【大きい画像を見る】平成ゲームメモリアル第6回(後編)「平成終盤に輝いたゲームシーンとは?国内e-Sportsやバトロワゲームなど振り返る」

2019年4月30日には終わってしまう平成。連載「平成ゲームメモリアル」は”平成”に発売されたゲームとそのムーブメントを体験を通じて各ライターの過去の体験を掘り起こし、「あの時代あんなことがあった」と振り返る座談会です。第6回は時代が近い故にトークがヒートアップしたため前後編に別けました。前編はこちらからご覧ください。

第6回後編は、ニンテンドースイッチやバトルロイヤルゲームブーム、そして平成最後の4ヶ月間の出来事について触れた内容です。こちらも長文ですが是非最後までお付き合いください。

第1回から今回の第6回前編を合わせて、座談会は以下の内容で時代を振り返りました。

平成ゲームメモリアル―第1回「30年前はゲーム少年だったおっさんたちが体験した不朽の名作たち」平成ゲームメモリアル第2回「本当のゲームハード戦争の時代を話そう―“ハードが無くなる”トラウマ」平成ゲームメモリアル第3回「インターネットにつながり始めた時代―PCゲームの潮流」平成ゲームメモリアル第4回「洋ゲーの衝撃―日本のゲーム業界に激震が走った」平成ゲームメモリアル第5回「2010年代の大変化って?ーSteam・インディーゲーム・基本無料」


■2017~2018年ニンテンドースイッチとバトルロイヤルゲームブーム
G.Suzuki また翌年の2017年にはニンテンドースイッチがリリースされました。さらに、バトルロイヤルゲームの『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』がSteamでリリースされて、大きな人気を博しましたね。ニンテンドースイッチやバトルロイヤルゲームブームに対してはどんな感じで見ていましたか?

葛西祝 やはり『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は驚きました。こちらも海外ゲームのゲームデザインをすごく研究して、再解釈したタイトルが出てきているのが感慨深かったですね。

SHINJI-coo-K海外ゲームの強いジャンルであるオープンワールドを完全にものにしていますよね。

葛西祝 『ブレス オブ ザ ワイルド』は過去の『アサシンクリード』、『スカイリム』といったオープンワールドを研究しているだけではなく、場合によってはサバイバル&クラフトゲームのような要素まで調べ上げているのだろうか、と思わせる出来がすごいと思いましたよ。


キーボード打海 それでいてダンジョンやパズル攻略の「ゼルダらしさ」はそのままの形でアップデートされている、というのが驚異的でした。

SHINJI-coo-Kゼルダ自体のアップデート、そしてオープンワールドアクションというゲームジャンルのアップデートすら達成しているんじゃないかと思わされますね。

葛西祝 海外の流れといえば、マルチプレイヤーのFPSが活発ですよね。これを『スプラトゥーン』シリーズで応えたことも、本当に驚きました。Valveの『Team Fortress 2』のコミカルさを、任天堂が広げたとしたらこうなるんだなと思っていました。


SHINJI-coo-Kシューターって鉄砲を撃って血が出てっていう残酷なジャンルだったはずなんですよ。それを全年齢が遊べるように、シューター自体のおもしろさをデザインし直したところが驚異的ですよ。

G.Suzuki 今までFPS/TPSでの敵は、エイリアンやゾンビ、クリーチャー、そして兵士や悪漢などでしたからね。それを、「人間みたいな生き物に変える」という機転を利かせて、カジュアルに「水鉄砲」という形で打ち出したのは、武器表現の幅を広げたなと思いましたね。

キーボード打海 「ニンテンドースイッチ」と「バトルロイヤルゲームブーム」ってトピックとしてはまったく別物に見えるんですけど、繋がってる部分はあると思ってます。『スプラトゥーン』(Wii U)と『スプラトゥーン2』(NSW)で、いわゆるライトなゲーマーがTPSに触れやすくなりましたよね。

小学生にも大人気の『マインクラフト』だって基本的には一人称視点ですし、『マイクラ』『スプラ』から、FPS/TPSがいわゆる“ハードコアゲーマーが好きなモノ”に留まらなくなって、ものすごくポピュラーなジャンルになったなあと感じました。


