今年の世界卓球では、特に女子シングルスで中国勢の強さが際立ち、ベスト4を独占し、世界卓球における同種目の連覇記録を13に伸ばした。そしてまた、同胞の「大魔王」に阻まれ続けて来た28歳の劉詩ブン(雨冠に文)選手が悲願の初優勝を成し遂げる記念すべき大会となった。中国メディア・東方網は、劉選手の金メダルに対し、日本のある選手からも祝福メッセージが贈られたと報じた。

 記事は、劉選手のこれまでの経緯について紹介。2009年に世界卓球女子シングルスに出場してベスト4の好成績を残すも、「大魔王」の劉怡寧選手には歯が立たなかったとした。その劉怡寧選手が引退して劉選手の時代が来ると思いきや、1歳年上である丁寧選手が頭角を現し、直接対決で負け続けてきたと伝えている。

 そして、これまで大きな壁の前に同大会無冠だった劉選手が今大会では準決勝で丁寧選手を破り、さらには決勝でも新世代の「魔王」と称される陳夢選手に勝ち、苦節10年でついに念願の世界卓球女子シングルス金メダルに輝いたと紹介。中国の卓球ファンから何度負けても諦めない不屈の精神に対する賞賛のほか、これまでの中国卓球界に対する大きな功績をたたえる賛辞が続々と寄せられたとした。

 また、通常なら中国で「マナー違反」と認識され批判の対象となる11-0でのゲーム奪取を劉選手が準決勝、決勝いずれでも見せたことに対しても、敢えてこの暗黙のマナーを打ち破っても勝利を得ようとしたとして好意的に受け止められたと伝えた。

 記事はさらに、特筆すべきこととして、劉選手の優勝が決まるとすぐに日本の平野美宇選手がSNS上で劉選手に対して祝福のメッセージを発信したと紹介。平野選手がメッセージの中で、自身がアジア選手権で優勝した時に唯一劉選手から「おめでとう」と言われて嬉しかったとするとともに、「優勝するのはきっと簡単なことではないけど、だからこそその時を掴むために諦めず長く頑張り続けるとこも大事なんだと」(原文ママ)とコメントしたことを紹介している。

 記事は、平野選手の祝福コメントについて「中国でも好感度の高い石川佳純ではなく、平野によるもの」と敢えて説明した。この点からは、中国国内では石川選手と平野選手に対する印象が大きく異なることが伺える。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)

悲願の初優勝果たした劉詩ブンに、あの日本人選手から真っ先に祝福メッセージが寄せられた!=中国メディア