「早く辞めよう」という助言が相次ぎました

社会人たるもの、基本的にはしっかりしたスケジュールを組み、その通りに働く必要がある。しかし人生は一寸先が闇。時には会社を休まなくてはならないことも出てくる。

ところが、そんな当たり前が通用しない異常な職場は世間には多い。世の中には、インフルエンザになってしまった人員に「人が足りないんだよ!」と罵倒する上司なんてのが存在している。親族の結婚式に参加しようとしたら「この繁忙期になんで結婚式すんの? お前の家族馬鹿なの?」みたいなことを言われた労働者もいる。

とかくブラック企業というものは、会社の都合しか考えることのできない人間の集合体。あんなものに組み込まれるというのは、それは人間性の亡失に直結する。(文:松本ミゾレ)

「あなたのために組まれたスケジュールを休むということを理解してる?」


先日、気分が悪くなってしまうスレッドを、我らが匿名掲示板2ちゃんねるで見かけた。タイトルは「祖父が死んで葬式に参加したいっていう理由では会社休めないの?」である。

彼は今年度から社会人になったそうだが、年度早々におじいちゃんが亡くなってしまったという。当然葬儀に出たいと思うのは孫の偽らざる本音だろう。ところがこの要求に対して、勤務先の対応は冷たかった。

「あなたのために組まれたスケジュールを休むということを理解してる?」だの「(もし同じ立場だったら)私は休まないけどね~」など、ひどい言葉のオンパレード。なんで祖父を亡くしたばかりの新人に、こんな言葉の暴力を平気で振るえるのだろうか。

スレ主はなんとか葬儀には出る見込みは立ったが、「休んだら欠勤扱いかもしれない」と凹んみ、「会社ってこんな感じなのか」と問いかけている。本当にこういう話は他人事であっても胸糞が悪すぎるってもんだ。なんで「それは大変だったね、最後に見送ってあげてね」って当たり前の言葉が出てこないんだろう。

「『まだ生きてる親戚がいたら今のうちに殺しておけ』って言われたから辞めた」人も

まあ、こういう最悪な職場って結構少数派だとは思うけど、それにしたってスレ主があまりに不憫でしょうがない。スレッドでも当然擁護の声も多いし、会社に対しての批判の意見だって目立つ。いくつか書き込みの中から目に付いたコメントを拾ってみよう。

「んな事言う会社は間違いなくブラックだから辞めた方がええよ」
「じいちゃん死んで葬式出ないとか普通ありえないだろ。そんな会社今のうちに辞めとけ」
「俺が以前働いてたところもそんな感じだった。結局休ませてもらえなかったし『まだ生きてる親戚がいたら今のうちに殺しておけ』って言われたから辞めた」

こんな具合である。スレ主の事例を凌駕する経験をした人の書き込みもあった。

さて、スレ主はこのスレッドで事後報告をしている。結局忌引扱いにはしてもらえず、しかも「後で社長に謝っておけ」との命令まで言い渡されたという。なんだろ、この会社ごっことしか言いようのない、どうしようもない職場は。

労働者の人生を担保するために働いた見返りとして、給与を出す。これが労働する側にとっての、企業の存在理由だ。「会社は労働者を歯車として扱うな」とまでは言わないが、些細なことで歯車をさび付かせるようなブラック企業に明日はないんじゃなかろうか。まして新入社員の家族の死を迷惑扱いしてしまうような職場なんて、どうしようもない。