Credit:cultofweird
Point
オーストリアの「葬儀博物館」は、おもちゃの「レゴ」を使った葬儀場のミニチュアを展示している
■これは子どもたちに「死の意味」や「お葬式」について理解してもらう一環として始められた
■「LEGO火葬場セット」として販売も開始されている

人生で初めて経験する誰かの「死」というのは、子どもにとって理解しがたいもの。突如として訪れる愛する人の「死」が心に大きな傷を残すこともある。

そこでオーストリアウィーンの「葬儀博物館(Funeral Museum Vienna)」は、レゴを使った「お葬式セット」を製作した。

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2016年に「レゴ模型」の展示を開始

ウィーン葬儀博物館は、葬式や埋葬に関する習慣を知ってもらうために歴史的な棺などを展示している団体である。

Keusch氏によると、最初にLEGOの葬儀ミニチュアを展示し始めたのは2016年のことだと言う。そのときに作られたのは、遺体を「ツェントラールフリートホーフ」と言うウィーンの有名な中央墓地に運んで来るための路面電車だったそうだ。

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路面電車を使った移送は、第一次および第二次世界大戦の間に行われていた歴史的な慣習であったとのこと。

さらに中央墓地は世界で最も大きな墓地の1つとして有名で、およそ2.4㎢の敷地面積に33万のお墓を収容している。

ベートーベンシューベルトといった著名な音楽家もこの地に眠っているそうだ。ただこの時点でのレゴ模型は、子どもを対象とした展示ではなかったらしい。

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子どもたちに「お葬式」について理解してもらうため

その後2018年になって、子どもたちを対象としたレゴ模型の導入が開始された。きっかけは、子を持つ親から複数の声が寄せられたことだった。

「身内が亡くなって子どもがひどく悲しんでいる」といったものから「死を理解していない子どもを葬式に連れていってよいものか悩む」といった声が集まったと言う。

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そこでKeusch氏は同僚と話し合って、お葬式に関するレゴを作って子どもたちに展示することを決めた。「火葬場」や「馬が牽引する霊柩車」、「家族を失って悲しんでいる人々」の様子などをレゴで再現したのだ。

親しみやすいレゴを使うことで、「死がどんなものか」「葬儀がどのような手順で行われるのか」といったことに興味を持つ子どもも増えている。さらにKeusch氏は「どういう葬儀の過程を経て、亡くなった人が天国にいくのかを知ることで子どもたちの心理ケアにも役立っている」と話す。

レゴは死への事前準備だけでなく、事後の対処にも役立っているようだ。

「レゴお葬式セット」として販売も開始

このニュースは世界中で話題を呼んでおり、中には「LEGO火葬場」といった謳い文句に嫌悪感を抱いている人も少なからずいる様子。しかしこの取り組みは、子どもが「死」を理解するための入り口として重要なのは確かだ。

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レゴは博物館とオーストリアの会社が共同で特別製造しており、「LEGOお葬式セット」として販売も開始している。ただこのセットはレゴ本社(デンマーク)とは関係がなく、非公式のものだと言う。

博物館代表のFlorian Keusch氏は「レゴが『死』や『お葬式』について深く理解する一助となれば幸いだ」と話している。

 

レゴは日本でもメジャーなおもちゃなので、子どもたちが「死」を学ぶ良いきっかけとなることを期待しよう。

レゴ®ブロックを「洗濯機で回す」と生命の神秘が生まれるという研究

reference: boredpandacultofweird / written & text by くらのすけ
オーストリアの子供は「LEGOお葬式セット」で死を学ぶ!?