そうして『PUBG』『フォートナイト』といったバトルロイヤルゲームに気軽に挑むユーザーが増えて、本田翼や宮脇咲良が『Apex Legends』の実況プレイを配信するような今の時代になっている。「e-Sportsアイドル」や「ゲーム実況タレント」みたいな特殊な呼び方も、もはや不要ですよね。

SHINJI-coo-K バトルロイヤルゲームブームって流行るまでの布石が大きいし歴史的には短くないんですよね。そもそも「Minecraft Survival Multi Player」という『マインクラフト』のPvPに端緒があったり。

葛西祝 そうですよね。もともとコアなPCゲームユーザーが注目していたようなジャンルでしたし。それが日本でこんなにカジュアルになることが驚きなんですよ。

SHINJI-coo-K カジュアル層って、本質的には流行り物を好んで遊ぶ人たちで、そもそも最初の流行りが発生するのがSNSからのバズにあって興味深いですよ。何よりも今、挙げられていたタイトルが「どれもマルチプレイヤーゲーム」って点です。

キーボード打海 ちょっと前にTwitchでギャルっぽい女子がスクアッドで『フォートナイト』を遊んでる配信をしてるのを観まして、なんか感動しました。昔言われていたような「ゲームオタク」とは真逆の存在だったし、Twitterを見てもイケイケな女子という感じで。しまいには敵に向かって「芋ってんじゃねーよ○○○ついてんのか?お前オトコだろ?」って煽り始めていました。

SHINJI-coo-K それは強い(笑)もはやイケてる遊びになってる!

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■2018年PS4/Xbox One世代のタイトルの絶頂期―PCゲームデジタルストアの囲い込み時代
G.Suzuki 2018年って『RDR2』や『CoD BO4』、『Marvel's Spider-Man』、『ゴッド・オブ・ウォー (2018)』など大作も出ましたね。ただ一方で『バトルフィールドV』と『Fallout 76』など人気シリーズの最新作が、高い評価を受けないことがありました。

特に『バトルフィールドV』は、シリーズ最新作なのにE3などでプロモーションが少なかった事に加えて、リリース後に話題続かず途絶えてしまったようにも感じましたが、バトルロイヤルモード追加で再び話題になりましたね。また『Fallout 76』は、SHINJI-coo-Kさんの年末年始レビューを読んだ限りはかなり厳しい状況というのも…。


SHINJI-coo-K 2018年は爆発的なヒット作のように感じられるタイトルが出ていないだけで充分な良作がリリースされていた、という印象があります。たとえばGame*Sparkオリジナルレビューで扱った『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』もその1つだと思いますし「年末特集のげむすぱ編集者&ライターが2018年最も楽しんだゲーム」で自分が挙げた『THE MISSING -J.J.マクフィールドと追憶島-』も大ヒットしたわけではないですが良作でした。

葛西祝自分は『ゴッド・オブ・ウォー』は十分すごいと思ってました。自分の中で「オープンワールドはもうしんどいぞ」というのがあったんですが、従来のオープンワールドと異なり、半分ぐらい1本道で進めるし、探索しても物語性あるし……さらに物語的にも前作までのシリーズとはまったく違うアプローチを行っていることが興味深かったです。『Last of Us』的なテーマに落とし込んでいるなと思えました。


キーボード打海 2018年後半は凄まじかったですからね。デカい作品が立て続けにじゃんじゃん出て、どれもが大成功を収めたわけではないですけど、世代の終末感がありました。

初めて『Red Dead Redemption 2』をプレイしたときは、あまりの衝撃に「これで今世代って終わりなのかも」って思っちゃいました。最高峰に近付いているけど「そうか、もうテッペンなのか……」って寂しさも勝手に感じたりして。

G.Suzuki コンソールで当時の最先端技術や演出を打ち出すタイトルって確かにありますよね。PS2なら『MGS3』が、PS3なら『MGS4』と『The Last of Us』がそれに該当するように感じます。また2018年にはバトルロイヤルゲームブームを継続させるようにEpic Gamesから『フォートナイト』も出てきました。

