アルファロメオ初のSUVステルヴィオに新たな選択肢が加わった。わずか1750rpmで470Nmという大トルクを発生するディーゼルエンジン美しいイタリアンSUVにどのような走りをもたらすのだろうか。 REPORT◉永田元輔(Gensuke Nagata) PHOTO◉藤井元輔(Motosuke Fujii) ※本記事は『GENROQ』2019年5月号の記事を再編集・再構成したものです。

アルファロメオステルヴィオ 2.2ターボ・ディーゼルQ4

 アルファロメオディーゼルエンジンというとちょっとイメージと合わない、という人もいるかもしれない。しかし世界で初めてコモンレール式ディーゼルエンジンを搭載したのは1997年アルファロメオ156であり、実はディーゼルエンジンとの繋がりは非常に深いブランドなのである。

 今回、ステルヴィオに搭載されたディーゼルエンジンは2.2ℓの直4。アルファロメオディーゼルとしては初めてアルミブロックや中空カムシャフトを採用するなど、軽量化にもこだわっている。その結果エンジン重量は155kgとかなり軽い。同クラスディーゼルエンジンの中では最も軽く、車両重量も1820kgに抑えられている。ちなみに同クラスBMW X320dは1860kg。装備も異なるから一概には言えないが、このエンジンステルヴィオの軽量化に貢献していることは確実だろう。ついでに言えばX320dに対しては+147㏄の余裕が効いて、パワーでは20ps、トルクでも70Nmも上回っているのである。

2.2ℓの直4コモンレールディーゼルを搭載。210㎰、470Nmのパワートルクの分配はフロント0対リヤ100からフロント50対リヤ50まで連続可変する。

 レスポンスに優れたe-VGT(電子制御式バリアブル・ジオメトリー・ターボ)や1行程で2000barの噴射を最大8回も行う燃料噴射装置、マルチジェットⅡを採用するなど、ドライバリティと燃焼効率を大幅に改善。またDPFやSCR、アドブルーも用いてポスト新長期規制をクリアするクリーンな排気ガスを実現している。

 ちなみにこのエンジンは同じタイミングジュリアにも搭載されるが、ジュリア用の方が20ps、20Nm出力が低いのが面白い。重量はジュリアの方が260kgも軽いのだが、0→100㎞/h加速はジュリアの7.2秒に対してステルヴィオは6.6秒と、ステルヴィオの方が速いのだ。今は速さを求めるならセダンよりもSUVを買え、ということなのかもしれない。

丸いアナログメーターをドライバー正面にふたつ設置するのがアルファロメオスタイル。Dシェイプのステアリングや大きなシフトパドルがスポーティだ。
6ウエイのパワー調整が可能なレザーシートを標準装備。ヘッドレストにはアルファロメオのロゴがエンボス加工される。

 エクステリアディーゼルを表すエンブレムはなく、試乗車はオプションの20インチホイール(標準は18インチ)など履いているから、外観からはディーゼルというよりも500psのV8ツインターボでも載っているのではないか、という雰囲気さえ漂う。深紅のレザーで覆われたインテリアガソリンモデルと同じで、アルファロメオらしいスポーティさだ。ただしタコメーターのレッドゾーン4500rpmから、というところでディーゼルであることを意識させられるが。

 エンジンをかけるとディーゼルらしいカラカラ音が響く。今時のディーゼルにしてはちょっと音が大きめかな、とも思うが、クルマの中にいればほとんど気にならないレベルだし、不快な振動もほぼ感じない。Dレンジに入れて走り出すと、ブレーキリリースした瞬間から湧き上がるようなトルクでグイグイと加速を開始する。470Nmのトルク1750rpmの低回転で発生するのだから、街中ではほとんど2000rpmを超えることなくすべてこと足りてしまう。

h2スポーティなディーゼル
アルファDNAディーゼルモデルにも装備される。センターコンソールダイヤルを回すだけでクルマの性格が大きく変化する。

 ハンドリングアルファロメオらしくスポーティで、ステアリングを切った分だけ、素直にノーズがインを向いていく。これは軽量設計のエンジンが功を奏しているのだろう。アクセルに対するエンジンレスポンスも悪くないので、その気になればかなり攻めた走りにも応えてくれる。0対100から50対50まで前後トルクを連続可変するAWDにより、タイトなコーナーから高速道路での直進性まで、ビシッと安定した走りを見せてくれる。

 もうちょっと過激さも欲しい、という場合はセンターコンソールのD.N.A.ダイヤルをDに合わせれば良い。エンジンレスポンスが鋭くなりパワー感もアップステアリングも重くなるなど、その変化の幅はかなり大きいので、つい楽しくなって踏みすぎないよう、注意が必要だ。さすがアルファロメオディーゼルでもスポーツ魂は鈍ることはない。

2.2ターボディーゼル235/60R18が標準だが、試乗車はオプションの20インチを装着。フロントブレーキは対向4ポットが備わる。

 気になるのは乗り心地がちょっと硬いかな、という点だ。試乗車が20インチという大径タイヤを履いているからだと思われるが、コツコツという突き上げを感じることが多かった。標準の18インチには乗っていないので断定はできないが、おそらくもう少しはソフトになるだろう。20インチを履いたステルヴィオはやたらとカッコいいが、快適性も重視したい人は18インチのままの方がいいかもしれない。

 今回、ほぼ都内を中心としたドライブでの平均燃費は13㎞/ℓ台。1800kgを超えるSUVとしてはやはり優秀だろう。レザーシートやリヤパーキングカメラパワーテールゲートACCなども標準装備して、価格はステルヴィオの中でも最も安い617万円なのだから、かなりお買い得な1台だ。

アルファロメオステルヴィオ 2.2ターボ ディーゼルQ4
■ボディサイズ:全長4690×全幅1905×全高1680㎜ ホイールベース2820㎜ 
■車両重量:1820㎏ 
エンジン:直列4気
筒DOHCディーゼルターボ 総排気量:2142㏄ 最高出力:154kW(210㎰)/3500rpm 最大トルク:470Nm(47.9㎏m)/1750rpm 
トランスミッション:8速AT 
■駆動方式:AWD 
■サスペンション形式:Ⓕダブルイッシュボーン Ⓡマルチリンク 
ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク 
タイヤサイズ:Ⓕ&Ⓡ235/60R18 
■車両本体価格:617万円