2019年5月30日(木)~6月2日(日)東京・Zepp DiverCity (TOKYO)、6月8日(土)・9日(日)大阪・Zepp Namba (OSAKA)にて上演される舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These』~第二章 それぞれの星~ にアレックス・キャゼルヌ役で出演する米原幸佑。都内某所で行われたビジュアル撮影現場にて、新作に寄せる今の思いを語ってくれた。

ーーまずは、昨年の『Die Neue These』に引き続きキャゼルヌを続投されるお気持ちからお聞かせください。

今ここにある資料を見ても……『銀英伝』はこれだけたくさんの舞台が創られて来たんだよな、っていうのはわかってましたし、原作のファンの方々の愛情というのも深い作品だとも知っていて。その中で新たにアニメに併せて新シリーズを、ということで自分も参加させていただいたのが前作でした。演出の大岩(美智子)さんからは、アニメがもとになってはいるけれど、声を寄せるとかそういうことではなく、僕らしいキャゼルヌをやって欲しい、僕ららしい自由惑星同盟を創ってくれたらよいと仰っていただいたのを覚えています。役づくりに関しては、キャラクター説明に「毒舌の愛妻家で……」とか「作戦能力に非常に優れた……」みたいなことが書かれてますけど、そういうキャゼルヌのスペックの部分というよりも、まずはヤンとアッテンボローとキャゼルヌがいるときの空気感、3人のチーム感で「これが自由惑星同盟だな」って感じてもらえるようにしたいなっていうのがありました。

米原幸佑

米原幸佑

ーー具体的にはどういうイメージで?

ラインハルトキルヒアイスがいる銀河帝国側は非常に高貴でカッチリしてるので、僕たちは逆、もっと日常っぽい……お客さんから観ても親しみやすさを感じてもらえるような存在として、互いを対比させたかった。稽古場でも通しが始まるまで両軍ほぼ別々に稽古が進行していて、粗通しくらいから向こうのお芝居をちゃんと観たんです。そこで改めて「これはギャップを出したほうがいいな」って思ったんです。この作品は両軍のカラーが違うほど、作品としても面白いんだなって確信できたというか。僕らは生まれた頃から戦争が続いている世界に生まれ育っています。だからこそ、“戦時中”というピリッとした空気を自由惑星同盟が出す時というのはわずかな一瞬で、あとはホントに戦争中なのかなって思うような……いい意味で緊張を感じさせないことができるのも僕らの軍の個性なのかなと。実際、そこの対比は大岩さんからも求められている要素でした。同じような立場にあっても敵対同士でこんなにも雰囲気が違うんだっていうところは、すごく大事に考えました。

難しかったのは、前回は出番が限られていたこと。僕は始まってから1時間くらいしてから出番なんですけど、楽屋でずっとユリアン(小西成弥)と僕とアッテンボロー(伊勢大貴の3人で、「何分経った?」「今○○死んだよね」「うん」「じゃあもうすぐやな」とか言いながら(笑)、過ごしてました。なので、前回の課題は限られた時間でどこまで自分たちの情報、個性、存在を伝えられるか。でも今回はまたグッと物語も動いていきます。それこそもう前半から台詞もガッツリで出てますので、いよいよ本領発揮。軍を動かしていく僕たちの姿を観て欲しいですし、改めてそこへ向けての稽古が楽しみになっています。

米原幸佑

米原幸佑

ーーでは、チームワークはもうばっちり、と。

そうですね。前回公演のときから第二章があることもわかってましたので、ある意味「長い付き合いになるな」って、カンパニー全体で腰を据えたコミュニケーションがとれたのは大きかった。新シリーズになってフレッシュな座組になった分、第一章、第二章……と話しが進むに連れてキャラクターが成長していくのと同じく、僕らも自然とストーリーに乗っかってみんなで成長していけるのが強みになればいいなぁという気持ちです。

もちろん、錚々たる先輩方の影もちらつきますし、プレッシャーがなかったわけではないです。それよりもやっぱり原作ファンの方からの期待はすごく大きいんだなというのを、本番初日開けて強烈に感じました。

ーー客席からの“熱視線”ですね。

はい(笑)。「どんな銀英伝みせてくれるんだ」っていう無言の圧がね、こう……伝わってきました。面白かったですよ〜。しかも最初客席登場だったんで、もうホントに直に「うわっ。これかぁ」と(笑)。その、ひしひしと感じられるお客様の期待感が……恐くはないんです。なんていうか、すごく面白かったです。だから「よーし、やってやるぞ〜」って、自分の中でのテンションのたかまりもすごかった。

ーーそれはもうやり甲斐しかない!

もちろん。あと、自分は普段すごく明るい役か、すごく暗い役か、どっちかの印象が強いんでしょうね。「まさか僕がキャゼルヌやると思ってなかった」「意外だった」という意見をたくさん頂けたのも嬉しかったです。確かにこういうちょっとインテリなキャラクターは今まであんまり振られてこなかったので、僕も自分でこういう子供がいる役とか回って来るようになったんだなぁって、演じてて新鮮だったし、こんな引き出しが自分にもあったんだって発見できました。まだみんなが観たことのない僕を魅せたいなっていう気持ちでキャゼルヌに挑んでいたので、そこに気づいてもらえたのはひとつ、収穫でした。

米原幸佑

米原幸佑

ーー第2章ではさらにその引き出しを深められそうです。

前回は本当に序盤、自己紹介、世界観の紹介で終わってしまったところも大きかったですからね。今回は出番のボリュームもある分、キャゼルヌの人となりをもっと深く伝えられますし、ここちょっと遊べるなってシーンもあったりするので、より楽しみながら演じられそうです。プラス、チームとしては僕らの軍はやっぱりヤンがよく見えるのが一番だと思うので、(小早川)俊輔が楽にヤンを演じられるように、僕やイセダイ伊勢大貴)が動いていかなきゃなっていうのは変わらず……ヤンがカッコ良ければ、僕らもカッコいいんでね。ヤンのけだるさとか毒づいたりするところとかを生かしてあげたいです。

ーー令和最初の銀英伝』。はからずも大きな歴史の節目をみなさんが飾るわけですね。

え、令和最初!? ……というか、令和自体にまだ全然馴染みがないです(笑)。

ーーでは最後に新シリーズの第2章。改めてそのみどころをお願いします。

もし前回を観ていなくてもちゃんとアタマに親切なナレーションがありますので(笑)、そこはまずご安心ください。すっとお話に入っていけることと思います。長く長く続く戦争の中、それぞれの戦う意味、それぞれの守りたいものがあります。キャラクターも豊富なので、きっと誰かに感情移入できると思います。気になるなと言う方、そんなに難しく考えずぜひ一度劇場に足をお運びいただければ嬉しいです。今回は大阪公演もありますので。より多くの方に観ていただけるこの機会に、ぜひこのフレッシュな『銀英伝』と出会ってください。お待ちしています。

米原幸佑

米原幸佑

取材・文=横澤 由香 撮影=池上夢貢

米原幸佑