SHINJI-coo-K 『フォートナイト』は凄まじくヒットしましたね。自分はもちろん、多くの人々にとってインパクトがありました。

葛西祝 『フォートナイト』のヒットも関係あるのか、Epic Gamesは、Epic Gameストアで独占タイトルをいくつも発表し、既存のストアに対して独自性を見せようとしていました。


SHINJI-coo-K 長い間停滞していたPCでのプラットフォーム争い、それがEpic Gameストアの登場で一気に熱いトピックになりましたよね。『フォートナイト』のヒットでEpic Games Launcherをユーザーに入れさせて、そこからストアを展開させていくという。

G.Suzuki ストア関連が大きく動いた年でもありますよね。これまでSteamがその頂点にいましたが、OriginとUplay、Epic Games Store、GOG.com、そしてBethesda Softworks Digital Storeなどで、それまで他のストアにも配信していたタイトルを次々と自社独占配信に切り替えたのが早かったようにも思えました。

キーボード打海 あとOriginのサブスクリプションサービス「Origin Access Basic」の上位モデルとして「Origin Access Premier」も登場しましたね。

SHINJI-coo-KEpic Gameストアに関していうとゲーマーとデベロッパーを繋げる機能、具体的にいうと公式のデベロッパーによるディスコードへのリンクがあったりと他社とはまた違ったアプローチをしているんですよね。

Originに関しても直近の話題でいうと『Apex Legends』の大ヒットで最初の段階「Originをユーザーに入れてもらう」を達成してますし、群雄割拠としてきたなと思います。


葛西祝 この前Epic Gameストアが『Detroit:Become Human』をはじめとする、Quantic Dreamの代表作をリリースする発表があって、新しい競争が始まっている印象がありましたよ。


SHINJI-coo-K 様々な話題作がEpic Gameストアで買えるということでEpic Gamesの本気度が半端じゃないです。

G.Suzuki ただ何でもプレイしたいゲーマーとしては、先に挙げた全てのストアを入れる必要があるので、そのすべてのランチャーをインストール+ユーザー登録を行わないといけないというのが大変ですね……。ゲームメーカーの動きを見ていると、かつてのハードウェア戦争のように、今度はソフトウェアを中心としたゲームメーカー同士がデジタル上で戦いを始めたようにも感じます。

葛西祝平成の終わりに、海の向こうで戦争が始まる感じになりましたよね。Googleによるクラウドゲーミング「STADIA」などを見ても未来もきな臭くなってきたと感じます。


SHINJI-coo-K まさに「ゲームの時代」ですよ!

G.Suzuki 「STADIA」は、日本を含めたアジアでの展開はまだまだわかりませんが、本格的になるのかどうか未知数というのも含めて今後ストリーミングの時代も迎えるのかなと思えます。

葛西祝クラウドゲーミングがさらに現実化したらすごい話ですよ。ゲームがコンソールやPCといった、特定のハードから解き放たれた世界になるわけですから。

日本でもPSが行っているほか、過去には元スクウェア・エニックスの社長を務めた和田洋一氏がクラウドゲーミングサービス「シンラ・システム」を立ち上げてもいました。いまは解散してしまいましたけど、旧メンバーが中心になり、Genvid Technologyというe-Sportsのライブストリーミングを事業にした会社を立ち上げていますね。

当時、日本でも未来に向けた試みを行っていたところ、ちょっと軌道修正する形に落ち着いたあとに、Googleが本腰を上げるというね。

G.Suzuki 電波状況やデータ通信量制限に縛られなければハードや場所にとらわれる事無く、本当にゲームが日常へと浸透しますね。

SHINJI-coo-K 今やマルチプラットフォーム販売も常態化している中で、ハードの存在意義が問われていくことになるかもしれませんね。

キーボード打海とは言え、パッドで遊びたいゲーム、マウス&キーボードで遊びたいゲーム、タッチ操作で遊びたいゲームってそれぞれ変わってくるでしょうし、より整った形で住み分けできるようになるのかなと思います。

