1999年の放送開始からシリーズ20周年に突入し、1年間のロングラン放送に挑む沢口靖子主演のドラマ「科捜研の女19」(毎週木曜夜8:00-8:54、テレビ朝日系)。20周年を記念して公式Twitterアカウントも開設され、沢口によるオリジナル動画配信も話題となっている。

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法務研究員・榊マリコ(沢口)ら京都府警科学捜査研究所、通称“科捜研”のメンバーがそれぞれの専門技術を武器に事件の真相解明に挑む姿を描く本作。

今回、沢口と、マリコと信頼関係を築く刑事・土門薫役の内藤剛志にインタビューを実施。ドラマについての思いや撮影現場でのエピソードなどを聞いた。

――「科捜研の女」はお二人にとってどのような存在ですか?

沢口:「科捜研の女」には、30代半ばで出会い、女優として私を育ててくれました。私の女優人生にとって、とても大切な作品だと思っています。

内藤:ここまで続くとは思っていませんでした。初めの印象は、普通のよくあるドラマだというふうに思っていて、20周年を迎えるまで続いてきたことで、今ではある種のライフワークのようにも思えます。このままいけるところまではいきたいし、この「科捜研の女」という舟がどこにたどり着くのかを見たいという思いもあります。

――長いシリーズの中で苦労された撮影エピソードはありますか?

沢口:撮影では常に「苦労したなぁ」という意識はあまりないのですが、強いて言うならば、2005年放送、シーズン6の第9話です。さらに細かく言えば、小日向(文世)さん演じる元工場経営者とマリコが2人で廃校に閉じ込められるというシーンでした。

38度39度の酷暑の中、エアコンが付けられないスタジオの中で数日間撮影を続け、本当にぐったりした思い出があります。

――そんな過酷な撮影もされているんですね。

沢口:そうですね、とても過酷な撮影でした(笑)。でも、私たちはいいものを皆さんにお届けしたいので、本当に苦労したとは思っていないんです。

内藤:僕は、その回は(沢口を)お姫さま抱っこしたんです。やっちゃん(沢口)たちは過酷な撮影だったかもしれませんが、僕はお姫さま抱っこのシーンしかなかったので、すごく楽でしたけど(笑)。

――では、内藤さんの苦労されたシーンは?

内藤:僕は「有毒を含んだ雪をまき散らして大量殺人をしよう」とする犯人を止めるというシーンの撮影です。この雪を止めるシーンでは、実際に人工雪を作る機械から出る雪を自分の体を使って止めたので、すごく冷たかったのを覚えています。

でも、やっぱり、やっちゃんも先ほど言っていましたが、大変なことはあっても苦労だとは思っていません。

■ 内藤「詐欺じゃないですから!」

――視聴者の方が「科捜研の女」のさまざまな話題でとても盛り上がっているのはご存知でしたか?

沢口:(お正月スペシャルで)重大発表をしてから、視聴者の方の反応を身近に感じることが多くなりました。

ロケ現場などで「1年間ですね。頑張ってください」とお声を掛けていただく機会も増えました。「科捜研の女」を楽しみにしてくださる方がたくさんいらっしゃることを実感しています。

内藤:毎年当たり前のようにやっていた仕事ですが、やっちゃんが言う通り、重大発表をしてから皆さんの反応を見て「視聴者の皆さんの中でこれだけ育っていたんだ」とうれしくなりました。

――特にどういった点でそう感じますか?

内藤:一応言っておきますけど、「土門が詐欺だ!」って皆さんは言いますけど、詐欺じゃないですから!(笑)。

死ぬ死ぬ詐欺」というフラグが立っているように思えますけど、僕からしたら全然詐欺じゃないです。「土門さんが死んじゃう」と大騒ぎするほど心配してくれたことこそ、皆さんの中でさまざまな「科捜研の女」が育っている証拠だなと。

――20年間で、何か変化したことは何でしょう?

内藤:科学の進化が一番かなと思います。昔は逮捕できなかったことも科学の力が進化したことで今はできるところが大きい変化です。この話は戸田山(雅司)さんと話していて、科学捜査の変化についてのお話ができたので、そのシーンが来るのを楽しみにしていてください。

沢口:私も一番は、科学捜査が進化していることだと思います。それとは別のことになると、(科捜研が)チームとしてもまとまりができてきたことが変わったことです。スタート当初は、マリコが一人で突っ走ってしまい、みんな付いてきてくれないことが多かったんですが、今はマリコを中心に一つのチームワークができている感じがします。

――毎シーズンの撮影で楽しみにしていることはありますか?

沢口:脚本を読んで、「以前のマリコならこんなことを言わなかった!」と成長を発見することが楽しいです。科学一辺倒だったマリコが、たくさんの人々と出会うことで広い視野で物事を見るようになり、さらに成長していく。マニアックなマリコのファンならその変化にも気付いてくれるはずです(笑)。

内藤:隣にいます美人女優と毎クール一緒にできることです! さらに、僕は沢口靖子を“お前”呼びができるんです。長い付き合いがあるからこそ、(沢口を)“お前”って呼べますけど、なかなか沢口靖子を“お前”なんて呼び掛ける人は少ないですからね。正直最高です。

■ 沢口「(マリコと土門は)同志のような関係なんです」

――視聴者の方がドラマのマリコと土門の関係、通称「土マリ」で盛り上がっているのはご存知でしたか?

