■飼い猫の宇宙葬が執り行われることが発表された
■「ピカチュウ」と名付けられたオス猫は、今後1年半以内に地球軌道上に乗せられると言う
■宇宙葬には5000ドルの経費がかかり、飼い主のスティーヴ・ムント氏は現在募金サイトを通じて寄付を募っている
先日、世界初の宇宙葬に付される猫が誕生した。その名もピカチュウ。もちろん10万ボルトをかますネズミではない。
過去に犬宇宙葬は行われたが、猫の宇宙葬はこれが初めてとなる。
出会いは突然に…
ピカチュウは糖尿病による長い闘病生活の末、今年1月に亡くなっている。
飼い主のスティーヴ・ムント氏は「ピカチュウとの出会いは突然のことだった」と話す。
ピカチュウには元々飼い主がいたのだが、ある日ムント氏の自宅前にふらっと現れ、すぐに懐いた。その後、飼い主から電話がかかってきて「なんでうちの猫がお宅にいるんだ」と聞かれてしまったくらいだ。
しかしピカチュウはムント氏の側を離れず、帰ることを拒んだ。その様子を見て、飼い主もついに納得したという。
宇宙葬はムント氏が宇宙好きであることが決め手となった。
ムント氏は「幼少の頃からいくつものロケット打ち上げミッションに接してきました」と話す。「1歳の誕生日にエクスプローラー1号が打ち上げられ、4歳の誕生日には猿が初めて宇宙に行くというニュース映像に釘付けになったものです」と続けた。
それがヒントとなって「ピカチュウを宇宙に送り出そう」と決意したそうだ。
ペットの「宇宙葬」を行う会社
ピカチュウの宇宙葬をとり行うのは、アメリカ・テキサス州にある「Celestis Pets社」だ。元々は人間の遺骨を宇宙に送る葬儀を行ってきたが、2014年からペット動物の宇宙葬も開始している。
過去に2頭の犬(アポロとライカ)が宇宙葬に付されているが、猫の葬儀は今回が初めてだ。
宇宙に行った猫としてはフランスの「フェリセット」というメス猫が第一号として知られている。彼女は1963年に打ち上げられた「ヴェロニカAG1号」ロケットに乗せられ、無事地球に生還している。
大気圏で遺灰を火葬
ムント氏は現在、募金サイト「GoFundMe」を通して葬儀代およそ5000ドルの寄付を募っている。2ヶ月前から開始した募金は、まだ1535ドルしか集まっていなようだ。
すでに葬儀の契約は済ましているので、いずれにせよ1年半以内にはピカチュウの宇宙葬が執り行われる。不足分はムント氏自身が補う予定だ。
手順としては打ち上げ予定の人工衛星にピカチュウの遺灰を乗せて、宇宙空間で切り離し地球軌道上に乗せる。
同社の説明では、遺灰が大気圏に再突入した際に熱で蒸発して、理論上は流星のような輝きを見せるらしい。しかし実際、動物の遺灰は微小すぎて流星には見えないと言う。
ムント氏は「宇宙葬に付される最初の猫として、ピカチュウが世界中に知られることを願っている」と話す。ピカチュウならきっと、鮮やかな10万ボルトを夜空に輝かせてくれるだろう。
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