G.Suzuki その一方で先のタイトルのストア独占もあるので、ここから先はお金のお話になっちゃいますが、そこをどう折り合いを付けるのかが、これからの時代の焦点になりそうですね。

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■2019年国産タイトルの活発化と課題―平成の終わりと次の時代への胎動
G.Suzukiでは2019年のここ4ヶ月間の出来事を振り返りましょう。2019年は1月からタイトルラッシュが凄かったですね。1月には『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』と『バイオハザードRE:2』、『キングダム ハーツ3』がリリースされましたし、2月には『Anthem』や『Apex Legends』が登場し話題となりました。

さらに3月にはNSW版『FF7』が、PS4/Xbox One/PCで『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』がリリースされていましたね。他にも、発表されたタイトルで言えば、3月30日のセガフェスで『新サクラ大戦』が、そして4月1日には『R-TYPE FINAL2』も告知され、00年代に窮地に立たされてしまった国産タイトルが段々と息を吹き返してきているようにも感じます。

葛西祝 平成の終わりに、平成を彩ったシリーズがどんどんリリースされてますよね。2000年代初頭って、シリーズものが続く停滞感がつらかった時期だったんですけど、いまだってシリーズもので推している。でも、現在のそれはそれほど悪くないんですよ。むしろ良い。リメイク作品の『バイオハザード RE:2』なんてどこか新しい印象があります。


SHINJI-coo-K 一時期、日本のゲームはIPをあまり上手く活かせていなかったと思うんですよ。それゆえに途絶えているタイトルもありますし。しかし、平成の中で苦境にも立たされていたIPが、ワールドワイドで展開され受け入れられて、この平成の終わりに途絶えていたものが繋がって……平成という時代はビデオゲームにとって激動の時代でしたが、その終焉には虚無ではなく新たな光があると思います。とある方が「21世紀はゲームの世紀」だとおっしゃっていたのですが自分もそう思います。そしてそれは、つまり「令和」もまたゲームの時代になると思っています。

G.Suzuki 「21世紀はゲームの世紀」いい言葉ですね!20世紀が「戦争の世紀」とも呼ばれることもあるので、発表された令和も「ゲームの時代」として新しく楽しいものになってくれればと思いますね。

個人的には、STGの『R-TYPE』シリーズが結構好きでプレイしていたので、『R-TYPE FINAL 2』が発表された事がとても衝撃的で、今回の新元号発表とエイプリルフールネタの驚きが全て吹き飛んでしまいました!あとシリーズ未プレイですが『新サクラ大戦』も気になって仕方がありません!「人間生きてみるもんだな」と感じました!


キーボード打海 無理やり平成を振り返る方向に持っていっちゃいますが、4月1日の『R-TYPE FINAL 2』発表は気持ちよかったです。エイプリルフールと言ったら、2004年の「アイレムバーガー」が一番記憶に残ってます。同シリーズの敵「バイド」をハンバーガーで挟むやつ。

G.Suzuki 00年代後半から10年代中盤まではゲームメーカーも積極的にエイプリルフールネタを投入していましたよね。特にアイレムは強烈で、2001年にエイプリルフールネタとして発表された『どきどきすいこでん』が2011年にADV+SLGタイトルとして実際にリリースされたことから「嘘が誠になる」という流れが生まれ始めたようにも感じますね。今のエイプリルフールネタの先駆けにある意味思えます。

振り返ってみると、2016年には『FF15』、2017年には1人称視点がメインとなる『バイオハザード7』、2018年には『モンスターハンター:ワールド』、2019年には『エースコンバット7』や『キングダムハーツ3』、『バイオハザードRE:2』などのタイトルがリリースされています。特に『バイオ7』は今までのシリーズからジャンルを1人称のアイソレートビューに切り替え従来のホラー路線に戻したことも話題となりました。

