蟹greenleaf123/iStock/Getty Images Plus/画像はイメージです)

いよいよ5月中旬にふるさと納税制度対象自治体が、官報で告示される。泉佐野市などの「暴走」もあり、総務省最後の切り札、法制度化というカードを切ってきた。

総務省が後出しで次々にルール変更を行ったために、自治体は翻弄され続けたとも言える。ふるさと納税制度の未来は一体どうなるのだろうか。

 

■自治体の苦悩

3月28日、法制度化の説明会が総務省で開催され、都道府県の担当者が集められた。筆者は、複数の出席者にその様子を取材した。

総務省職員が法制度化の説明を行ったが、全体の説明時間はわずか1時間半。短時間で都道府県側が、制度の変更点の全てを理解できるはずもなく、説明会終了後、個別に総務省職員に質問するため、担当者たちが長蛇の列をなしたという。

「いつも総務省はこんな急な感じです」とこぼすある県の担当者の口調には、ウンザリ感が滲み出ていた。

 

■東京都はふるさと納税から離脱

総務省は、4月10日までに各都道府県が各市町村の新制度参加への申出書を取りまとめて提出するよう指示。今まで総務省ルールを守って来た自治体は、申出書にチェックを入れるだけで済むが、ルールから外れていたり納税額が大きい自治体は、追加資料の提出が必要。

東京都はこの申出書の提出を見送り、自らふるさと納税制度から脱退した。申出書は「制度に加盟したら、ルールはもちろん守りますよね?」という、いわゆる「踏み絵」のようなもの。

年度末で職員異動の時期を迎えていた各自治体は、統一地方選挙も控えている中で急ピッチでの作業を強いられた。ただでさえ忙しい時期に「嫌がらせか?」という声も。

■「ルール違反」自治体は交付税カット

大阪府泉佐野市、佐賀県みやき町、静岡県小山町、和歌山県高野町の4自治体は、特別交付税の3月分をカットされている。総務省の指示に従わなかった懲罰の意味合いと考えるのが妥当だ。

これらの自治体は、それぞれが問題を抱えており、それをふるさと納税制度を使って解決しようと「工夫と努力」を重ねて来た結果でもある。

何かと批判されることも多い泉佐野市は、関西国際空港建設の影響で莫大な借金を抱えた。その際に「国が助けてくれなかった」という不信感も根強い。

地場産品がほとんどないこの市は、工夫と努力で這い上がるしかなかった。ふるさと納税で、市内の小中学校プールを建設することもでき。職員たちの士気も上がった。

市は、「地方が自ら考えて施策を実施していくことが、地方自治の本来の姿だ」と訴え続けたが、この主張に表立って同調する自治体は、結局現れなかった。

 

■被災地の多賀城市も悩む

多賀城市は、今年1月からふるさと納税の受付をストップしている。復興途中の大切な時期での税収源は、かなりの痛手だ。多賀城市も地場産品がなく、地元のソニーの工場で生産された商品を返戻品としていた。

しかし、総務省が考える地場産品には当たらないという判断のもと、ふるさと納税を全てストップせざるを得ない状況に。市は「被災地の状況を考慮してほしい」と訴え続けたが、総務省に受け入れられることはなかった。

■結局誰のための制度なのか

ふるさと納税の額が上位になると総務省が後出しで規制を強め、従わない自治体は公表される。この繰り返しだった。地場産品の定義の詳細な説明もなく、自治体は振り回されることに。総務省は、「返礼品の個別具体的な判断はしない」という姿勢を貫いた。

総務省への問い合わせも、都道府県を通じて行うという原則。ある県の担当者が言い続けた「総務省が各市町村に直接説明すべき。県を板挟みにしないでほしい」といった願いも叶うことなく、返戻品のルールも自治体側にとっては納得し難いものだった。

 

■制度利用者は少数派

以前しらべぇ編集部が全国10代から50代の男女311名を対象に、アンケートサイトマインドソナー」で行った調査では、83.3%の人が「ふるさと納税を納めたことがない」と回答している。

ふるさと納税という名前は認知されているが、利用したことがある人はまだまだ少ない。こんな中、限られたパイを獲得しようと必死になった自治体。

そして、ふるさと納税返礼品の人気の品は、肉、カニ、米だ。こういった特産品がない自治体は今後どうして行けばいいのだろうか。

 

■新たな試みも

法制度化されると、人気返戻品を持つ自治体に寄付が集中する恐れもある。ふるさと納税サイト『ふるさとプレミアム』を運営する担当者は、「佐賀牛 vs 神戸牛、あきたこまち vs コシヒカリ…のようなブランド対決になっていく可能性もある」と話す。

このふるさとプレミアムは、企業と連携し、お互いの強みを生かした返戻品の開発に乗り出した。地元出身の作家や芸術家、漫画家などと協力し、独自のアートやポスターインテリアといった希少品を返礼品としてプロデュースしようという試みだ。

平成の時代は、総務省にたてつくと地方交付税がカットされた。「お上には逆らえない」という江戸時代のような恐怖政治にも見える。令和という新時代に、それぞれの自治体はどのような未来を描くのだろうか。

・合わせて読みたい→平均年収で家電から寝具、食品まで揃う! 『ふるさと納税』が超スゴい

(取材・文/しらべぇ編集部・おのっち

ふるさと納税制度の未来はどうなる? 不満爆発の自治体や関係者に聞いてみた