毎年1月になると子どもたちのテンションは最大限。子ども時代お年玉をもらえるのを楽しみにしていた、なんていう読者も多いのではないでしょうか。

かくいう筆者もお正月お年玉を楽しみにしていた子どもたちの一人。普段そっけない態度をとっていた大人に対しても、この日だけは愛想よく振舞っていたものです。

さて、お年玉は金額も気になりますが、気になるのはそれだけではありません。そのお年玉をいれる袋のことを「ポチ袋」(点袋)といいますが、その呼び方について、考えてみたことはありませんか?「一体”ポチ”ってどういう意味だろうか」と。

筆者なんて長い間、誰かの犬のポチのことだとおもっていましたよ。ところが実際は違うんです。

この「ポチ袋」の「ポチ」というのは関西で、「祝儀、心づけ」を意味する方言で、「ぼちぼち(ぽちぽちともいう)」からきており、「少しだけ」や「これっぽち」という意味になります。お金持ちの大旦那さんがお茶屋さんや舞妓さんなど花柳界にいる女性にチップとしてお金を渡すときの祝儀袋をいっていたそうです。

そんなポチ袋ですが、最近はバラエティに富んだデザインも多く、お年玉以外にも多様な使われ方をするようになりました。

また、世の中には、ポチ袋をコレクションされている「ポチ袋収集家」なんていう人たちもいるようです。

お正月が過ぎてしまえば、忘れ去られてしまいがちなポチ袋ですが、これも「日本の文化」として考えた際に、他の国では見られない独自の発展を遂げた文化であるということがいえそうです。また同様な主義袋として「熨斗袋(のしぶくろ)」というものもあります。こちらは、ポチ袋よりやや大きめで、水引がひいてあるものです。とはいっても、最近は水引のひいてあるポチ袋も増えてきました。

「ポチ袋」と「熨斗袋」の一番大きな違いは、中身のお札をたたまないか、たたむかです。お札をたたんでいれるのが「ポチ袋」、たたまないでいれるのが「熨斗袋」と覚えておけばよいでしょう。また、中袋と表に分かれているものも「祝儀袋」です。

参考

込めるのは心 お年玉袋を「ぽち袋」と呼ぶわけ (ことばオンライン)

豊田満男 『志を包む ぽち袋―豊田コレクション』 (京都書院アーツコレクション 3)

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