『バイオハザード7』は最近海外版を買ってVRでプレイしているのですけれど、ホラー感が半端なく強くて怖がりながらプレイしていますね。また『エースコンバット7』は高難易度ですが、久々のナンバリングということでもストーリーは面白かったですし、VRモードはもう一つの進む方向性を感じました。


キーボード打海 『バイオ7』『エスコン7』で言うと、「VR元年」はちゃんと年越しできた感じがありますね……。ヘッドマウントディスプレイ自体もだいぶハードルが低くなりました。

SHINJI-coo-K アトラクションとしてのVRか、家で気軽に遊べるものとしてのVRと分かれてきた印象がありますね。

葛西祝 『バイオハザード7 レジデント イービル』ではお化け屋敷の中を歩くような体験できたり、『エースコンバット7』では目の前に戦闘機が存在するリアリティと爽快なドッグファイトが体験できたり、ある意味ではVRによって原点の体験に戻したとも言えますよね。

G.Suzuki 「原点の体験に戻す」確かに原点回帰感は強かったですね。確かに『バイオ7』と『エース7』のリリース当初の評価も「あの○○がちゃんと帰ってきた!」というものが多かったようにも思えてきます。


葛西祝 日本のゲームがちょっと元気がないころでも、ここ10年以上に渡って世界的に評価された『ソウル』シリーズも触れておきたいですね。

ゲームのジャンルに一つの流れを作ったことって大きいのでしょう。英語圏で「GTA like」みたいに、特定タイトルを追いかける言い方があるなかで、日本のゲームで「Soul like」って言われるほど、後の影響が大きかったのは『ソウル』シリーズぐらいなんですよ。


G.Suzuki 確かに、2011年前後は色々と国産タイトルが厳しい評価を受けていた時期でしたが、『ソウル』シリーズは国内外の共に人気だったのを覚えています。

SHINJI-coo-K 国産のゲームがアイデンティティをある意味取り戻した感覚があります。メトロイドヴァニアだってそうですし。

G.Suzuki アイデンティティーを取り戻したというのはとても言い得ていると思います。自分は『ブラッドボーン』でこのソウル系に入りましたが、プレイ開始直後にあっけなく倒されてしまって時は何が悪かったのか理解できませんでした。本当に何度も死にまくって、大きな緊張感を伴いながらやっとガスコイン神父を倒した時に少しコツを掴んだようにも感じましたね。


でも、高い緊張感と高難易度によって途中で諦めるプレイヤーがいるのも納得できます。ただ、この「難しすぎる」という感覚は00年代前後に弾幕シューティングが誕生してコア層から人気を獲得したものの、それでもプレイ人口が下降してしまった縦/横STG界隈の再現を見ているようで、ジャンル問わない高難易度化は慎重になるべきなんじゃないかと思うのです……。

葛西祝 そういえばソウル系が浸透してから、コンソールでもゲームが全体的に難しくなった気がしませんか?リブート版の『ゴッド・オブ・ウォー』もかなりゲームオーバーになった回数が多かったんです。

G.Suzuki 『エースコンバット7』もそうでしたが、難易度が高いタイトルが10年代後半は多くなったようにも感じます。

葛西祝 この座談会の第2回で、「コンソールのゲームは、プレイヤーをゲームクリアまで保証してくれる」ということを言ったんですけども、どうやらソウル系以降、そうではなくなっているのが驚きでしたね。

ソウル系はストーリーもプレイヤーが自発的に見つけていく形なんですよね。すべてのゲーム体験をプレイヤー自身で切り開いていく方向性だなと。

SHINJI-coo-K 難易度という概念を再定義していますよね。プレイヤーへの挑戦だったり、プレイヤーによる挑戦だったのが、ゲームプレイを拡張する要素として機能している。世界のシリアスさを表現するのには高い難易度が向いていますし。

G.Suzuki でも、その難易度の再定義がゲームプレイヤー人口増加、もしくは現状維持に繋がるかは疑問なんですよ。本当に弾幕STGは、次々プレイヤーに襲いかかる弾を避けて戦うのが楽しい一方で、見た目的にも難易度が高かったから、新規プレイヤー参入になかなか結びつかなかったのですよね。


