今季から岡田武史オーナーFC今治プレー JFLは「上がればJのステージに行ける」

 J3昇格を目指すJFLFC今治に、1人のワールドカップ(W杯)戦士がいる。元日本代表DF駒野友一だ。Jリーグ通算524試合出場を誇る百戦錬磨の37歳は、キャリア初のJFLに何を見出しプレーしているのか。

 2018年11月、駒野は2年半を過ごしたJ2アビスパ福岡との契約が満了。今年1月、自身が出場した10年南アフリカW杯で日本代表を指揮していた岡田武史氏がオーナーを務め、育成年代の代表やサンフレッチェ広島時代に師事した小野剛氏が監督を務める今治に新天地を求めた。

 キャリアの大半をJ1で過ごしてきた駒野にとって、トップリーグのJ1から数えて“4部”に相当するJFLは未知の世界。実際、「JFLの試合の感じ、環境も分からなかった」と明かすが、それでもサッカーができる喜びがJFLへの先入観を拭い去ってくれたという。

「来てみて感じたことはいろいろあります。JFLはたしかに環境は厳しいかもしれない。そのなかで、今治は天然芝のグラウンド(スタジアム)、クラブハウスも持っているので、恵まれているかなと。でも、一番は大好きなサッカーができる場所があるということ。それだけで十分だと思います。今はJFLですけど、上がればJのステージに行けるわけで、どんどん上がっていく楽しみもあるので」

 Jリーグで19年間プレーし、04年アテネ五輪やW杯にも2度(06年、10年)出場した駒野。37歳とベテランになったとはいえ、基礎技術を含めた能力はJFLでは群を抜いている。開幕5試合(2勝3分)にフル出場し、第3節ソニー仙台FC戦(1-1)では直接FKで初ゴールを記録するなど、試合を重ねるごとに調子は上向いている。

「小野さんのやり方はある程度知っていたとはいえ、新しいチームに来てコンビネーションの構築には少し時間はかかりました。対戦相手のいろいろなチーム戦術に驚きもありましたけど、実戦だからこそ起こる問題や自分たちがクリアすべき課題も見えてきて、だいぶ慣れてきましたね」

「昇格だけではなくて、J3に上がって戦うための力を今から蓄えていかないといけない」

 岡田オーナーの下、Jリーグ昇格を目指す今治。人口15万人の街の中に、その存在はしっかりと根付いている。広島、ジュビロ磐田FC東京、福岡と渡り歩いてきた駒野の目に、今治というクラブと街のポテンシャルはどのように映っているのか。

「公式戦になれば、ファン・サポーターの数は他のJFLクラブに比べて多く入っていて、それだけ関心を持ってもらえている。今治市民の期待もやっぱりJリーグ昇格なので、まずは今年優勝してJ3に上がることが目標。環境を良くするのも自分たち次第だし、結果を出すことが自分たちの役目だと思います」

 昇格をミッションに掲げる一方で、駒野は“来年を見据えた戦い”の重要性を口にする。

「将来的にJ1クラブになるという目標に向けて、自分もいろいろなことをやっていきたいなと。昇格だけではなくて、その先、J3に上がって戦うための力を今から蓄えていかないといけない。そのためには選手一人ひとりの意識も高めていく必要があるので、ポジショニングや相手の動きを見たうえでの対応は言うようにしています。岡田さん、木村(孝洋)さん、小野さん……。今まで自分がお世話になってきた方々がいるチームに呼んで頂いたので、結果で恩返ししたいと思います」

 誰よりもストイックに勝利とチームの明るい未来を追い求める駒野。今治にとって念願のJリーグ昇格は、この男の双肩に懸かっていると言っても過言ではないだろう。(Football ZONE web編集部・小田智史 / Tomofumi Oda

FC今治でプレーするDF駒野友一【写真:Football ZONE web】