1998年夏祭りで提供されたカレーに毒物が混入され、それを食べた67人が中毒症状を起こし、うち4人が死亡した「和歌山毒物カレー事件」。

 21日に放送されたAbemaTVカンニング竹山の土曜The NIGHT』に、この事件で死刑判決が出た林真須美死刑囚の長男が出演。林死刑囚の現在の様子や事件に対する自身の考えなどについて語った。
 

■長男が取材を受ける理由

 事件当時10歳だった長男は、現在31歳。これまで面会に行くのは1年に1、2回程度だったが、「平成の事件は平成の内にという新聞の見出しなどを見てからは、頻度を増やして月に1回は行くようにしている」という。
 自身がメディアに出たり取材を受けたりするようになった経緯については、「今までは主に父が取材に対応していたが、70歳を越えて判断力が鈍ってきたり、通っているデイサービスメディアから電話がきたりする。5分ぐらい世間話をしたことが次の日にネットニュースになったりするのを見ていると、長男として自分が前に出てやるべきかなと。姉妹には静かに暮らしてほしいという思いがあり、自分が出る代わりに兄妹のところには(取材に)行かないでほしいという条件をつけた」と説明。一方で、姉妹からは反対の声もあるそうだ。

 長男がメディアに出演することで、死刑執行を止めようとしているのではないかという見方もある。それについては、「僕や父は死刑廃止論者ではない。罪を認めて、動機があって、物証があって、自白があってという事件であれば致し方ない部分はあると思う。母が殺意を持って無差別的に70人ほどの人を苦しめたと自分で言うのであれば、僕ら家族は受け入れないといけない。無理に死刑を回避しようという気持ちで動いているわけではない」と否定した。
 

■林真須美死刑囚の現在の様子

 事件から21年。林死刑囚の見た目について、「歯が抜け落ちて、治療もあまりしてもらえず、ほうれい線が深く入っていて、年齢の割には老けて見える」と長男。面会時の様子については、「感情に波があって、『あんたごはん食べてるの?』『車の運転気をつけなさいよ』『事件から離れて自分の人生生きなさい』と母親らしい時もあれば、『今日はドアが開くのも怖かった』など行く度感情に波がある」と、刑の執行に関しては恐怖を抱いているという。
 また去年、事件から20年が経って事件について踏み込んで聞いてみようと思ったといい、「保険金詐欺に関しては、父が働かない、ギャンブルで数千万スッてくる中で、子ども4人を育てるために詐欺をしてしまったと認めている。ただ本人曰く、私1人が主犯のように報道されたり裁判所に認定されたりしているが、何億円もの詐欺を1人でできるわけないと。父や居候の協力と、医者の診断書もないと保険は降りない、共犯じゃないかという話もしていた」と説明。

 長男自身も集まりは目にしていたそうで、「父曰く、殺意があって22回も失敗するかなとか。あいつ(林死刑囚)が出すものを食べて、お腹がその都度痛くなっていたら5回くらいで気づくよと。逮捕されたのは両親2人だけで、医者や仲間が集まって談合している景色を見ているので、何で共犯になっていないんだろうと思う」と述べた。
 事件について20年取材を続けている月刊『創』編集長の篠田博之氏は「保険金詐欺についてはそれなりの捜査をしている。当時の検察としては、林死刑囚をカレー事件で立件するために、夫妻含めて画策していたという筋書きがある」とした。

 また、林死刑囚は長男が番組に出演するにあたり手紙を託している。

「『国家殺し』。私は犯人ではなく 国に殺される理由はありません」
「私は犯人ではありません。京都大学の河合潤教授が鑑定して下さってきており、大阪高等裁判所第4刑事部樋口裁判長には、一日も早く、一日も早く、『再鑑定』、『河合潤教授』の証人尋問の決定をし、再審無罪としてもらい、恐怖の日に『鉛で死刑』とされており、『死刑台から生還』したいです。愛しい愛しい話されて21年近くになる4人の子供のもとへ帰してほしく 毎日、おびえてすごしてます」
 1日に1本ボールペンのインクがきれるほど訴訟を起こしているという林死刑囚。当時、過激な見出しを書いた週刊誌などに対して400件ほどの裁判を起こし、7割は勝訴しているという。
 