加えて、ゲーム雑誌にも「なぜSTG人口が減るのか?」という記事が掲載されたこともあるので、このアクションゲームなどでの高難易度化の流れは、リッチなグラフィックやストーリーを持つハイエンドなゲームへのプレイヤー流入を結果的に阻害してしまうのではないかという懸念もあります。

葛西祝 ただ今は動画や実況でゲームプレイをシェアすることが、難しいゲームであったとしても参入障壁を下げている効果も大きいと思うんですよ。SNSや動画サイトでゲームプレイを見て、参考にしたり、「同じ場所で苦しんでるんだな」って共感したりできますからね。

キーボード打海 むしろ先鋭的になり過ぎて新規参入しにくいゲームって、e-Sports系のほうが多い印象です。アップデートを重ねてルールや攻略、メタがどんどん複雑化していったり。

SHINJI-coo-K 競技性は高ければ高いほど心理的なハードルは上がるとは思います。それをどこまでカジュアルに広めるかが、おそらくe-Sports選手が担わされているタレントや芸能人のような役柄、性質なのではないでしょうか。

キーボード打海 e-Sportsに類するゲームって、「チュートリアル」はあるけど、だいたいがゲームの基本ルールと操作方法のみで、移り変わっていくゲームの常識(≒メタ)は教えてくれないですよね。ていうか、そもそも教えられないと思うんですけど。

それに比べたら非e-Sports的と言えるゲームって、シリーズ作品でも新しくリリースするたびにチュートリアルを設けられるじゃないですか。自分はソウル系は正直得意でないんですけど、『SEKIRO』はホント親切なゲームだと思って遊んでます。チュートリアルみたいなものもあるし、「○○をすれば勝てる」という中ボスも配置されてるし、そうして得たノウハウものちの攻略に活かしていけたり。


ソウル系の門が狭いのはたしかなんですけど、理不尽なほどエクストリームで誰も追いつけなくなるジャンルではないと思いますよ。難易度調整のためのアプローチは、STGよりも幅が広いんじゃないでしょうか。

G.Suzuki お話を聞いている限りでは、「自分の心配は杞憂で、ゲームの未来に関しては思っている以上は悪くはならない……」と思えてきます。ただ簡単には納得できなくて、今現状は良くてもいずれはユーザーが高難易度に伴う緊張などで疲弊してしまう時が来るのでは、という不安を捨てきれません。

SHINJI-coo-K 万が一滅ぶとしてもソウル系が滅ぶだけで、他のジャンルを巻き込んで滅ぶことはないかなと思います。実際にセールスも好調ですし。アーケードゲームと家庭用ゲームとでは用意されているゲームプレイとスパンがまるで違うので、比べられないのではないでしょうか。

G.Suzukiわかりました、今現在は「簡単には比べられない」というところで一旦納得しようと思います。ジャンル自体が異なれば、学習曲線も大きく違う形を描けることは確かですし。

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■次の元号へ期待したいこと
G.Suzuki 次の元号「令和」の時代を感じさせるトピックは何かあるでしょうか?自分としては、VR関係が次の令和での時代に大きく花開くのではないかと思っています。5月に発売されるPS VRの『ライアンマークス リベンジミッション』はとても面白そうで期待していますね。


葛西祝 令和からはビデオゲームが現実の延長線になることが、周りのテクノロジーとも相まって、より進むと思いますね。ゲーム実況をシェアしたり、VRやARで触れたりと現実の延長線のものになって、ライフスタイルの一部になっているというのは平成との違いになっていくのではないでしょうか。

SHINJI-coo-K 令和への期待は「若手ゲームクリエイターの台頭」ですね。インディーゲーム開発者で「Unreal Engine」を使いこなしていた人たちが、気づいたら「Unity」でもりもり新しいゲームを作っている。最新の技術と併走している感じがあって彼らを見ているとワクワクします。今以上に「Game Jam」のようなイベントも増えるだろうし、ゲームがより身近な時代になるのだろう、日常の中にあるものになるのだろう、という展望を持っています。


