清水戦は2-0完封勝利 互いにシュートの少ない前半も想定内

 浦和レッズは28日のJ1第9節、清水エスパルス戦に2-0で勝利し、リーグ3連勝とした。この3試合はすべて無失点というなかで、GK西川周作は「自分のプレーが勝利につながっている充実感がある」と話す。そしてDF槙野智章は「相手ボールの時に余裕が出てきた」と納得感を示した。

 この試合の浦和は、オズワルド・オリヴェイラ監督が「清水は中盤で待ち構え、ミスを誘うようなプレーをしてきた」と前半を振り返った。実際、前半のシュート数は清水が2本で浦和が1本と、互いにゴール前まで切り込む場面の少ないゲームだった。それでも槙野は「前半に0-0で踏ん張って、後半にできたスペースを前線の選手が使うというのも勝ちパターンの1つ」と、手応えを感じていたのだという。

 その改善ポイントは、マイボールの保持だった。前節のヴィッセル神戸戦は、データ分析会社「オプタ」が浦和のポゼッション率「25.4パーセント」という衝撃的な数字を発表していた。一方今節は、前線にボールをつけられそうな場面でリスクを避ける傾向はあったものの、ほぼ互角の状態だったと言える。だからこそ槙野の「リーグ戦での反省点は、ボールをもう少し保持したいということ。相手のミスを待つのではなく、ボールを動かして相手を走らせることが改善点だったので、そこはできたと思う」という言葉にもつながった。

 そして後半になるとシュート数が清水3本、浦和8本と攻撃的な圧力を高めることができた。ただ、そのなかで清水のシュートのうち2本はペナルティーエリア内のもので、FW鄭大世の左足シュートを西川が左足で弾いたものと、MF金子翔太のシュートがクロスバーに当たったもの。それでも西川は「鄭大世さんのはニアを消して、ファーは足で大丈夫という落ち着きがありましたし、バーに当たったものも『これは入らないな』と分かったシュートでした」と、見た目よりも失点しそうな感覚のない時間帯を過ごせたと話す。

「相手にボールを持たせるリズムをつかめている」 徐々に高まる守備の質

 また、槙野も「自分たちが守備をしながら、相手ボールの時に余裕が出てきたと思います。次の攻撃への転じ方を考えながら守れているし、危険なところを締めながら相手にボールを持たせるリズムをつかめているなと感じました。神戸戦よりも選手の位置が高くなったと思います」と、同じ無失点のなかでも質を高めることができていると自信を持っている。

 今季の浦和は、これでリーグ9試合を終えて7失点。そのうちコンサドーレ札幌に2失点、横浜F・マリノスに3失点した試合があるため、実際には過半数の5試合が無失点となっている。そうした数字に西川は「自分のプレーが勝利につながっている充実感がありますね。34試合が終わった時、34失点以内にしなければと思っていますから」と、試合数以下の失点で乗り切ることへの強い意欲がある。

 今季の浦和が、攻撃力と得点力に課題を抱えているのは事実だ。実際に9試合を終えての8得点は試合数を下回っている。それでも勝ち点17は3位サンフレッチェ広島と同じ(得失点差で5位)で、失点の少なさがこの順位と勝ち点を生み出していると言える。最終ラインの“赤い壁”を越えた先を西川が守る浦和ゴールは、容易に陥落しない堅さを見せ続けている。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

浦和レッズのGK西川周作(左)、DF槙野智章(右)【写真:木鋪虎雄】