日本が,気候変動分野において世界を牽引していくためには,広く一般の方まで考えが浸透し,社会全体として取り組んでいく,そうした機運の醸成が必要である。まさに国家全体としての取り組みが問われると,外務省としては考えている。
では,外交ツールしかもたない外務省が,どのように一般的の方々に,こうした考えを伝えることができるだろうか。
これまでに挙げてきた数々の疑問,それを解消する方策について悩み,考え,そして,社会に対して広く影響を有する媒体を,柔軟な思考で活用すべきときではないかと考え,外務省気候変動課は人気動画クリエイターと協働で動画を作成することにした。

『気候変動問題』

外務省のHPを見てくださり,外交に明るい方はこの言葉をご存じの方が多いかもしれない。一方,広く一般の方に目を向けたときに,どこまでの方がこの問題を日々意識して生活をされているだろうか。

この国境を越えた,国際社会全体で取り組まなくてはならない課題は,まさにその性質から,外交課題として外務省も長らく取り組んできた。そもそも,気候変動問題は地球の気温が上昇するという科学現象とそれに伴う環境変化にとどまらない。気候変動に起因する異常気象とそれに伴う災害はそれが直接に人々の暮らしの脅威になるのみならず,例えば農業生産性の低下や,環境の変化による人の移動とそれに伴う難民の発生,生態系の変化に伴う疫病の拡大,そしてそれらに伴う社会不安の増大等々,その影響が及ぶ範囲は広く,そして社会の脆弱性を増す要因となっている。また,こうした気候変動がもたらす変化は経済活動にも広く影響を及ぼし,また,地理条件の変化は国家の安全保障政策を考える上でも考慮すべき事項となっている。このように気候変動問題は,国際的かつ幅広い分野に関連した外交課題であり,そうした外交課題解決に取り組み,世界に貢献していくことが日本の国益を追求することにもつながってく。それが,外務省が気候変動問題に正面から取り組む理由である。

そしてこの気候変動問題は,我々の想定を上回って深刻化している。昨年の猛暑,西日本豪雨といった異常気象には,地球温暖化も影響していると気象庁が発表した。その脅威は,遠い世界のことではなく,自分たちの近くまで来ているのだが,果たして,日常生活に落とし込んだときに,どこまで身近なこととしてこの問題を捉えることができているだろうか。

一方,こうした問題の進展は,気候変動対策を促進させ,そしてそれと連動するように,再生可能エネルギーの世界における急激なコスト低下と規模の拡大が見られるようになった。それに合わせて,気候変動関連の投資も世界では急速に伸びてきている。企業の行動も世界では変わりつつあり,気候変動問題を契機とした,こうした「チャンス」が世界では多く生じようとしている。このような流れを日本として捉え,先行し,「さすが日本」と思われる政策を展開していかなくてはならない。進展する気候変動問題への対応とこうした世界の変化を捉えた施策の展開,それが外交当局の中で気候変動に正面から取り組む立場にある気候変動課の使命である。では,そのために必要なことは何であろうか。どこまで日本の企業は,世界で起きているこの変化を肌感覚で感じることができているだろうか。

もちろん,効果的な政策を打つことはその根幹である。外務省は昨年来,より積極的な気候変動外交を国内外で展開してきた。日本が世界の脱炭素化を牽引する決意を表明し,そして総理からはこれまでの常識にとらわれない新たなビジョンを策定するよう指示があり,外務省としても積極的に議論に参加・貢献してきた。G20首脳会合までに策定するよう指示を受けたその戦略では,2050年までの国家30年の計が,気候変動を切り口として示される予定である。

では,政策を打ち,ビジョンを示せば,日本における気候変動対策は進展するだろうか。日本が気候変動に関連したビジネスチャンスを官民ともに捉えて,世界をリードできるだろうか。

いま,日本はG20で議長国を務めており,気候変動についても議論を主導しているが,その中で,日本の力点の一つとして,非国家主体の気候変動分野における役割を掲げている。政府や,そして企業のみならず,地方自治体,市民社会,学術界といったあらゆる主体が気候変動対策に取り組むことが重要であるとの考えがその根底にはある。

日本が,気候変動分野において世界を牽引していくためには,広く一般の方まで考えが浸透し,社会全体として取り組んでいく,そうした機運の醸成が必要である。まさに国家全体としての取り組みが問われると,外務省としては考えている。