キーボード打海 タレントやらアイドルやら俳優やら、最近はいろんな人が「実はゲーマー」だと明かしたりゲーム実況を配信し始めているので、令和には「ゲームが趣味なんて、それはちょっと……」とは言われない/言えない時代になってほしいです。

もう「いい歳してゲームばっかりやってるなんて……」と上から目線で見られるカルチャーではなくなりつつありますよね。ゲームを仕事にするプロゲーマーやストリーマーがいて、ゲーム開発が創作手法としても手軽になりつつあって。人の趣味にカッコ良いもカッコ悪いもないんですけど、ここを乗り越えたらもっとポピュラーな文化になっていけると思います。

G.Suzuki この座談会を振り返ってみて葛西さんやSHINJIさん、キーボード打海さんはどのような感想をお持ちですか?

自分としては、この平成の31年間のゲーム界隈を振り返ってみてもイベントが多く、常に既存の概念を揺さぶるタイトルや出来事があったようにも感じますね。一方で、自分の半生も一緒に振り返ってみると、ゲーム(遊び)の割合がとても多くて驚きました。

そのことから、自分の人生のもう一つのテーマは「遊んでこそ人生」なのかもしれないですね。小島秀夫監督が新生コジマプロダクションを独立させた時のメッセージにあった、「わたしたちはホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」に繋がりがあるのかと思ってしまいます。

SHINJI-coo-K 振り返りなのに、背後に置いてきたもののように感じなかったんですよね。それに葛西さんに重ねるような発言になりますが、様々なゲストを交えたことで「それぞれの平成」のようなものが見えて、それは平成という時代を少年として生きたか青年として生きたか、そういった個人の背景で視線がまるで違うな、ということを実感しました。

キーボード打海 最終回のみの飛び入りでしたけど、自分とゲームの距離感を再確認できました。何年か何十年か経ったあと、「平成に育ったゲーム好きのオッサンにはこんな人たちもいたんだなあ」と感じてもらえるような読み物になればと思います。

G.Suzuki 本当にハードの世代ごとに様相が違うことが分かりましたね。この連載座談会は、ゲーム業界的な部分をざっくり振り返ったので、触れられなかった話題も多かったと思います。RPGやFPS、ストラテジー、シミュレーター、フライトゲームなどジャンル1つをとってみても、どこか落ち着いたときにでも振り返ってまとめてみたいですね。

■おわりに
G.Suzuki ありがとうございます。これにて全6回に渡った平成のゲームシーンを振り返る連載座談会「平成ゲームメモリアル」は終了です。この座談会を発案したのは、昭和から平成へと切り替りが昭和天皇崩御からという突然の事であったため、昭和という時代に区切りを付けられなかったということを、昔本で読んだからです。

そのためゲーム分野においても「平成をしっかりと振り返り、何らかの区切りを付ける必要があるのではないか」という思いから提案にいたりました。

全6回の座談会で触れられた事柄は、ゲームにおける流行が中心でした。それだけでも、過去ゲーム界隈で色々な事が起きていた事がわかるため「ユーザー個人の情報収集力では限界も見え隠れするのだな」ということを知り得たのは大きなことです。

ユーザー各個人にそれぞれの歴史があります。何らかの形で「自分の平成のゲーム史」というのを発信してみてはいかがでしょうか?

これまで長期に渡ってお付き合いしてくれた座談会参加者様と、読者様ありがとうございました。次の令和でもGame*Sparkをよろしくお願いします。

また全部で6回に渡って行われた座談会について、今回の参加者が振り返った内容を次のトピックで語っています。平成のゲームシーン31年間を振り返ってみての感想に興味がある読者はよろしければご覧ください。

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■全6回の振り返りを終えて
葛西祝座談会を全6回やってみて参加者の方々やゲストと話して感じたのは、本当にゲーマーごとに見てきた世界観が違うなということですね。

これはいい意味なんですが、座談会をやっていて、昔を懐かしむ感じが全然なかったんですよ。時代の急な変化や、日本と海外、コンソールとPC、アーケードなど多角的な見方ができたからかもしれません。“平成を振り返る”ってテーマなのに、みんなの話から初めて知ることも多かったんです。

