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 太陽系はブラックジョークが好きなようだ。2029年4月、大型の小惑星が地球に最接近するのである――その日は13日の金曜日だ。

 小惑星は「アポフィス」という。

 闇と混沌を象徴する古代エジプトの邪神アペプにちなんだ名で、その日、幅340メートルのそれが地球から3万1000キロの距離をかすめていく。

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観測者にとっては千年に一度のビッグチャンス

 小惑星アポフィスはアテン群に属する地球近傍小惑星の一つ。2004年6月に発見された。地球軌道のすぐ外側から金星軌道付近までの楕円軌道を323日かけて公転している。

 不吉な符合ばかりが目につくが、科学者によれば、衝突する心配はないそうだ。むしろ、地球に接近する小惑星について理解を深める千載一遇のチャンスなのだとか。

 アポフィスは肉眼で観察できるほど明るく、千年に一度の観測のビッグチャンスだというのだから、科学者の興奮も頷けるというものだ。

 到来までにはたっぷりと10年の猶予がある。つまり、その間、科学者たちはこの機会に何を調べるべきかじっくりと考えたり、観測機器や宇宙船を用意したりと、いくらでも準備ができるのである。


Path Along Earth Where Apophis Astroid Will Be Visible on April 13, 2029

100%地球に衝突しないとは言い切れない

 2029年にアポフィスが地球に衝突する可能性は低いとされているが、だからといって、それが万に一つもないというわけではない。

 仮に衝突してしまった場合の衝撃は、TNT爆薬510メガトンに相当するとされ、そのリスクゆえにアポフィスは「潜在的に危険な小惑星」に分類されている。

 地球の周辺にはこうした小惑星がいくつも漂っており、惑星の防衛にたずさわる専門家たちは、これらの動向に常に目を光らせ、いざ危険が迫ったときに最悪の事態を未然に防ぐ方法を研究している。

 アポフィスはこの点においても重要だ。というのも、それがこれまでに特定された潜在的に危険な小惑星の8割と似ていると考えられているからだ。

 アポフィスから集められたデータは、ほかの小惑星についても応用できるのである。

小惑星アポフィス
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戦いに勝つには敵を知らねばならない

 アポフィス接近までに検討すべきトピックはすでに提案されている。これらは、人類自身の利益と太陽系の純粋な理解という2つの要求を満たすものだ。

 一例を挙げるなら、アポフィスの内部構造の調査がある。

 これは万が一、小惑星を破壊したり、その軌道を逸らしたりしなければならない事態に直面した場合に、決定的に重要な情報である。

 それと同時に、アポフィスが形成されたときの状況を知る手がかりにもなるだろう。

 もう1つの重要なトピックが、地球の引力や太陽の放射線がアポフィスの軌道をどのくらい歪めるか? というものだ。

 後者の現象は、「ヤルコフスキー効果」と呼ばれ、小惑星の表と裏に温度差が生じることで起きる。

アポフィスへ向かう探査機も準備

最接近の最中にアポフィスに送り込まれる探査機も検討されている。

 NASAの火星探査機インサイトによる地震計の設置、キューブサット(小型人工衛星)として初の惑星間飛行に成功したマーズ・キューブ・ワン、あるいは小惑星からのサンプル採取を試みるNASAオシリス・レックスやJAXAはやぶさ2など、近年、この分野では大きな進歩が見られている。

 こうしたミッションからの知見はいずれも、アポフィスに送られる探査機の設計にあたって検討される。

 たとえばA機とB機が打ち上げられたマーズ・キューブ・ワンのように、キューブサットのペアを利用することなどが提唱されている。

 銛のような装置を利用してアポフィスに地震計を設置するというアイデアもある。これによって小惑星の微細な振動を拾い上げることができれば、内部構造や地球の重力の影響を知るヒントになるだろう。

 ほかにも、日本のJAXAの探査機はやぶさ2が小惑星「リュウグウ」でやったように、アポフィスにクレーターを作り、内部構造を調べるというやり方もある。

アポフィスの軌道を乱さぬよう細心の注意が必要

 だが、言うまでもなく、こうした調査は、現時点では安全なアポフィスの軌道を乱してしまわないよう細心の注意を払って行われなければならない。

 NASAをはじめとする宇宙機関にとって、これは調査研究を進められる千載一遇のチャンスであると同時に、一般の人たちに宇宙への関心を持ってもらうための絶好のPRのチャンスでもあるのだ。

 そのようなビッグチャンスが最悪の事態になってしまっては元も子もないのである。

References:sciencealert/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52273973.html
 

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