4階層に分けてCBのトレンドを測る 負傷欠場の多いヴァランは低めに位置

 現在、最も優れているセンターバック(CB)とは誰だろうか。現代のCBはただ守備ができればいいわけではない。フィジカルが優れたうえに、卓越したボールコントロールも必要になっている。しかし、それだけでは稀有なCBとは言い難い時代に突入してきた。UAE紙「SPORT360°」は、今季の成績などを踏まえて優れたCBを選出。新時代を担うCBをレベルごとに4段階の階層に分けて紹介している。

 まず、第4階層に属する選手として、レアル・マドリードフランス代表DFラファエルヴァランとインテルスロバキア代表DFミラン・シュクリニアルが紹介されている。ヴァランの位置付けには違和感もあるかもしれないが、負傷による欠場の多さが要因として挙げられている。第34節を終えた今季はリーグ戦29試合に出場し昨季の27試合出場を上回っているが、その印象は拭い切れていない。

 もう一方のシュクリニアルについて、同紙はその守備の堅さを「岩」と表現。ルチアーノ・スパレッティ監督が指揮するインテル守備陣の中心的な存在であり、生れながらのリーダー、強烈なタックルと鋭いパスが武器と紹介されている。

 続いて第3階層には、マンチェスター・シティフランス代表DFアイメリク・ラポルテトットナムベルギー代表DFヤン・フェルトンゲンが選ばれている。ラポルテが時折見せる捨て身のタックルは時として味方からも忌み嫌われることもあるが、測ったように正確なポジショニングと相手にポゼッションさせない積極的なディフェンスで評価が高く、ジョゼップ・グアルディオラ監督が指揮するチームに欠かせない選手となっている。

 フェルトンゲンはCB、左サイドバック、左ウイングバックを務められるポリバレントな選手だ。同胞のベルギー代表DFトビー・アルデルヴァイレルトとのパートナーシップで、より強固な守備網を形成している。2月に行われたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)のラウンド16第1戦ドルトムント戦(3-0)では、1得点1アシストと印象的な活躍を見せた。今季のトットナムがここまで躍進できている理由の一つに挙げられる選手だろう。

上位には長年スペイン代表でコンビを組んだ2人、そして体も頭も完璧な2人

 第2階層では、長らくスペイン代表でコンビを組んできたレアル・マドリードDFセルヒオ・ラモスバルセロナDFジェラール・ピケがピックアップされた。同紙はセルヒオ・ラモスを「最も注目を集めるCB」と評し、アヤックス戦で故意に警告を受けたエピソードを紹介。そういった負の側面がある一方で、並外れた技術力と勝利への意欲によって、CLでの3連覇を含む4回の優勝やワールドカップ制覇など多くのタイトルを獲得したことを評価している。

 ピケは昨年にスペイン代表を引退。そのキャップ数は102試合となり、ワールドカップ(W杯)制覇や欧州選手権(EURO)制覇などに大きく貢献している。今季はフランス代表DFサミュエル・ウムティティの負傷により、フランス代表DFクレマン・ラングレとコンビを組むことが多くなったが、32歳のピケは衰えを感じさせない活躍を見せている。

 そして最上位となる第1階層に選ばれた選手は、リバプールのオラン代表DFフィルジル・ファン・ダイクナポリセネガル代表DFカリドゥ・クリバリだった。同紙は、もしも科学者が完璧なCBを作り上げるとしたら、晩成したファン・ダイクを作ることだろうと表現。現在のところ、非の打ち所がなくパーフェクトな仕上がりになっている選手だと大絶賛している。

 もう1人の最上位選手に選ばれたクリバリは身長195センチ、体重89キロという恵まれた体格に加え、俊敏さも併せ持っている。それは、まるでアメリカン・フットボール選手のような体格だが、優雅で賢いプレーができると説明。突出したフィジカルと知的なプレーで世界最高峰の選手へと上り詰めたと紹介している。

 4段階に分けられて紹介された最優秀CBは、フィジカルでもインテリジェンスでもトップクラスの選手たちが選ばれた印象だ。特に、最上位の2人はトップクラスのCBとして君臨していく勢いを持っていることは確かだろう。(Football ZONE web編集部)

(左から) ピケ、ラモス、ファン・ダイク、クリバリ【写真:Getty Images】