リバプールが2-0でカーディフ撃破 ミルナーのPKキッカーにサラーが不満露わ

 リバプールは現地時間21日、プレミアリーグ第35節でカーディフと対戦し、2-0で勝利を収めた。マンチェスター・シティとの熾烈な優勝争いを制するうえで手堅く勝ち点3を奪取して暫定首位に浮上したものの、2点目となったPKを巡りエジプト代表FWモハメド・サラーと元イングランド代表MFジェームズ・ミルナーの間で一悶着が起こったことに英メディアが注目している。

 試合序盤からリバプールが攻勢に出るも、降格圏に沈む18位カーディフが徹底して自陣に引くブロックを築き、なかなかネットを揺らすことができない。だが、果敢に攻め続けて迎えた後半12分、CKの場面でグラウンダーのクロスにオランダ代表MFジョルジニオ・ワイナルドゥムが右足で蹴り込みゴール右に突き刺した。そして、1-0で迎えた同36分、ペナルティーエリア左でボールをキープしようとしたサラーが切り返しの際に相手選手に転倒されPKを獲得した。

 しかし、ここでPKを巡り一悶着が起こる。ボールを手に取りキッカーを務める意志を示したものの、途中出場のミルナーがサラーからボールを取り上げようとする。サラーは強く異議を唱えたが、ミルナーは首を振りながら問答無用で回収。自身で得たPKを蹴ることができないことに、サラーは露骨に不貞腐れた様子を見せていた。ミルナーはPKをしっかりと決め切り、終盤に2点差のリードを確保し勝利を手堅いものとした。

 両者のピリついたやりとりに英メディアも注目。英紙「メトロ」は「重要な局面でのPKでサラーがミルナーに苛立ち」と見出しを打って報じ、「サラーリーグ20ゴール目を積み上げるためボールをつかんだが、ミルナーに介入されてしまった」と紹介している。シティFWセルヒオ・アグエロアーセナルFWピエール=エメリク・オーバメヤンと並び19ゴールで得点ランキング首位タイに位置していたこともあり、単独トップに立つために得点を欲していたことを説明している。

ミルナーは副主将としてチームの役割を全う 両者の思いが衝突したワンシーンに

 一方、リバプールではここ数年、副主将のミルナーがピッチに立っている場合は基本的にPKキッカーを任せるという規律があり、今季も5本中5本を決めていた。ユルゲン・クロップ監督も第31節フラム戦(2-1)で決勝弾となるPKを冷静に決めていたミルナーに対し、「ミリーは多くのPKを決めてきた。彼がピッチに立っている時、それは意味を持つものだ」とPKキッカーとしての全幅の信頼を示していた。

 サラーがエースストライカーとして2年連続の得点王を目指すうえで、自身で勝ち取ったPKを蹴りたいという気持ちも理解できる一方、1-0と勝利が決定的でない局面でのPKを確実にモノにするべく、チームが定めた規律に忠実に従うミルナーの責任感も重要なものだ。両者の思いが衝突したワンシーンとなったが、英紙「デイリー・エクスプレス」も「サラーがミルナーのPK回収に激怒」と報じるなど、一連のやり取りはメディアの格好の的にもなってしまったようだ。(Football ZONE web編集部)

(左から)リバプールMFミルナー、FWサラー【写真:Getty Images】