反響を呼ぶ前代未聞の“フェアプレー” 失点を指示したビエルサ監督をキーオン氏が称賛

 リーズ・ユナイテッドを率いるマルセロ・ビエルサ監督が、英2部チャンピオンシップの試合で見せた“フェアプレー”が反響を呼んでいる。

 リーズは現地時間28日のリーグ第45節でアストン・ビラと対戦。0-0で迎えた後半27分、アストン・ビラMFジョナタン・コジアが接触プレーで倒れ込んだ場面で、相手選手からボールを出してプレーを中断するように促されたものの、リーズの選手はプレーを続行して先制点を決めた。主審は試合を止めておらず、ルール上は正当なゴールだったが、アストン・ビラ側の怒りを買い、ピッチ上で乱闘騒ぎとなった。

 アストン・ビラのMFアンワル・エル・ガジが退場処分となるなど物々しい空気となったなか、ビエルサ監督はアストン・ビラにも得点させるよう指示をした。アンフェアな形でのゴールに納得していない様子で、試合をわざと振り出しに戻した。

 試合はそのまま1-1で終了。3位で1部自動昇格の可能性をわずかに残していたリーズだったが、残り1試合で2位シェフィールド・ユナイテッドとの勝ち点差が「5」に広がったため、来季のプレミアリーグ昇格はプレーオフでの結果次第となった。

 アーセナルなどで活躍し、現在は解説者を務める元イングランド代表DFマーティン・キーオン氏は、英紙「デイリー・メール」でビエルサ監督の“フェアプレー”は「正しい」と称賛している。

ビエルサ監督は今年1月にスパイ騒動で物議を醸す

マルセロ・ビエルサがアストン・ビラに同点ゴールを決めさせたことは正しい行いだった。彼の振る舞いは、“スパイゲート”事件にけじめをつけるのにとても効果があるものだ」

 ビエルサ氏は今年1月に、ライバルクラブの練習にスパイを送り込んでいたことが発覚し、物議を醸していた。ダービーのフランク・ランパード監督やリバプールユルゲン・クロップ監督などから苦言を呈されていたビエルサ監督だが、キーオン氏は今回のフェアプレーはその騒動の埋め合わせになると語った。

 サッカー界きっての戦術家であり、“奇人”とも称される名将ビエルサ監督。今回は思わぬ形で注目を浴びることになった。(Football ZONE web編集部)

リーズ・ユナイテッドのビエルサ監督【写真:Getty Images】