■冤罪の可能性は

 林死刑囚が保険金詐欺を行っていたことは事実。しかし、カレー事件については動機が解明されておらず、状況証拠などから死刑が確定し、林死刑囚は一貫して否定している。

 カレーの見張り番をしていた林死刑囚が当時、次女と話しているところや三女が家から遊びに来ているところを長男は見ていたというが、「取り調べで話したが、僕が見ているという証言は、家族をかばうということで採用されない」と説明。「机をバンバン叩かれながら取り調べを受けて、小学5年生の僕が『こう言えば母が有利になる』と考えるのは一切なかった」と話す。

 また、その日林死刑囚らはカラオケに行ったというが、カレーの被害を避けるためだったのか。その点については「計画的に保険金詐欺を繰り返してきた人間が作ったアリバイにしてはずさんじゃないかと思う。かばっているようにしか聞こえないかもしれないが、短絡的に人を殺してやろうと急に思いつくのかと。保険金が入ってくるならまだ動機としてはわかる。“状況証拠”と言われるが、僕としては状況証拠しか出せていない感覚。それで人の命を左右して良いのかという疑問がある」と説明。

 近所との軋轢の噂については、「隣の家の人とはティーパーティーをしたり、誕生日だったら招いたりする人もいれば、嫌いな人もいたという感覚。車が邪魔だとクラクションを鳴らしたり、腹が立ったら水をまいたりする性格で、そんな勝ち気の人がわざわざ家にヒ素を取りに帰って、カレー鍋に入れるという陰湿さは、僕が見てきた母とは質が違う」とした。

 冤罪の可能性について篠田氏は「争点になっているのはヒ素鑑定。当時、最新鋭の機械『スプリング8』で結果が一致したことに裁判所は飛びついたと思うが、検査期間が短すぎたし、十分なことがなされていないとわかってきた。成分が同じだといっても、シロアリ駆除のためにその地域でいろいろな人が使っていて、林家以外でも使われていた可能性がある。他の家にはないと立証されていない」と述べた。
 

■「自分の不幸話は、話したくないし知られたくもない」

 最後に、長男は事件に対する自身の考えについて次のように述べた。

 「テレビなどで(自分の)放送を見てみると、不幸話だとかイジメだとか、生活苦といったことばかり流れていて、正直僕としてはそんな事話したくないし、知られたくもない。一応は話すが、そんなことをしても事件に動きはなく、不幸な境遇でも母親に会いに行っているような美談にされている。本人は21年やってないと言い続け、冤罪の可能性も出て意見も半々ぐらいになってきた。そういうことを伝えたいが、テレビの看板を背負って当時あれだけ犯人だと盛り上げたのはメディアでもあるので、そこは言いにくいのかなと。

 Twitterなどを見ると『被害者ヅラするな』という声を目にするが、そのようなつもりは一切ない。4人の方が亡くなり、60人以上の方が(カレーを)食べて苦しんでいて、そこを飛び越して『自分が苦しかった』と言うつもりは毛頭ない。

 自立して、周りの友達が幸せそうになっていくが、自分だけ(母の)死刑ということを考えて、何をやっているんだろうと。何度も逃げたくなったが、自分の頭の中で、(母が)首にロープをかけられて『やっていない』と言いながら処刑されるのを映像化してしまって、それが定期的にフラッシュバックのようにやってくる。そういうこともあって、できるだけのことはしようと思っている。

 21年前の出来事にはなるが、欲にかまけた両親が世間をお騒がせしたことについては、家族として申し訳なく感じている。本人は21年間、一貫して無罪を主張しているので、長男としてはその言葉を信じて、事件と両親を見届けていきたい。自分の人生のためにも真相が知りたい」
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