4月よりNetflixにて全世界独占配信中の3DCGアニメ「ULTRAMAN」。「月刊ヒーローズ」で連載中の同名の人気コミックを原作に、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズの神山健治と『APPLESEED』(04)の荒牧伸志という強力な監督コンビが世に送りだす本作は、特撮「ウルトラマン」シリーズの世界観やキャラクター名などの設定を引用しつつも、従来のシリーズとは一線を画す、まさに“新世代のウルトラマン”だ。モーションキャプチャーを使用するなど、ダイナミックな映像表現も見どころの本作の“革新性”を紹介する。

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本作の舞台は「ウルトラマン」後における、「ウルトラセブン」以降のシリーズとは異なる歴史をたどった世界。光の巨人こと“ウルトラマン”が異星人や怪獣の侵略から地球を守り、故郷の星へと帰還してから40年後の物語が描かれている。ウルトラマンと同化して戦った早田進の息子で高校生の進次郎は、生まれながらにして「ウルトラマン因子」を受け継ぎ、その常人離れした身体能力の扱いに苦心していた。

そんな時、謎の異星人・ベムラーの襲撃を受けた進次郎は、ウルトラマン帰還後も密かに活動を続けていた科学特捜隊より「ウルトラマンスーツ」を与えられ、これを着用しベムラーを撃退。科特隊のメンバーやSEVEN、ACEといったほかのウルトラマンと共に異星人との戦いに身を投じていく。

■ 変身ではなく着装!パワードスーツで戦うULTRAMANたち

本作最大の特徴として挙げられるのは、ウルトラマンに変身するのではなくパワードスーツのような強化装甲を着用すること。そのため、巨大化することはなく、敵対者である異星人と人間サイズのままで戦闘を繰り広げる。また、スーツの各部には様々なガジェットが仕込まれており、これらを駆使した戦い方も魅力的だ。

主人公の進次郎が着用するのは、ウルトラマンをモデルにした「ULTRAMAN SUIT」。身体能力の強化や高い防護性を誇り、両腕に内蔵された「スペシウム」を利用したスペシウムブレードによる飛行や高速戦闘も可能で、両腕を十字に組むことでスペシウム光線を発射することができる。さらに、リミッターを解除することで、胸部のカラータイマーが赤く点滅。強大な力を発揮できるようになるが、着用者もスーツも数分の戦闘が限界になるため、最後の手段として使用される。

科特隊に所属する隊員の諸星弾が着用するのが「ULTRAMAN SUIT Ver.7(通称セブンスーツ)」。「ウルトラセブン」に酷似した外見で、バイザーのような目やアイスラッガーの形状に似た頭部が特徴。主な武器は、スペシウムソードと呼ばれる日本刀に似た長剣で、敵を斬るだけでなく、エネルギーを流し込むことで衝撃波を生み出すことができる。

着用者の諸星は人間に近い容姿をしているが実は異星人。凶悪な異星人を容赦なく粛清する高いプロ意識を持つ一方で、辛辣ながらも進次郎に助言をするなど先輩のように彼に接している。

進次郎が通う高校の後輩、北斗星司が着用するのが「ULTRAMAN SUIT Ver.A(通称エーススーツ)」で、ほかの2体とは違い、異星人の天才技術者ヤプールによって開発された。戦闘用義手に内蔵されたビーム兵器が武器で、腕の間にギロチンのようなビームカッターを発生させ、敵を切断する。また、肩甲骨辺りに収納されたスラスターによって、一時的な跳躍や高速移動も可能としている。

星司は飛行機墜落事故によって体を損傷しており、改造人間となることで一命を取り留めた過去を持つ。進次郎がULTRANMANであることも知っており、科特隊への入隊を希望する一方で、犯罪者から金を恐喝し、それを活動資金にする黒い一面も…。

■ 敵か味方か!?個性的な異星人たち

本作に登場する異星人にも注目したい。科特隊に協力し進次郎らに指示を送るエドは、かつてウルトラマンを殺害したゼットン星人の末柄。しかし、現在は星団評議会と言われる全宇宙の知的生命体による平和維持の同名組織と地球を結ぶ橋渡し的な役割を担い、地球に迫る危機に対処している。

白い体に黒の縞模様の外見が特徴のアダドは、劇中では言及されていないが特撮ドラマに登場した怪獣ダダにそっくり。本作では丁寧で芝居がかかったしゃべり方をする掴みどころのない人物で、ULTRAMANやSEVENを軽くあしらうなど高い戦闘力を誇る。その正体は星団評議会直属のエージェントで異星人の存在を一般の地球人に公表することを目的としている。

そのほか、人類に友好的な怪獣・ピグモンに似たイガル星人や、特撮ドラマ「ウルトラマンA」に登場する異次元世界の住人・ヤプール人と同名の異星人が、ACEのパワードスーツの開発者として登場する。

モーションキャプチャーによるダイナミックなアクション!

全編にわたって3DCGで描かれる本作では、声優のほかにも、キャラクターの動きを担当する演者を起用し、その動きを反映させるモーションキャプチャーを導入。日常芝居での人物の細かな表情や仕草からその感情を読み取ることができ、ULTRAMANたちのダイナミックなアクションシーンを表現することにも一役買っている。特に、第7話「秘められた思い」での登場人物の一人でアイドルの佐山レナのライブシーンのなめらかな動きのダンス、第8話「真実の幕開け」でのSEVENとアダドとの流れるような攻防が続く目を見張るような戦闘シーンを実現することに成功している。

オリジナルの特撮ドラマとは一味違うULTRAMANや異星人の描写や、革新的な映像表現によるアクションシーンに目を奪われる「ULTRAMAN」。一方で、等身大の高校生である進次郎が悩みながら地球を守ろうとする姿に、大勢が共感し胸を打たれるはず。このGWは、全13話を一気見してみてはいかがだろうか?(Movie Walker・文/トライワークス)

両手をクロスさせ、スペシウム光線を放とうとするULTRAMAN