沢口: 視聴者の方がそう名付けてくださったんですよね。私、知ったのは昨年なんです。

内藤:僕がはっきりとその言葉を認識したのは、ここ数年のことだと思います。

沢口:ファンの方がマリコと土門の関係を想像して作り上げてくれたんですが、私たち作り手はそんな意図は全くなかったんです。「皆さんが作ってくださった関係性」だと思っています。

――「土マリ」を知ったことで演技で意識されていることなどは?

沢口: 脚本に沿って演技をしているので意識したことはないですね。皆さんがそれを楽しみにしてくださっていることは知っているんですが、これまでと変わらないスタンスで臨んでいます。

内藤:マリコと土門は、初期のころから男女の関係にならないように作ってきた、同志のような関係なんです。そこが変わらない限り、皆さんが盛り上がってくれている「マリコと土門の恋!?」のような展開になることはないと思います。

――内藤さんだけが知る沢口さんの秘密があれば教えていただきたいのですが?

内藤:そうですね、視聴者の方が知ってしまっていい話かどうか…うそうそ!(笑)。美人さんで、見た目以上に気が強くて、さらに頑張り屋ですね。科捜研の台本にはナレーション部分があって、本当だったら読めばいいだけなんで覚えてこなくてもいいんですけど、やっちゃんはその部分もしっかり覚えてくるんです。

――何かきっかけがあったのでしょうか?

内藤:一回だけ、そのナレーションの最中に詰まってしまったことがあったんです。実際、やっちゃんがそういうミスをするのは珍しいことで、「ちょっとごめんなさい、みんな待ってて」と言って外の空気を吸いに行く姿は初めて見ました。

その日以来、ナレーションもせりふも今まで以上にさらに完璧になっていたので、彼女の中でよっぽど悔しかったんだと思います。

沢口:脚本家の方が書いた世界観を、自分の中でしっかり入れ込んで表現したいなと常に思っています。だからこそ、完璧にしたいという思いがあり、内藤さんがおっしゃる通り、ナレーション収録で詰まってしまった時は本当に悔しかったです。

――沢口さんの撮影に対する熱い姿勢は、「沢口サーズデー」でも評判でした。

沢口:本当ですか? 沢口サーズデーの撮影では制作側が作りたいと思っているものをきちんと捉え、自分の中で受け止めた上で、自分のできる限りのことを表現したいなという思いがありました。

また、表現する中で、自分が「遊びたいな」という思いもあって、いろいろ試行錯誤しました。スタッフの方にもこの思いが伝わっていたと知れて、とてもうれしいです。

――沢口さんが知る内藤さんの秘密は?

沢口:秘密と言いますか…、内藤さんはいつも朝からお元気です。心身ともに健康な方で、いつも変わらない方ですね。

あとは、「科捜研の女」に来るゲストは内藤さんの知り合いの方が多いですし、よくお話しもされています。内藤さんは、常に現場の雰囲気を盛り上げて、いい雰囲気にしてくれています。私生活では、車が好きで、格好い車に乗っていますね(笑)。

――最後に、メッセージをお願いします。

沢口:1年間放送させていただけることに当たり、最新の科学捜査はもちろん、テイストレインボーカラーのように彩り豊かにお届けします。また、懐かしいメンバーも登場する予定です。ぜひ楽しみにしていてください。

内藤:1年放送の旅に出るのは、僕たちにとっても初めてのことになりますので、最善を尽くしたいと思っています。最後にどのようなことになるのか、僕たち自身も楽しみにしています。

また、同時に、視聴者の方もこの1年放送を一緒に旅してほしいと思います。一緒に旅をすることで、また違った「科捜研の女」の一面が見られるかもしれません。ぜひ、僕たちと一緒に旅してください!

■ 第2話あらすじ(4月25日[木]放送)

廃工場で男性の撲殺死体が見つかる。被害者の手指には絵の具が付着していた他、現場の壁には描き終えたばかりと思われる見事な馬の絵が残されていた。

マリコたち科捜研メンバーが現場を調べていると、その廃工場で知人と会う約束をしていたという女性が現れる。彼女は美術評論家の古町雫(真飛聖)と名乗り、雫が遺体を確認したところ、被害者は世界的に有名な覆面画家・実相寺梵(吉田ウーロン太)だと判明する。

実相寺梵は日本人であること以外、プロフィールを一切明かしていない謎の存在で、キャンバスだけでなく、廃墟や街角の壁にゲリラ的に絵を描くことで知られていた。

壁に残された馬の絵を見た雫は、間違いなく実相寺の作品だと断言するものの、実相寺本人のことは“渡辺さん”という苗字以外は知らないと言い、マリコたちは遺体の身元すらつかめず、行き詰ってしまう。(ザテレビジョン

沢口靖子と内藤剛志にインタビューを実施