妊娠・出産する女性の体は女性のもの

昨今、日本国内ではさまざまな分野で男女差別やジェンダーの問題が明るみに出ています。入試問題、労働環境、セクハラパワハラといったハラスメントなどで女性が不当な扱いを受けることなく、自分の選択した人生を自分らしく生きることが、残念ながらこの国ではまだ難しいことが次々と突き付けられてしまっているのが現状です。

しかしそんな中、一つの光とも言える出来事がありました。3月29日厚生労働省は望まない妊娠を防ぐ目的で女性が服用する緊急避妊薬に関する討論会を行い、オンライン診療による処方を認める方針を固めたのです。今回は、妊娠や出産において女性が自らの体を守ることについて考えます。

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望まない妊娠を高い確率で防ぐことができる緊急避妊薬

緊急避妊薬(アフターピル)とは、性交後72時間以内に服用すれば、排卵を抑制するなどして高い確率で妊娠を防ぐことができます。しかし、現時点では病院やクリニックに出向かなければ処方してもらえません。

服用すれば避妊失敗時や性犯罪被害に遭った時などの望まない妊娠を避けられますが、病院に出向くというワンアクションがあることで、避妊回避のタイミングを逃してしまう危険性があります。女性が自分自身の体を守るための最後の手段であるため、以前から、処方箋なしで薬局やコンビニなどアクセスのしやすい場所で売られることを望む声も多く出ていました。

今回、長い間待たれていたこの問題への対応としてオンライン診療による処方が検討され始めたことは、これまで高かった処方から服用までのハードルが一段下がった、大きな一歩とも言えます。

緊急避妊薬によって性犯罪が増えるのか

緊急避妊薬が手に入りやすくなることについては、「避妊しない男性が増える」「性犯罪の温床になる」といった意見が散見されます。女性の合意やコンドームの装着なく、無理やり性交する男性が増えてしまうのではないか、といった懸念です。また、「あとで緊急避妊薬を飲めばいいとなり、女性自身も避妊の意識を持たなくなる」という声もあります。

まず、性犯罪と、女性が自らの妊娠や出産の選択肢を持つことは全く別の話ではないでしょうか。男性が加害者となる性犯罪をなくしていくことは主に男性の努力によって達成されるべきものであり、緊急避妊薬は女性の自由意思、そして自分の人生を選択する権利だからです。

そして女性自身の避妊の意識を高めるためには、緊急避妊薬を普及させないことよりも、性教育の見直しやリプロダクティブヘルス(性や生殖に関する健康・権利)の啓蒙などの方が圧倒的に必要なことでしょう。「避妊する女性が減る」として緊急避妊薬に反対するのは、性に関する正しい知識を持たせることなく女性の生殖の権利を奪っていることだと感じます。

子どもを産む女性の体は誰のものか

4月24日に行われた「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」では、オンライン診療で緊急避妊薬が処方される際、それに対処する医師の要件や服用方法などが議論されました。5月には「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の改定が予定されており、緊急避妊薬のオンライン診療による処方の流れは大きく動き出しています。

子どもを育てていくのは両親や社会、地域、保育園幼稚園、学校ですが、子どもを産むのは女性個人です。子どもを産む女性の体は、その女性のもの。そして女性の体は、政治や社会によって規定されるものではないという考えは、社会全体の共通認識であるべきではないでしょうか。

妊娠や出産によって、女性の人生は大きく左右されます。自分の意思や行動によって女性自身が人生をハンドリングできる状態こそ、女性が輝く社会と言えるはず。緊急避妊薬のオンライン処方が解禁されようとしている今、その意味や目的はもっと広義に捉えられてほしいと思います。