東京・神奈川・埼玉エリアでそれぞれ均一の料金から、距離に応じて変動する距離別料金になった首都高。「ちょい乗り」でピンポイントに一般道の混雑を避けることも可能です。その利用例を首都高に聞きました。

ETC普通車の最低料金は300円

首都高といえば、「均一料金」のイメージを持つ人もいるかもしれません。2011(平成23)年までは東京エリア・神奈川エリア・埼玉エリアで「料金圏」が分かれ、普通車料金は「東京線700円」「神奈川線600円」「埼玉線400円」といったように設定され、本線料金所の通過時にその料金が徴収されていました。

しかし2012(平成24)年から料金圏が撤廃され、利用距離に応じて加算する距離別料金がスタート。2019年現在は、ETC普通車で最低(4.4kmまで)300円、上限1300円です(現金車は区間によらず1300円を適用)。

首都高速道路の関係者によると、距離別料金となって以降「ちょい乗り」が増加し、均一料金時代にはあまり使われなかった出入口の利用も増えたとのこと。一般道の混雑する区間だけ首都高に乗る、といった利用も可能になっています。どのような活用例があるのか、同社にオススメの区間を聞きました。どれも、ETC普通車の最低料金300円で行けます。

北池袋入口→東池袋出口(5号池袋線)

首都高経由で約5分短縮(一般道経由約7分、首都高経由約2分)。北池袋入口は池袋駅から北西の川越街道(国道254号)沿いにあり、東池袋出口は池袋駅の東側に位置する大型複合施設「サンシャインシティ」に隣接。池袋駅周辺の混雑回避に有効だそうです。

新宿入口→外苑出口(4号新宿線)

首都高経由で約10分短縮(一般道経由約13分、首都高経由約3分)。新宿入口は都庁の南側にあり、外苑出口は聖徳記念絵画館や国立競技場のある明治神宮外苑に直結。新宿駅周辺の混雑回避に有効だそうです。

300円で「9割時短」も!?

同じ名前の「入口」から「出口」のあいだだけを走行するという“裏ワザ”的利用方法もあります。

渋谷入口→渋谷出口(3号渋谷線)

首都高経由で約9分短縮(一般道経由約10分、首都高経由約1分)。渋谷入口は渋谷駅西側の道玄坂上(玉川通り)、渋谷出口は駅東側の金王坂上(六本木通り)に位置しており、このルートは渋谷駅周辺の混雑回避に有効だそうです。

霞が関入口→高樹町出口(C1都心環状線→3号渋谷線)

首都高経由で約6分短縮(一般道経由約10分、首都高経由約4分)。霞が関の官庁街から六本木地区を越え、六本木通り(都道412号)の南青山地区に至る区間で、六本木通りの混雑回避に有効だそうです。

入谷出入口~本町出入口(1号上野線)

首都高経由で約7分短縮(一般道経由約11分、首都高経由約4分)。C1都心環状線から上野方面へ延びる1号上野線は、終端部(入谷出入口)が他路線とつながっておらず、上下線とも比較的空いています。並行する昭和通り(国道4号)の混雑を回避して東京駅周辺と上野・根津方面を行き来するのに有効だそうです。

以上、ETC普通車の最低料金300円で乗れる区間のみを紹介しましたが、首都高ウェブサイトでは特に時短効果が高いものとして、たとえば次のような区間も紹介しています。

・浅田入口→新横浜出口(K1横羽線→K7横浜北線):ETC普通車480円、首都高経由で約25分短縮(一般道経由約35分、首都高経由約10分)
・鹿浜橋入口→東北道外環道接続部(S1川口線):ETC普通車490円、首都高経由で約21分短縮(一般道経由約28分、首都高経由7分)
錦糸町入口→京葉道路接続部(7号小松川線):ETC普通車410円首都高経由で約17分短縮(一般道経由約23分、首都高経由約6分)

首都高では2019年4月以降、「近くでもシュッと行こう」というキャッチフレーズのもと、電車内で広告を掲出するなどして、短区間利用のPRを強化しているそうです。

【路線図】首都高の短距離利用、どんな区間で有効?

首都高はETC普通車で最低300円から利用できる(画像:写真AC)。