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Alessandro De Maddalena/iStock

 映画『ジョーズ』のモデルであり、「白い死神」とも呼ばれているホホジロザメ。5メートルを超える個体も存在し、魚類の中でも高度な知能を持つ肉食獣で、アザラシと間違え人を襲うこともある。

 そんなホホジロザメの天敵は言わずと知れた水中の覇者、シャチだ。

 どれくらい恐れているのかというと、お気に入りの狩場ですらシャチが現れただけで、その場を放棄して逃げ出してしまうくらいだという。

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ホホジロザメ連続殺人(サメ)事件の犯人

 2017年ホホジロザメの遺体が続けざまに発見されるという事件がニュースになった。

 南アフリカ、ケープタウン近郊の浜辺に5頭のサメの遺体が打ち上げられたのだ。驚いたことに、どの遺体からも肝臓が消えていた。

 その噛み跡から浮かび上がった犯人は、シャチである。


Orcas hunt Great White Sharks in Gansbaai South Africa

 シャチマイルカ科最大種で、オスの体長は6メートル前後(最大で9.8メートル)、メスで5メートル前後。群れを作り統率の取れた行動で機敏に動き、高度な知力と攻撃力で獲物を狩る。海洋系での食物連鎖の頂点に君臨する存在だ。

 『Nature』に掲載された研究は、シャチがサメを凌駕する水中最強の捕食者であり、ホホジロザメといえども逃げ出すべき相手であると学習しているらしいことを明らかにしている。

お気に入りの狩場すら放棄する

 この研究は、2006~2013年にかけてタグを取り付けた165頭のホホジロザメから集めたデータ、ならびにアメリカファラロン諸島付近のアザラシシャチ、サメに関する27年分におよぶ研究を分析したものだ。

 毎年9月から12月にかけて、サンフランシスコ沖のファラロン諸島には、ホホジロザメが若いゾウアザラシを狩るために集まってくる。

 ここはまた、1997年シャチホホジロザメを殺す場面が初めて記録された場所でもある。

 分析の結果からは、ファラロン諸島にシャチが現れると、ホホジロザメはさっさと逃げ出してしまうことが明らかになった。

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photo by pixabay

シャチに遭遇すると、ホホジロザメはさっさと退散して、下手をすると1年も戻ってきません。シャチが通りかかっただけでも、怖がって逃げていきます(モントレーベイ水族館 サルバドール・ヨルゲンセン博士)

 平均すると、シャチが島から3.2キロ以内にいると、ホホジロザメは一目散に逃げ出し、他の場所に退避するという。

ホホジロザメが寄り付かないことでゾウアザラシに恩恵が

 そして、これはゾウアザラシにとっては餌を食べる絶好のチャンスでもある。

 ファラロン諸島では年平均40頭のゾウアザラシホホジロザメの犠牲になっている。ところが、シャチが周辺を泳いでいる年だと、62パーセントも犠牲数が減少していたのだ。

恐怖心やリスク回避が、大型捕食者の狩場や海洋生態系に影響するなんて普通は考えませんよね。ところが、非常に強い影響があるわけです。(ヨルゲンセン博士)

 シャチがどのくらいの頻度でホホジロザメに襲いかかるのかは不明だ。現在、ホホジロザメの回避行動が生態系に与える影響の調査が進められている。


Great White Shark Mauled By Killer Whales | Abalone Wars S4

References:newsroom/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52273460.html
 

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