G.Suzuki 自分は、ユーザーを含めたゲーム業界は右往左往をしながら歩んできたのだなと思いました。また個人で振り返えってみても、どうしても視野が狭くなりがちで、限界がある事も知りました。メジャーな、もしくはマイナーなプラットフォームで遊んでいると、どうしても他の事情や流行がわからないんです。

平成31年間のゲームの進歩に目を向けて見れば、平成のゲームは「できないことが、できるようになった」部分が大きいと思います。一時期ハードやグラフィックなどの進化について懐疑的な意見がありましたが、グラフィックが高精細になるに従って演出方法も変化し、文字に頼りすぎない直感的でわかりやすい画面へ変貌したと思うのです。簡素なライティングで彩られた空が進化し、透明感のあるダークブルーの空が表現可能となったことで、プレイヤーが自らが透明感のある景色を見て感動出来るようになったということです。


キーボード打海 正直言って平成だろうと令和だろうと、昔遊んだゲームのことは大好きだと思い続けるでしょうし、これからの新しいゲームが楽しみなのも変わりません。「平成ゲームメモリアル」なのに本末転倒な話になっちゃうんですが、ほとんど自分の半生を丸ごと振り返るようなこの試みで、そういう気持ちがより確固たるものになりました。

平成に産まれて物心ついたころから『グラディウスIII』を遊び、『Rise of Nations』で初めて海外PCゲームに触れ、今では『ボーダーランズ3』がどうローカライズされるのかとにかく楽しみ。実際に触れて遊ぶのはもちろんですけど、ゲームに関わりのある作品やイベント、お仕事には常に興味がありますし、文化としてのゲームがどんどん面白くなっていったのも「平成」の出来事のうちのひとつかと思います。


葛西祝いま「平成の終わり」って、だいたい情緒的に語られていますよね。内田裕也さんや萩原健一さんといった俳優が亡くなったりして時代が幕を閉じていくのを感じるわけです。

だけど新しいメディアのビデオゲームは、ずっと急速な進歩や変化が続いていて、情緒を差しはさむような瞬間はありませんでした。いま平成が終わる間際ですが、僕の中でビデオゲームは時代の終わりの寂しさと無縁なんです。

……すいません、ひとつだけ強い寂しさを覚えた出来事がありました。当時の任天堂の社長だった岩田聡氏が2015年に逝去されたときです。あのときは本当に心に傷を受けました。ぼくにとってビデオゲームの平成は、その時に終わっていたんです。

SHINJI-coo-K平成という時代に、自分がゲームから離れた期間はあったものの、それは数年間だったんですよね。それ以外は絶えずゲームをやっていて、これまでの座談会では言及できなかったタイトルや体験など本当にたくさんあって。


これからもビデオゲームは変わっていくしシーンも変わっていくでしょう。「できないことができる」に加えて「できるかどうか想像すらしていなかったこと」も起こるでしょう。ゲームボーイの液晶画面を見つめていたときに、誰が実写と見まごう映像を操作できると想像できたでしょうか。

キーボード打海さんが『ライフ イズ ストレンジ』に撃ち抜かれたエピソードなんか人生のできごとと見立てられて最高ですし(笑)色んな方をお招きして様々なお話をして、ゲームという文化の濃密さを振り返って、なんだかゲーマーであることが誇らしく感じられました。


この座談会をお読み下さる読者の皆さんもゲーマーだと思いますが、堂々と「自分はゲーマーだ」と誇りを持っていい時代になったと思います。お寄せ下さっているコメントにも当てられてその信念が強くなりました。新しい時代と併走して新しいゲームをプレイしていきたいですね。【ほかの画像を見る】平成ゲームメモリアル第6回(後編)「平成終盤に輝いたゲームシーンとは?国内e-Sportsやバトロワゲームなど振り返る」
平成ゲームメモリアル第6回(後編)「平成終盤に輝いたゲームシーンとは?国内e-Sportsやバトロワゲームなど振り返る」