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Point
■多くの人が共感を避けたがっていることが判明

■人々は、共感は認知的な負担が大きく、多くの精神的努力が求められると考える

■人々に「自分は共感が得意だ」と思わせることで、共感を促すことができるかもしれない

人間は、しんどいことを避けたい生き物だ。

他者の感情を理解する「共感」は、人助けを促す美徳として捉えられてきた。ところが多くの人が、実は共感を避けたがっていることが最近の研究で明らかになった。

共感には多くの精神的努力が必要だと考えていることが主な原因のようだ。ペンシルベニア州立大学とトロント大学の共同チームによる論文が、「Journal of Experimental Psychology: General」に掲載されている。

Empathy is hard work: People choose to avoid empathy because of its cognitive costs.
https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fxge0000595

共感は認知的コストが大きい

研究チームは、認知コスト(人の脳が認知作用に費やすエネルギーなどの負担)や精神的努力が、共感を阻止するかどうかを調べるため、被験者1,200名に、11の実験から成る「共感選択タスク」に取り組ませた。

用意されたのは、難民の子どもが映った写真を設置した2つのデッキだ。1つ目の「客観的描写デッキ」を選んだ被験者は、写真の中の人物の身体的特徴を単に描写するよう指示された。

これに対し、2つ目の「共感デッキ」を選んだ被験者は、写真の中の人物の気持ちに共感し、その人が何を感じているかを想像するよう求められた。被験者は、各トライアルでどちらかのデッキを自由に選ぶことができた。

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重要なのは、写真に映っている子どもたちを助けるために時間やお金を寄付するといった、共感のための経済的コストは一切発生していないということだ。

また、悲しい表情と笑顔をした人物の写真を設置したデッキを用いた実験も行われた。どちらかのデッキを選ぶように指示された被験者は、あくまでも共感を必要としない客観的描写デッキの方を選びつづけた。

たとえ笑顔の写真であっても、それがその人物への感情移入を必要とするものであれば、被験者はそれを避けようとした

すべての実験を行った結果、共感デッキを選んだ被験者は、平均してわずか35パーセント。多くの被験者が、感情移入が求められない客観的描写デッキを強く好んだということだ。

各実験の後に実施されたアンケート調査でも、ほとんどの被験者が、共感は認知的な負担が大きいと回答した。単に他者の身体的特徴を描写する場合と比べて、多くの努力が求められ、得意でないと感じるようだ。

加えて、共感は精神的負担が大きく、不安・イライラ・心配を引き起こすと回答した被験者は、共感デッキを避ける傾向が強いことも分かった。

共感が得意だと思うことで共感を促進

また、研究チームは、自分は共感が得意だと考えている場合、被験者が進んで共感しようとするかを調べるため、別の2つの実験を行った。

ある被験者のグループに、一定数より「共感することが上手い」と伝えたのだ。

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すると、共感が上手だと伝えられたグループは、共感デッキを選ぶ傾向が強いばかりか、共感に求められる精神的努力が少ないとさえ感じることが判明した。

共感に伴う認知コストは人々が共感を避ける要因になる場合もあるが、人々に「自分は共感が得意だ」と思わせることで、共感を促すことができそうだ。

 

共感を促す動機づけは、社会全体のためになる。移民や難民、自然災害の被害者などの助けを必要とする人々に進んで手を差し伸べられる世の中をつくるには、一人ひとりが自分の共感力に自信を持つことが鍵になるだろう。

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