40代になれば、生活に余裕が生まれる……そう夢を描いていたが、人々の手取り年収は下がり続けている。年収400万円未満の“低所得おじさん”は増加の一途を辿るばかりだ。70歳まで働く時代に日本社会が抱える課題と当事者の生活に迫る。



脳梗塞で倒れ障害者雇用に。6年で貯蓄600万円減

…大町孝三さん(51歳・仮名・既婚)/会社員/年収200万円



 誰しも中年期に差しかかれば自らの健康が気にかかるものだ。大学卒業後からプログラマーをしていた大町孝三さん(仮名)は、6年前に脳梗塞を発症した。



「勤務中に急に視界が狭くなり、激しい頭痛で倒れてしまいました。今思えばすでに麻痺も始まっていたんですがなんとか乗り切り、終業後に病院にいき即入院。半年くらい入院していました」



 懸命なリハビリによって職場復帰はかなったものの、現在も左半身が麻痺している。



「同じ会社にいられることはありがたいですが、通院があるのでフルタイムではありません。障害者雇用の対象となり、400万円以上あった年収が200万円に減ってしまいました。仕事内容も大きく変わり、倉庫作業やルーターの出荷前の点検をしています」



 2か月に一度は障害者年金が支給されるが、それを足しても以前の年収には全く届かないと嘆く。



「700万円ほどの貯金も、この6年で100万円以下になってしまいました。実は妻ももともと精神障害があって普通には働けないので、外食や贅沢ごとは一切せず切り詰めた生活をしています」



 料理などの家事や外出時の準備は妻がやってくれるという。



「自分の体が動かず何かしてほしいときと、彼女の精神が不安定なときが重なるとつらいですが、着替えや歩行練習などを助けてくれるので感謝しています。10年前に結婚相談所を通して出会い、『面倒を見てやりたい』という気持ちで結婚しましたが、まさか自分も障害者になってしまうとは」



◆あと一回倒れたら…



 目下の心配事は、病気の再発だ。



「医師からは、あと一回やったら命はないと言われています。妻を一人で残したくないですし、子供がいればいいなと前々から思ってはいましたが、今の状況ではそうもいかず……。万が一のときの計画を立てようにも立てられません。とにかくできるだけ長く、70歳までは絶対に今の会社で働きたいと思っています」



「生きているだけでラッキー」と気丈に振る舞う大町さんだが、老い先の不安は計り知れない。



<取材・文/週刊SPA!編集部>

― [低所得おじさん]の絶望 ―