 岩崎ひろみ…音問別小学校の教師。 
校長先生 大塚洋…音問別小学校校長先生
山田タミ 小林綾子…天陽の母。

13回
居村良子 富田望生…十勝農業高校の生徒。
村松 近江谷太朗…十勝農業高校の先生。
倉田隆一 柄本佑…十勝農業高校の国語の先生。

14回
田辺政人 宇梶剛士…音問別農協組合組合長。農協で一手に酪農事業をとりまとめようとしている。 

脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美  舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一 
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション

制作統括:磯智明 福岡利武
(木俣冬)