では,外交ツールしかもたない外務省が,どのように一般的の方々に,こうした考えを伝えることができるだろうか。

これまでに挙げてきた数々の疑問,それを解消する方策について悩み,考え,そして,社会に対して広く影響を有する媒体を,柔軟な思考で活用すべきときではないかと考え,外務省気候変動課は人気動画クリエイターと協働で動画を作成することにした。

まずは,外交における気候変動の取り組みがどのようなものかを臨場感のある形で感じていただき,

続いて,気候変動問題というものがどういうものであって,どういった課題,チャンスがあるのかを分かりやすく解説し,

そして,実際に,身近なところからもできる気候変動対策を紹介する

そうしたコンセプトに基づき,調整を行ってきた。

その中では人気動画クリエイターの方はじめ,多くの関係者の方と何回も打ち合わせ,調整を行い,外務省としての考えを理解いただき,どのような形であれば,一般の方の心に何かしら気候変動対策をやっていこうという思いを残せるか,互いに腐心しながら,最終的に以下の動画3本を外務省として提供した。

3月12日公開動画
https://www.youtube.com/watch?v=un8lb6JQWP4

3月31日公開動画
https://www.youtube.com/watch?v=uRBLrR7Tf88

4月23日公開動画
https://www.youtube.com/watch?v=931EiN_Q9Ok


この動画を見た方々が,自ら行動を起こすこと,それは例え小さい変化であっても,積み重ねとなったときに大きな変化を生み出し,それが企業を含む様々な主体に影響を与え,より大きなうねりとなって社会変革をもたらす。そこに政府が同時並行でビジョンを提示していく。その好循環を生み出していく必要がある。

外務省は,世界が気候変動を軸に大きく変化を遂げようとしている今だからこそ,こうした形で日本が社会全体として気候変動対策に取り組み,世界を牽引し,貢献することができると考えている。気候変動という環境問題にとどまらず,もはや経済・社会に大きく影響を及ぼしているこの問題に,いかに日本社会として処方箋を示すことができるか。その問にしっかりと答えた先には,気候変動問題の解決のみならず,国家の経済成長,その他の社会問題の解決もできる未来が待っていると,外務省気候変動課は考えている。そして,日本はそれを実現できる国であると信じている。この変革の時こそ,日本の底力を見せるときである。

そうであればこそ,そしてG20議長国として気候変動分野を主導する立場にあり,かつ,国内外の注目が集まるこのタイミングであるからこそ,気候変動課として「今,動かねばいつ動くのか」という思いで,新たなアプローチを取ることに決意をした。物事の流れが,気候変動を軸に世界で大きく変わろうとしているこのタイミングで,外務省としてできる限りのことをしなければ,日本が世界の変化に対して遅れをとることになりかねない。国際的な見地から気候変動問題と向き合い,世界の潮流を一番に感じる立場にある外務省が,その果たすべき責務を全うするには,世界に対して遅れをとるという事態を生じさせないよう,できる限りの政策的努力を追求するとともに,世の中に対して考えを発信し,共感いただき,社会全体でともに取り組んでいく雰囲気を提供していくべきではないか。 この問に外務省気候変動課として向き合い,その答えの1つとして今回の動画提供を,外務省がこの機会にとる気候行動(climate action)として選択した。

すでに動画は公開されており,その動画について,「外務省がクリエイターの方々を認めたということか」という声も寄せられている。その通りである。クリエイターの方々の発信力が,世の中にメッセージを伝える上で非常に有効であると考え,今回,このような形で動画を提供させていただいた。クリエイターの方々という一非国家主体の方の力が,日本における気候変動対策の推進にも必要だと,立派な国の力の一つだと外務省気候変動課として考えたのである。そして,クリエイターの方にも,ありがたいことに,そうした期待に大いに応えていただけた。そして,そうした協働作業は,日本を盛り上げるという意味においても非常に有意義かつやりがいのあるプロセスであった。この企画の実現に携わっていただいた方々には感謝の念しかない。

これらの動画には,こうした外務省気候変動課の思い,そして携わってくださった関係者の皆様の思いが詰まっている。

動画を見た方々がそうした思いの一端でも感じていただければ幸いである。再生可能エネルギーを使ってみる,気候変動対策に積極的な企業を応援してみる,省エネをやってみる,どのような取り組みでも,この動画をきっかけに皆様の行動に繋がれば,例えどんなに小さい取り組みであっても,その積み重ねが大きな力を生み,日本の底力を見せることに繋がるはずである。

ぜひ,皆様のお力もお借りしながら,世界に対して,「これが日本だ」というものを共に示して参りたい。

配信元企業:外務省 気候変動課

企業プレスリリース詳細へ

PR TIMESトップへ