大腿骨の右の球上に、小さな骨が浮かんでいるのがわかる / Credit: Journal of Anatomy
Point
■膝の裏側にはファベラと呼ばれる小さな骨があるが、大半の人は持っていない
■ファベラを持つ人の割合が、1918年から現在までに3.5倍も増えていることが新たな研究でわかる
■ファベラ増加の原因は分かっていないが、世界で栄養条件が改善され重くなることで膝への負担が増えたからだと考えられている

人類は退化している!?

ファベラ(腓腹筋頭種子骨)とは、膝の後ろ側にある腱付近にできる種子骨のことだ。種子骨は膝の皿である膝蓋骨の仲間なのだが、ファベラには特にこれといった役割はない。

しかしインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究では、このファベラを持つ人が増えてきていることが示されている。

この研究は4月11日付けで「Journal of Anatomy」に掲載された。

現代では「無用」とされる部位を持つ人が3倍に増加!

研究チーム150年にわたり、過去の論文を元に21,000件の膝の診察結果を調査。その結果、1918年から2018年にかけてファベラを持つ人の割合が3倍以上増えていることがわかった。

ファベラは退化して消えていたこともあり、はっきりした役割は分かっていないが、問題を引き起こすものであるのは確かだ。

変形性関節症をもった人がファベラを持つ割合は、健康な人の割合よりも高く、ファベラ自体が痛みや違和感の原因となっているケースもある。

古代の猿のファベラは、膝蓋骨同様に機械的な筋力を増す働きを持っていた。しかし類人猿、ヒトと進化していくうちに、ファベラは無くなる方向へと進化していったのだ。

それなのに、ここに来て再び現れるようになったのはなぜだろうか?

矢印がファベラを表している Credit: Journal of Anatomy

原因は栄養状態の改善か

研究者たちは、栄養状態の改善が原因ではないかと推測している。栄養状態が改善したことで、平均身長、体重が増え、それによって、膝への圧迫が増したことが考えられるのだ。

研究者たちは今後、性別や地域別にファベラを持つ割合を調べ、またファベラの増加に遺伝子が関わっていないかも調べたいということだ。

 

生存にも繁殖にも全く関係なさそうなファベラが、自然選択で増えたとは考えにくく、遺伝的なものではないだろう。この150年の間に栄養が改善されたとともに、人口も増え寿命も伸びている。高齢者人口の増加という線も考えられるのではないだろうか。何にせよ、短期間でヒトが進化、あるいは退化したように見える面白い現象である。

 

人類は退化している!? なぜか人間の体に復活してきた「退化した骨」とは