「映画クレヨンしんちゃんシリーズや『カラフル』(10)、『百日紅Miss HOKUSAI〜』(15)などで知られる原恵一監督の最新作『バースデーワンダランド』(公開中)。本作でキャラクターデザインを務めているのが、ロシア出身の新進気鋭のイラストレーターイリヤ・クブシノブだ。日本のアニメや漫画に影響を受けてきたというイリヤの活躍やイラストを、彼の画集や本作の設定資料集と共に紹介したい。

【画像を見る】『バースデー・ワンダーランド』キャラクターデザインのイリヤ・クブシノブの初の画集「MOMENTARY」<画像21点>

11歳から17歳までモスクワのアート学院でデッサンや建築について学んでいたイリヤ。一方で、幼少期に触れた『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(95)に強烈なインスピレーションを感じ、ほかにも「AKIRA」や「BLAME!」といった漫画、「ペルソナシリーズなどのゲームに感銘を受けるなど、どっぷりと日本のカルチャーにのめり込んできたという。

ロシアゲーム会社に勤務した後、2014年イリヤは母国を離れ日本へと渡ってきた。現在はフリーランスとして活動し、主に女性がモチーフイラストを手掛けている。彼の絵のタッチは繊細でリアルなものから、日本のアニメや漫画に通じるデフォルメされたポップデザインなど様々で、背景が描かれたストーリー性にあふれた作品もあり、どこかせつなさを感じさせる。また、自身のInstagramに頻繁にイラストを投稿するなど、SNSでも精力的に作品を公開しており、そのフォロワー数は160万人を超える人気ぶりだ。

そんなイリヤの作品に触れてみたいという方にオススメしたいのが、表紙のボブカットの眼鏡女子に目を奪われてしまう16年に発売された初の画集『MOMENTARY』。中面のイラストもセクシーな大人の女性から大きな目が特徴の美少女や猫耳女子、夕暮れの街並みや体育館を背景にしたノスタルジックなものまで。彼の視点で捉えられた女性たちの姿が、表情豊か&情緒たっぷりに描かれている。

公開と同時に発売された『バースデーワンダランド』公式設定資料集もまた、イリヤイラストデザインを堪能できる1冊。主人公アカネをはじめとしたキャラクターの細かい設定やデッサンの数々、風景の美術ボードや小道具の設定画などもあり、イリヤポテンシャルの高さを感じることができる。

バースデーワンダランド』は、作家・柏葉幸子による児童文学「地下室からの不思議な旅」を映像化した長編アニメーション誕生日を翌日に控えた少女・アカネが、偉大な錬金術師・ヒポクラテスやその弟子・ピポ、アカネの叔母のチィと共に、骨董屋の地下からつながる“幸せ色のワンダランド”へと旅立ち、危機に瀕した世界を救う物語が展開される。

日本アニメーション界の名匠、原恵一に見出され、初のキャラクターデザインに抜擢されたイリヤ・クブシノブ。彼が作り上げた生き生きとしたキャラクターや不思議な“ワンダランド”の世界観に魅了された人はぜひ、今後の活躍も期待されるイリヤの作品にも触れてみてほしい。(Movie Walker・文/トライワークス)

上目づかいや少し見下した視線を送ってくる美女たち(「MOMENTARY」)