新年度から、子どもを保育園や幼稚園に通わせ始めた人もいると思います。昼寝の時間を設ける施設もありますが、普段、家でなかなか昼寝をしない子どももいて、通園先で問題なく過ごせているか不安に思う人もいるようです。昼寝をしないことで発育に影響はあるのでしょうか。昼寝の効果や子どもを寝かせるための対策などについて、子育て心理アドバイザーの雨宮奈月さんに聞きました。

合計睡眠時間で調整すれば問題なし

Q.そもそも、なぜ昼寝が必要なのでしょうか。何時ごろに昼寝をするのが理想ですか。

雨宮さん「『寝る子は育つ』とよく言われますが、昼寝は体だけでなく、『かしこさ』を育てる上でもとても大切です。脳は寝ている間に、新しく学んだこと、楽しかった遊び、悔しかったこと、母親とした約束などを反すうして記憶を整理しているので、子どもが起きている時間の中間でお昼寝をすると、とても効率が良いとされています。例えば、午前7時に起きて午後8時に寝る場合、昼食後の午後1時ごろに昼寝するとよいでしょう。

保育園のお子さんは昼食後、正午から午後3時ごろまで昼寝の時間が取られていますが、幼稚園のお子さんは園を出る時間が午後2時ごろなので、そのまま友達と遊んだり、お稽古に出かけたりすると昼寝をしないこともあります。眠いのに昼寝できない、ということも出てきますね」

Q.昼寝をしないことで、発育に影響はありますか。

雨宮さん「発育に大きく影響することはありません。確かに、お昼寝をすることで集中力や能率が上がる他、睡眠中に成長ホルモンが分泌されるため、健やかにすくすく成長するにはお昼寝を上手に取り入れることが望ましいです。ただ、一日の合計睡眠時間で帳尻を合わせることが可能です。お昼寝ができなかったら、早めに寝かせてあげれば問題ありません」

Q.なかなか昼寝をしない理由は。

雨宮さん「子どもは疲れたら寝るのではなく、リラックスできたときに眠ることができます。楽しすぎたり疲れすぎたりして興奮してしまうと、脳のストレスホルモンであるコルチゾールというものが分泌され、交感神経の活動が高まり、なかなか眠れなくなってしまうのです。上手に眠れずに疲れが取れないと、子どもだってイライラしてしまいます。そのため、自然とお昼寝ができるような環境を整えてあげるとよいですね」

Q.具体的な対処法は。

雨宮さん「交感神経から副交感神経の活動に切り替えていく際に眠気を催すようになります。部屋を暗くしたり、静かにさせたりするなど、リラックスモードを演出するとよいと言われています。

興奮している状態から平常の状態に、さらに、リラックスした状態に誘うにはちょっとしたコツが必要です。まずは、子どもと目を合わせないことです。お子さんの楽しくてキラキラしている目を見ると、ついこちらも笑顔になってしまいますが、ここでぐっとこらえ表情を抑え、目をそらすことで少しずつ興奮が収まっていきます。興奮が収まってきたところで、背中をトントンと同じリズムで繰り返したたいてあげると徐々に安心感が増し、落ち着いてきます。

お昼寝で眠り過ぎて夜眠れなくなる心配がある場合は、自然とお昼寝から目を覚ませるよう、起きてほしい頃合いに部屋を明るくしたり音を増やしたり、大好きなテレビ番組をつけてみたりするとよいでしょう」

Q.保育園などでうまく昼寝をするために、家でできることはありますか。

雨宮さん「保育園と家では受ける刺激が異なります。たっぷり遊び、交感神経をしっかりと活動させ、保育士さんが上手に副交感神経に切り替え(リラックス)させてくれているのでお任せしていれば大丈夫です。

それでも、家で練習をしておきたい場合は、“リラックススイッチ”をつくっておいてください。例えば、お昼ご飯の後、絵本をゆっくり優しい声で読んであげてください。そして、絵本を1冊読み終えたら布団に横になり、部屋をうっすら暗くし、目をつむり、寝ても寝なくても布団の中で過ごす時間を一定時間設けてください。

そうした習慣を身に付けている子どもは、保育園でも問題なくお昼寝をすることができます。中には『ママが隣にいないと眠れない』『トントンしてくれないと眠れない』というお子さんもいますが、保育園の連絡帳に『うちの子はこうすると眠りやすいです』と先生に伝えておくと、配慮してくれるので安心してください」

オトナンサー編集部

昼寝と発育の関係は?